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» 2016年09月05日 06時56分 UPDATE

量産時の価格は100万円程度の見込み:ボンドカーが現実に 緊急時は水に浮き、ホイールが水をかく異彩のEV車 (1/2)

川崎市の小型EVメーカー「FOMM」が「水に浮く」小型電気自動車を開発した。まずは、海外での製造・販売からスタートするが、量産が軌道に乗れば逆輸入で日本国内を疾走する日も遠くなさそうだ。

[産経新聞]
産経新聞

 ベンチャー各社がこぞって開発を進める小型電気自動車(EV)の世界で、「水に浮く」というユニークなコンセプトで異彩を放つ、川崎市の小型EVメーカー「FOMM(フォム)」。大手メーカーで二輪車開発、1人乗りEVの企画・開発などに携わり、キャリアを重ねた鶴巻日出夫社長(54)が独立を決めたのは、「少しでも多くの人に快適な4人乗りのEVを提供し、EVの魅力を知ってほしい」との思いからだった。

きっかけはバイク

 父親のバイクを借りて乗り、「こんなに簡単に坂を上れるなんてすごい」と感動したことがエンジニアの道へ進むきっかけとなった。

 高等専門学校を卒業してスズキに入社。二輪車の開発とともに、趣味としていたモトクロスバイクで社が関わる海外レースの対応も担った。

 その後、EV開発のため二輪車開発経験のある人材を募集していた自動車内装部品メーカー、アラコ(愛知県豊田市)に転職。ここからEVと関わる人生がスタートし、トヨタ車体(愛知県刈谷市)では1人乗りのEVを手掛けた。さらに移ったSIM−Drive(シムドライブ、東京都千代田区)では、3人乗りの小型EV企画を進めたが、開発を主体とする同社での量産化が望めなかったため、独立を決意する。

 起業当初から苦難の連続だった。自己資金が少ない中、当てにしていた出資予定者から見送りの連絡が創業初日に入っていきなり窮地に。

 それでも、事業趣旨に賛同してくれたベンチャーキャピタルや、シムドライブ在籍時に担当者と面識があった大同工業や日本特殊陶業から出資を獲得することができた。

タイで量産化予定の小型EV「FOMM Concept One」のイメージ(FOMM提供)
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