【9月5日 AFP】イスラム教の聖地があるサウジアラビアが、今週末から始まる大巡礼「ハッジ(Hajj)」に向かおうとするイラン国民の入国を許可しない方針を打ち出したことから、イランの最高指導者アリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師は、聖地の管理をめぐりサウジ政府を強く非難する声明を発表した。

 ハメネイ師のウェブサイトに投稿された声明は「誇り高く信心深いイランの巡礼者たちに対し、聖地への道を遮ったサウジの統治者らは、圧制を敷く自分たちの王位の存続が世界の傲慢な大国の擁護、シオニズムと米国との同盟にかかっていると考える恥知らずで誤った人々だ」と述べている。

 またハメネイ師は、イスラム教の聖地であるメッカ(Mecca)とメディナ(Medina)を管理する守護者とされているサウジ王室が年に一度の大巡礼を政治化していると批判し、それによって「大悪魔(米国)の利益を損ねることを恐れて身震いするか弱い小悪魔に身を落としている」とも述べた。

 さらに「神の客人に対するサウジ支配者たちの抑圧的な態度は、二つの聖地の管理と大巡礼の問題について、イスラム世界に根本的な再考を迫っている」としている。

 治安問題などに関する協議が物別れに終わったことを受けて、イラン国民は過去約30年で初めて、メッカへの巡礼を事実上、許されないことになった。中東で対立し合う大国として、最近の両国関係は日頃から良好とは言い難いが、今回のハメネイ師の発言はその中でも強烈な批判となっている。(c)AFP