現在の開発者不足を引き起こしたもともとの原因は、2011年当時に開発をサポートしていたオラクル社がOpenOfficeプロジェクトを終了させようとし、それに反発した主要開発者がこぞってLibreOfficeプロジェクトを立ち上げて出て行ってしまったこととされます。
オラクルは後に翻意し、OpenOfficeのコードとその後の開発をASFへと委ねました。しかし強力な開発陣を揃えたLibreOfficeが主要なLinuxディストリビューションで標準のOfficeソフトウェアとなり、WindowsやMacにもユーザー層を拡大するのを前に、OpenOfficeの存在感は次第に薄れつつあります。
両者の差は開発の勢いに現れています。LibreOfficeが2015年の1年間で14回ものアップデートを重ねたのに対し、OpenOfficeは2014年8月にバージョン4.1.1をリリースしてからは極端に開発ペースが低下し、2015年10月にバージョン4.1.2のリリース以降、一度もバージョンアップを実施していません。
さすがに、セキュリティパッチのリリースに1ヵ月もかかっているのではオフィス生産性ソフトウェアとしての信頼性にも関わります。ハミルトン氏が開発終了を取締役会に問うたとしても無理もない話といえるかもしれません。
とはいえ、いまもその名前に信頼性を抱く忠実なユーザー層がいることも事実です。2015年の間に、OpenOfficeは2900万回以上ダウンロードされました。2012年からの累積ダウンロード数は1億6000万回を超えています。
OpenOfficeに貢献する開発メンバーのひとり、フィリップ・ローズ氏はハミルトン氏のメールに対し「この話題を出すこと自体が誤りだ。プロジェクト終了を検討するよりも先に、より多くの開発者を惹き付ける方法を議論・検討するべきだ」と意見しています。