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【国際】米中、パリ協定同時批准 温暖化対策では足並み【杭州=平岩勇司】米国のオバマ大統領と中国の習近平国家主席は三日、二〇二〇年以降の地球温暖化対策の新たな枠組み「パリ協定」を批准したと共同発表した。気候変動問題で足並みをそろえ、両国の協調を誇示した。世界の温室効果ガスの約四割を排出する米中の批准は、日本を含む各国の批准を強く促す形となり、協定の早期発効へ大きく前進した。 両首脳は三日、協定批准に関する書簡を潘基文(バンキムン)国連事務総長にそれぞれ提出した。四日から中国・杭州で始まる二十カ国・地域(G20)首脳会合に合わせた形だ。 習氏は三日、杭州で演説し、「クリーンな循環型社会を進め、省エネや環境保護を堅持するのは中国の国策だ」と強調した。 パリ協定は、先進国だけに温室効果ガス削減を義務付けた一九九七年採択の京都議定書に代わる新たな国際ルール。昨年末にパリで開かれた国連気候変動枠組み条約第二十一回締約国会議(COP21)で採択された。温室効果ガス排出量で世界全体の55%以上を占める五十五カ国以上の批准を受けて発効する。日本は早期批准に前向きなものの、政府は批准案をまだ国会に提出しておらず、米中が先行する形になった。 オバマ氏は三日、杭州へ到着し、夕食会も含め習氏と約三時間会談。会談の冒頭、習氏は中米関係の重要性を強調し、オバマ氏は「気候変動は米中の協力によって成し遂げられる成果の一例だ」と応じた。 ホワイトハウスによると、オバマ氏は会談で南シナ海の領有権にかんする中国の主張を否定した仲裁裁判所の判断に触れ、国連海洋法条約の順守を要求。また、両氏は北朝鮮の核ミサイル問題での連携強化や、サイバー攻撃問題での協力についても確認した。 新華社通信によると、習氏は南シナ海問題で米国に「建設的な役割」を果たすよう求めたほか、最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD=サード)」の在韓米軍配備に反対する考えを表明した。 米中首脳会談は今年三月以来で、オバマ氏は来年一月に任期が切れるため、習氏との首脳会談は最後となる見込み。 <パリ協定> 京都議定書に代わって2020年からの実施を目指す地球温暖化対策の新枠組み。昨年末の気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で採択。世界の温室効果ガス排出量を今世紀後半に実質ゼロにし、産業革命前からの気温上昇幅を2度未満、できれば1・5度に抑えるのが目標。批准国が55カ国以上、世界の総排出量の55%以上に達すると30日後に発効する。同条約事務局によると、9月1日時点の批准国は24カ国で、総排出量に占める比率は約1・1%。 PR情報
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