全国の雨男、その中でも日頃の行いが悪い人々の業がいよいよ溜まり、容器がいっぱいになってしまったのか、日本列島を撫でるような弧を描く台風が近づいている。その張り詰めた弓なりの進路は殺意以外の何物でもなく、来週には我々ジャパニーズピーポーは滅びるだろう。短めな人生だったが、まあしかしそれなりには楽しんだ。悔いなし。
そんな事を考えて眠りについたが、朝起きると外は晴れ。あがらう夏の最後の空には大きな入道雲が屋台の綿菓子のように青いキャンバスにベタついていた。
どこかにいきたい!この夏、ペヤングばかり食べていてどこにも行けなかった私に、家の者が放つ清涼感溢れる言葉を、歯ブラシに練りつけて、右手とハートを小刻みに震わせる。朝ごはんを食べる習慣がない私に、だから大きくなれないのだ、出世もできないのだ、この豆鯵が。と罵る彼女らの言葉にダメージを受けながら、ダメージ加工されたジーンズを履いて出かける支度を済ませた。
妻が予め聞いていたママ友からの情報で、『文化パルク城陽』という場所が最高にパリピでカチ上がるらしい。更に現在行われている『プラネタリウム×恐竜』という組み合わせが最高にまぶくて、なるほど、こいつは確かに興味をそそる。かつて恐竜図鑑をバイブルとし、トリケラトプスの模型で祖父の太ももに血が出るぐらい突撃して遊んでいた私、そんな恐竜大好きな私はまんまと妻の操るルアーにリアクションバイトして、googleマップのナビに『文化パルク城陽』をセットしたのだった。
先日、高速道路で爆発した私のライトなバン。新しい200系のハイエースが欲しいなぁと考えながらロードサービスの人の車に同乗して会社に帰った私を待っていたのは、ライトなバンであった。(建設業は社用車をプライベートでも使わせてくれる会社が多い。ただし車は選べない。)
上記の経緯で新型セドリックならぬ、新型ライトなバンに乗った我々は、はるか南の地『文化パルク城陽』を目指した。
コンビニへ行きたい!と後部座席に置かれた小型はつり機とトルエンの一斗缶に挟まれた、嫁と娘の声は、ボウズのスピーカーから流れるジャニスジョプリンの声にユニゾンして私の耳に届いた。
この一言が私の楽しい休日をクライベイべーするとは、この時はまだ誰も知らなかった。
(続きを書くのが面倒になったので、誠に勝手ながら二部構成とします。ごめんね、愛しています。)