比 麻薬取締りで警察が1000人以上を殺害

比 麻薬取締りで警察が1000人以上を殺害
フィリピンでは、薬物犯罪に強硬な姿勢をとるドゥテルテ大統領が就任してから2か月余りの間に、取締り現場で警察官によって殺害された人の数が1000人を超え、司法手続きを踏まない捜査が横行している事態に、国際社会からの批判が高まっています。
フィリピンでは、半年以内に国内からの麻薬の撲滅を公約に掲げるドゥテルテ大統領がことし6月に就任して以降、麻薬取り引きに関わったとして現職の裁判官や国会議員の実名を公表するなど、強硬な姿勢で取締りを進め、警察によりますと、これまでに1万5000人近くが逮捕されたほか、およそ70万人が自首しているということです。
一方、ドゥテルテ大統領は取締り現場での警察官による容疑者の殺害を容認する姿勢を示していて、警察によりますと、4日までに1019人が警察官によって殺害されたということです。
警察は、いずれの現場でも警察官が銃撃を受けるなどしたことによる正当防衛だったと説明していますが、無防備な相手を射殺したという目撃証言も相次いでいます。
逮捕や起訴といった司法手続きを踏まない捜査が横行している事態に、国連や国際的な人権団体が国家による「超法規的な殺人」だとしてフィリピン政府を非難するなど、国際社会からの批判が高まっています。

麻薬絡んだと見られる殺人事件も相次ぐ

フィリピンでは麻薬に絡んだと見られる殺人事件も相次ぎ、警察によりますと、ドゥテルテ大統領が就任してから、4日までに1400人近くが殺害され、いずれの事件も犯人は逮捕されていないということです。
中には一般の人も事件に巻き込まれて犠牲となるケースもあり、先月にはフィリピン北部の町で、麻薬取引に関わっていたとされる男の住宅に何者かが銃を発砲して、5歳の女の子が死亡しました。
地元メディアは、麻薬に絡んだと見られる殺人事件が相次いでいる背景の1つとして、薬物の密売を取りしきる政治家や、捜査で押収した違法薬物を横流しする警察官などが、みずからの不正の発覚を逃れるために、他人に依頼するなどして密売人や麻薬の購入者を殺害している疑いがあると指摘しています。