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独首相与党、反難民党に初の敗北 北東部州議会選、寛容策へ「抗議」
【ベルリン=宮下日出男】ドイツ北東部メクレンブルク・フォアポンメルン州で4日に行われた州議会選挙は、選管の暫定集計の結果、反難民を掲げる右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が第2党に躍進し、メルケル首相の与党の保守系、キリスト教民主同盟が敗北した。寛容な難民政策への不満を吸収するAfDの勢いはとどまらず、首相は来年の総選挙に向け対処を迫られている。
暫定集計では、AfDの得票率が20・8%に達し、同盟は2011年の前回選挙から4%減の19%で第3党に転落。国政で同盟と連立を組む中道左派、社会民主党は30・6%で5%減ったが、第1党は維持した。
AfDは13年の結党後、16州・特別市のうち9州で議会進出を果たしたことになるが、同盟を上回ったのは初めて。今回はメルケル氏の選挙区がある州でもあり、同盟には痛手だ。AfDの地元代表は「メルケル氏の終わりの始まりになるだろう」とも述べた。
同州は難民の受け入れが少なく、大きなトラブルも伝えられていない。ただ、国内では難民が絡むテロなども相次ぎ、独メディアはAfDが「難民や外国人への漠然とした不安を利用」(公共放送ARD)した結果、寛容策への「抗議票」が集まったと分析する。