会いたかった――
こんにちは、氷太よ。
今日は市川けい先生の
『スロウデイズ』
を頂いていくわね。
この漫画は
『スロースターター』
の登場人物のその後、大学生なってからの人間模様を描いていく作品。
と思いきや、コレ短編集でござる。
アタシはてっきり1冊丸まるこの子達の大学生活が描かれるのかと思って、ドギマギしてたんだけど、結構アッサリと幕を閉じるわね・・・ウン。
ただ収録されている短編が軒並み優秀過ぎてケチのつけようがないわ。
まあねえ~、確かにしょうがないのかもねえ・・・。
だって高校生と大学生の恋愛の違いって何よ?
基本的に同じよね?
一人暮しとかそういうファクターが付加されるだけだものね。
そう考えると1冊全部この後日談のお話を描かなくって正解だったのかも。
基本的に前作を読まないとお話についていけないかもしれないわね。
少なくとも良さは半減する。
逆に前作を読んで共感を覚えた人は、ニヤリとするような物語の始まり方を迎えるわね。
ああ・・・この子達のその後が見れるんだ・・って。
凄い期待させてくれるのよね。
もう初めから爽やか爽子ちゃんよ。
物語冒頭
デートの待ち合わせをしてて
キヨ「おーす」
イノ「おーす」
あらすじ
大学生で一人暮らし、ちょっと大人になったキヨとイノが再び登場!
大人気コミックス「スロースターター」の続編4作品を収録。
もだもだラブデイズ、待望の1冊。
ほか、「こっち向いて笑って」浅野&筧のショート続編、社会人男子の恋心をシニカルに描いた読み切り作品をはじめ、伝えられない切ない初恋、無自覚SMカップルなど、グッとくる完全読み切り作品3編+コミックス描き下ろし。
こんな感じね。
やだわ・・ちゃんと短編に関しても記載されてるじゃないの・・・。
氷太、あらすじとか全然事前に読まないタイプの人間なのよね。
アタシ、市川けい先生の作品って『スロースターター』しか読んでないのよ。
だからこの「こっち向いて笑って」の続編に関しては完璧に訳が分からんかったわな。
ここだけ注意かな。
登場人物
*スロースターターを参照くださいませ
感想
2人の仲に亀裂が入ったとか、そういう方向に進む事が一切なかったってのが好印象。
普通そういう展開に繋げがちよね。
アタシが仮に作家さんだとしたら、アタシもそうしてると思う。
だって物語作りやすいもんその方が。
ところが今回は、大学生になって
「1人暮らし」
という要素と
「アルバイト」
という要素を新しく付加した上で、めちゃめちゃお熱い2人を描いていく事になるわね。
まあ何が1番高校生の時と違っているのかっていうと
・会う時間を作るのに多少努力が必要になっている
って事ね。
大学も違う、住んでるエリアも違う、アルバイトもしてるから時間も限られる。
だから学生でありながらも、子供の恋愛から大人の恋愛に変化していく2人の様子が主になってくるかな。
2人ってほんと恋愛と友情が絶妙に混在した関係だと思うのよね。
てっきり相手の家に入り浸ってたりするんだろうな・・・と思ってたんだけど、全然違ったわ。
ここの理由にも淡いドラマがあるから、注目して欲しいところね。
まあでもさ、読んでて思うのは
「そんなに相手の考えてる事って分かんないもの?」
の一言に尽きるかな。
そういうあどけなさっていうか、ピュアな感じがこの2人らしいっちゃらしいんだけどもね。
あと前作から結構時間が経ってるのかな?
画力の向上が著しいんだけど、前作のような無骨なタッチの絵の方が個人的には好みだったかな。
イノがボーイッシュな女の子に見えて仕方ない。
短編はほんっとどれも良かった。
正直言ってこの後日談のクオリティ超えてる作品いくつもあったわね。
ちょっと紹介していこうかしら。
―とりとめのない恋の詩―
ある日、主人公の胸にポッカリ穴が空くの。
ポエム的な表現じゃなくって、物理的に。
何でこんな現象が起こるかは分からないんだけど、今の自分の気持ちに呼応してこの穴が形を変えていくのよね。
ある日はこの穴が鬼になってたりするのよ。
この斬新な発想・・・!!
アタシより市川けい先生の事が好きになったわ!
久々にドラマ性だけでなく、練りに練られた設定という物を見せ付けられた気分ね。
―風の隙間―
大学院生版スロースターターみたいなお話ね。
先輩・後輩のお話なんだけど、この心地よいもどかしさを何て言えば表現できるのかしら・・・。
付き合ってるのに敬語の後輩ってさ、萌えない?
アタシはすげえ萌えるのよね、根が体育会系だからなのかしら・・・。
物語のテーマになっている要素は
「相手を大事に考えれば考えるほど、行動を起こせなくなる」
これね。
2人共良い人同士だからこそ起こり得たドラマよ。
個人的にはアタシ1番この短編が好き。
発展シーンも凄い艶っぽいしね。
かわいくて仕方ないわこの2人・・・。
―あの箱庭―
ちょっと健全とは言い難い高校生のお話ね。
かといってスレているわけでもないけど。
まあよく居る高校生のお話って所かしらね。
物語自体が短いため途中挟まれる意味深な表現の意味とか、方言を使用するため
ごめん、何言ってるか全然分かんない(CV神谷浩史
とか、デメリット要素があるわね。
どこの地域の方言なのかしら・・・?
でも注目して貰いたいのが、この物語のラストよ。
このお話はまあノンケとかホモとか、そういったものに潜む問題を描いているわけでは決してないのよね。
あくまで高校生活の日常を切り取ったお話なの。
でもこの最後は、ノンケに恋をしたアタシの知り合いの最後の様子に凄く被って見えて、凄く重みを感じたわ。
一体何を見据えていたのかしらね・・・・。
読み手に解釈してくださいっていうような流れなのよ。
アタシ、あんまり好きじゃないのこういうの。
・・・でも良かった。
デメリット要素なんか吹っ飛ぶくらい最後が本当に良かった!!
まとめ
全部「スロースターター」の後日談だと思って読み始めると肩透かし感がある。
ちょっとファンブックに近い内容のお話もあるしね。
だけど絶対に短編も読み抜いて欲しい!
この漫画の真骨頂は最初の後日談のお話と、読みきりの短編だと思うから。
絶対に後悔しない短編集よ!!
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