ただSpaceXにはザッカーバーグの遺憾表明への対応だけでなく、金銭的な補償もしなければなりません。今回の事故によって、衛星運用会社であるSpacecomの資産損失は3000万~1億2300万ドルにもなると予想され、同社の株式は事故直後に9%、その後さらに34%も値を下落しました。
また、Spacecom社は中国Xinwei Technologyと合併交渉の途上にあり、その条件としてAMOS-6通信衛星の打ち上げ成功、正常な運用開始があったとされます。SpaceXの法務担当者Gil Lotan氏は「我々は実り多き交渉を続けたい」とする一方、Xinwei Technology側担当者は9月2日の時点では、「事故が統合宇宙情報ネットワークの広範な戦略に影響を与えないだろう」としつつ、週明けはコメントを控えています。
Spacecom社のサイトより
ロケットの回収失敗を除けば、SpaceXは2015年6月の打ち上げを失敗(この時は打ち上げ2分後に空中爆発)し、2015年12月の再開以降、9度の打ち上げでは必ず積荷を軌道へと投入するか、もしくはISSへ届けてきました。
今回の事故については、その原因は現在のところわかっておらず、発射場の設備などを含めた損害の総額もまだ判明していません。またロケット打ち上げにかけている保険が(打ち上げ前に発生した)今回の事故に適用できるのかどうかも不明です。なお、事故が発生した第2打ち上げ場は、NASAのスペースシャトル打ち上げを最後にこれまで使われていませんでした。
ちなみに、記事執筆時点でSpaceXは今後の打ち上げスケジュールへについて何も発表していません。ただ事故原因の特定と対策の実施をしなければならないことを考えると、前回の打ち上げ失敗のときのように数か月は影響がおよぶことになりそうです。