サイズもコストもかさんでしまうと。
Googleがモジュラー式スマートフォン開発プロジェクト、Project Araを中止するようです。事情を知るふたりの人物の情報として、ロイターが伝えています。
Project Araは、レゴのように好きなパーツを組み合わせてカスタマイズできるスマートフォンとして開発されてきました。いちばんシンプルなバージョンは50ドル(約5200円)と低価格に抑えて、でもプロセッサは高速なパーツにしたり、ハイエンドなカメラのパーツを必要なときだけ追加したり、みたいな使い方が考えられていました。
スマートフォンのパーツをユーザー自身が選んで組み合わせられるようになれば、必要な機能だけ必要なときに持ち歩けるし、自分だけのオリジナルスペックの端末を持つこともできるはずでした。それに一般的なスマートフォンと違ってパーツごとにアップグレードできるので、従来のように買い替え時に全パーツを手放す必要がなく、ムダをなくすことも期待できました。
ただ、米GizmodoのChristina Warren記者が指摘しているように、全部が1パッケージに収まっていてシンプルな方がユーザーにとってわかりやすく、今は圧倒的な主流になっています。LG G5みたいな外付けモジュール満載の端末もありますが、全然売れてないみたいで、モバイル部門全体のリストラにまでつながってしまったようです。
スマートフォンだけじゃなく、ノートパソコンだってどんどん薄く軽くなるにつれ、買ってからのカスタマイズはどんどん難しくなっています。残念ながら、ガジェット全体で、使い捨てが当たり前になってしまっているんです。
だからこそProject Araにはがんばってほしかったんですが、もし発売されていたとしても、我々が想像するより割高になってしまったかもしれません。Techalysis ResearchのBob O'Donnellはロイターの記事で、「パーツを自由に組み替えられるようにするとひとつひとつがかさばり、コストもかさんでいた」とコメントしています。
そんな課題があったためか、Project Araは2015年の段階で発売計画が延期されていました。予定通りなら、今頃プエルトリコで使えるようになっているはずでした。
もしかしたらProject Araは、Google発のスマートフォンではない形で生き延びるのかもしれません。ロイターでは、Project Araの技術が他社にライセンスされて市場に出る可能性があると言っています。また9月5日時点ではProject Araのページには「デベロッパーエディションの出荷は2016年秋」と表示されたままです。
Projece AraはGoogleの中でも先進的なデバイスのプロジェクトを手掛ける「Advanced Technology and Projects(ATAP)グループ」のフラッグシッププロジェクトでした。が、Google全体としてはChromebookとかNexusとかも含めたハードウェアの開発を統一する方向に動いていて、今回の決定はその一環のようです。
スマートフォンがみんな同じような感じに落ち着いてしまってる今日この頃、モジュラー式というアイデアは斬新だし合理的だと、かなり期待していました。本当に中止されてしまったならすごく残念ですね…。
source: Reuters
Christina Warren - Gizmodo US[原文]
(福田ミホ)