診療内容
1.病気と地道につきあいながら、楽しい人生もしっかり実現できるよう、さまざまな方法で患者さんをサポートしています
糖尿病は、病院での「治療」と、患者さん自身の「生活習慣の改善」を長期間にわたって両立させていくことが極めて重要な病気です。東邦大学医療センター大森病院 糖尿病・代謝・内分泌センターは、すべての糖尿病の患者さんが「治療」と「生活習慣の改善」を無理なく両立し、質の高い“楽しい”人生を送ることができるよう、適切なサポートに努めています。
とくに「生活習慣の改善」については、患者さん一人ひとりが「自分に合った方法」をみつけることがまず重要です。当然のことながら、生活のあり方、人生に対する考え方などは個人個人で異なります。もちろん、体質や病状にも大きな個人差があります。こうしたことから、ひとつの正しい方法が万人に通用するとは決していえないのです。
そこで当センターでは患者さん一人ひとりにきめ細かく対応するため、入院による「糖尿病ドック」を開設しているほか、外来で「個人栄養食事指導」も行っています。
糖尿病ドック(1週間入院)について
現在、多くの医療機関において、糖尿病の患者さんに対する「教育入院」が実施されています。その内容は医療機関によってさまざまですが、「教育」という言葉から「医師による一方的な指導」というニュアンスを感じる方は少なくないかもしれません。
糖尿病の治療を続けるうえで何より大切なことは、「患者さんが自ら進んで自分の生活を見つめ直し、改善していくこと」です。そこで「教育」ではなく、患者さんと医師および専門のスタッフが一緒に「今の生活習慣のどこをどう変えればいいのか」ということを考え、「実際に食事や運動によって血糖がどう変わるのか」ということを具体的に実感し、認識していただく場として「糖尿病ドック」を2014年12月に開設しました。
糖尿病ドックの詳細については下記ページをご覧ください。
個人栄養食事指導(外来・予約制)について
- できるだけ食事をしてからお越しください
- 当院までの交通手段(徒歩・自転車・自動車など)をできるだけ毎回変えてお越しください
2.多忙で入院できない糖尿病患者さんのために、「外来インスリン導入」を常時行っています
1型糖尿病 | 2型糖尿病 | |
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インスリンの状態 | 膵臓のランゲルハンス島のβ細胞が破壊され、インスリンが分泌できなくなることで発症。 | インスリンの分泌量が減ることで発症するものと、インスリンの作用が低下することで起こるものがある。 |
主な原因 | ウイルス感染など。生活習慣とは無関係。 | 食事や運動などの生活習慣が関係。日本における糖尿病の95%を占める。 |
治療は、体内でインスリンをつくることができない1型糖尿病の場合はインスリン注射が必須です。一方、2型糖尿病の治療は生活習慣の改善や薬物療法が中心となりますが、血糖コントロールのうえでインスリン注射は非常に有効な治療法です。
インスリン治療は入院すれば2週間程度で完了しますが、2型糖尿病の患者さんには働き盛りの世代も多く、「仕事などで入院できない」という方も多くみられます。そこで当センターでは、通院しながらインスリン治療を続けられるよう、「外来インスリン導入」を行っています。
当外来では、まず医師やスタッフが実演し、その後患者さんご自身にインスリン注射を実際に体験していただきます。実際にご自身で注射を打ってみることで、「実は痛くない」「意外と簡単にできる」ということが身をもって確認でき、安心して治療を始められるというケースも非常に多くみられます。また、治療を開始された後も、注射の打ち方に不安を感じたり、注射の方法を再確認したいという患者さんに対しては、日本糖尿病療養指導士、糖尿病看護認定看護師の資格を有するスタッフが外来で随時指導を行っています。
副作用などを心配される患者さんもいらっしゃいますが、インスリン注射はもともと体内に存在している物質を補うためのものなので、実はリスクの少ない治療法です。さらに当センターでは「安全第一」をモットーに、低血糖を起こさないように配慮したインスリン導入方法を行っています。入院のように短期間で著しい改善を望むことはできませんが、患者さんが普段の生活を大切にしながら、「昨日より今日、今日より明日」と少しずつゆっくり着実に改善していける治療を目指しています。
3.内分泌・代謝科専門医による内分泌疾患の診療にも力を入れています
当センターでは糖尿病治療と並行して、下垂体、副腎、甲状腺および副甲状腺など内分泌線に関係する疾患の診断・治療にも力を入れています。
とくに内分泌疾患で多いのがバセドウ病や橋本病などに代表される甲状腺疾患で、当センターを受診される患者さん全体の約2割を占めています。
それほど一般的な病気でありながら、人間ドックや健康診断などで甲状腺の検査が行われることはまだ少なく、また他のさまざまな病気と似た症状が多いことから発見が遅れ、重症化してしまう場合も多くあります。
当センターでは関連各科との連携のもと、最新の情報に基づいた正確な診断および適切な治療を行っています。