Bloomberg Betaの投資条件を日本語訳してみた

英報道機関BloombergのCVC部門であるBloomberg Beta。彼らの投資方針はGIthubにアップロードされており、いつでもチェックができる。今回、試しに日本語訳を勝手にしてみたので、参考にしてください。

BBさんは、いわゆるFintech やソフトウェア、アプリケーションへの投資が主たる業務と思われ、一見、自分の業務とは別物です。が、創業者とVCの関係性については「リアルテック領域への投資」でも通じる要素があると思いました。


ここから最低でも1つあって欲しい

創業者とチーム

  • これまでに達成した並外れた実績
  • 世界最高峰の経験か、超ド級の従業員
  • 問題への深いコミットメント(もし10年かかっても取り組むか。資金調達ができなくてもずっと続けられるか)
  • このチームのために働きたいと思うか

製品と市場

  • 他の人に使うよう、頼まれなくても自発的に語るくらいユーザーが熱心か?
  • 製品を通じて「ワオ」となる経験ができるか。ユーザー数の伸びとエンゲージメント(B2C)
  • 顧客からみて売り込まれる必要がない、満額をすぐに支払いたくなる>エヴァンジェリストによる布教(B2B)
  • 独占的な顧客への到達ルート、競合優位性としての販売ルート
  • タイミング(まさに今しかないという要素)

ビジネス&経済性

  • 驚くほど儲かる

ディール条件

  • なし(ディール条件がよいかどうかは、投資する理由にならない)

重要な指標(考えをポジティブ/ネガティブにも左右しうる要素)

創業者とチーム

  • 人間/非人間のコンビネーション。創業者たちに認知的不協和があること
  • 必要なときにのみ出費、リターンが明確になるまで資金には慎重
  • 強烈なプレッシャーや強い批判への反応
  • 働く人のために他所にない価値提案(問題に対して唯一取り組める場、チームへの参加動機そのものたる、一緒に働きたい創業者)
  • もし早期に成功しそうな予兆がある場合、創業者たちは長く続けられるか

製品と市場

  • 誰かが既に挑んでいる(いい傾向)
  • 明確な初期ターゲット市場。驚くほど狭く、影響力の高い領域
  • 今追いかけるべき1つの指標(たいがいはエンゲージメントか満足度)
  • 今のビジネスファッションを無視
  • 市場でナンバーワンの製品をつくる能力(ネットワーク効果、顧客ロックイン囲い込み)
  • ユーザーにとって最も重要なプロダクトとなりうること
  • 我々だけの固有の能力で手助けできる
  • もし居るならば、直接の競合のハッキリとした定義と、市場でより優れている提案ができる理由

ビジネスと経済

  • 資金調達する明確な理由(何に使われるのか)
  • VCから調達する明確な理由(VCからなるべく調達しないほうがいいと助言することも多いため)

ディール条件

  • 創業者が十分な割合を保有している
  • リスクと報酬のフェアな比率
  • プロラタの権利
  • 経営情報へのアクセス、特に財務情報
  • 他の投資家も手助けできる
  • 成功の際、もともとの投資のときよりも投資の意気込みが何倍にも増えていること

交渉の余地のない必要事項

創業者とチーム

  • 信頼に足る(i.e. まだ少々の破綻でも教えてくれるか)
  • よりお金を稼げる、利益を生むようにできる
  • 経歴チェックが完了していること
  • ベイエリアかニューヨーク(もしそれ以外の拠点ならば、我々が最良の投資家だと信じるに足る強い理由があること)

製品と市場

  • 金融サービスになることなく「仕事をよくする」
  • 私たちの投資領域とフィットすること(特定の市場で勝者になると我々が判断できる)
  • 既存の投資先と直接は競合しない

ビジネスと経済

ディール条件

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書きかけのデータが消えたときの対処法

大事な作業中のデータが消失すると焦りますよね。バックアップをとり忘れていることもあるでしょう。

そんなときは「バックアップなら、あるぜ。ここにな」と言いながら、こめかみのあたりをトントンとしながら作業再開すればよいのです。

うまくいく気持ちが湧いてきます。

以上、ご査収くださいませ。

(書きかけのエントリが消えたのを思い出しながら)

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課題管理表はリアルテック・べンチャーに馴染むのか?

役所や大企業のやり方をベンチャー企業に押し付けるな

とあるプロジェクトで、「この課題管理表に沿って、浮上した課題を記入し解決にあたりましょう。ミーティングは月次ベースでお願いします」という打診を受けました。

果たして、このやり方ベンチャーにとって有益か?

ベンチャー側にはメリットがあるのでしょうか。ベンチャーには日々、いわれなくても課題が生まれているかと思います。それはそうです。これまでないものを世の中に適用しようと、その齟齬を必死で埋めようとしているわけです。法規、売上・予算、人員などさまざまなものを柔軟に繰り合わせて価値を生み出します。結果として現状ときしみがあり、問題がやまほど発生します。

問題発生と同じところに留まらない

ただしベンチャーの場合、問題発生と同じくらい、経営の舵取り次第で問題無効化・解消化も可能ではないでしょうか。事業上のポジショニングや採用技術を変えていくことで、「あったはずの問題が起こらなくなっている」という解決の仕方をとることができます。結局、会議でリストアップした課題そのものが陳腐化していくのです。

逐次突き合わせ対応を強いる方法は無駄

だから1個1個つきあわせて管理をすることを念頭においた課題管理表というエクセルが、スタートアップのテンションを下げそうだな、と思います。そうでなくても「ほかに山程問題があるのになあ」という状況です。月次でまめに対応して炎上は消し、成長を阻みそうな課題をつぶし、というのがリズム的に合うのか疑問です。また一行ずつ読み上げて、「この課題はどのようにしてますか?」と問い詰める予実管理もスタートアップのやる気を削ぎそうです。

リストそのものは無駄ではないかもしれない

あえてメリットを認めるとすれば、「重要でない課題は無視していい」という前提をわかちあえばこそ、ではないでしょうか。「一番深刻な課題には対処している」であれば、細かい課題はどうでもよいのです(たぶん)。

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冴えない研究には、Claimが不足している

具体性に欠けたり、進歩が見えない。何か活動が多い(やってる感)だけで、研究が進まない。とすれば、それはClaimがないのでは?

と、こんな心臓がキューッとなるような

自省をうながすスライドがありましたのでお知らせします。

科学技術論文では、「正誤が客観的に判定できる言明」

研究とは、「新しいClaimを提示し、それを立証すること」

Claimである例として、「DNAは二重らせんである」「笑顔を形成すると精神が向上する」。

断定系にするとよい。

それが「どうやったら立証できるか」(決着をつけられるか)実験手法もあわせて検討すれば、そのまま研究計画が出来上がる。

「決着がつく」というのも研究者の実情にあった表現だ。時間や予算、やる気のリソース制限が途切れる前に白黒つけ、「それ以上やるかどうか決める」というのも含まれているように感じる。むしろ私は「決着」ということに科学的な正誤判定以外にもリソース制約からくる白黒判定を迫られるニュアンスもあるとして使いたい。

Claimでない例

  • 研究領域を言っただけ
  • 具体性がない
  • 作りましたはクレームにならない

Claimは言語化すべき。言語化して始めて良し悪しが判断できる。言葉にならない良さは、その先の話。

まずは「AはBである」と言ってみろ、ということ。

Claimが決まると初めて判定できる

  • なんでそれやるの?意味ある?(研究する価値)
  • 他にやっている人がいるよ?(新規性)
  • 他の◯◯という方法ではだめ?(新規性/比較)
  • 本当にうまく動いている?(根拠/評価/再現性)

確認しよう

  • 今やっている研究のClaimを言えるか?
  • よりよい問題を発見できないか?
  • Claimを立証する手段として研究(や論文)が構成されているか?
  • 典型的ツッコミへの答えが用意されているか?
  • 他人の論文のClaimを意識して読んでいるか?

一般的に研究室に来ているほうが捗る

そらそうだ

聞く能力は大事&わかったことは共有する

  • 聞く能力=何がわからないか説明する能力
  • 何がわからないか正確に把握している=問題は半分解けている

Input/Output/自分の作業/eventのバランスを考える

研究者にとって新しいことを考えたり試行錯誤したりしている以外の要件は究極的にはすべて雑用です

指導教官はリソース&ツール

ただしshared, limited, 気まぐれなリソース。間違ったことを言うかもしれない

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研究成果の事業化に乗り出すときには、ぜひリバネスにご相談ください

お願いがあります。リバネスでは、ディープ・テックもしくはリアルテック、すなわちwebだけで完結しないハードウェア、ロボット、自動車、バイオ、ヘルスケア、エネルギー、食・農業、水産、海洋などの分野の研究成果の社会実装を目指す研究者を募集しています。ITに比べて遥かに事業化が大変と言われる分野ですが、少しでも社会実装に漕ぎ出そうとお考えでしたら、私どものwebサイト(https://techplanter.com/entry/)から、6月中にエントリーしていただけないでしょうか。

リバネスが一緒に汗をかいて支援します

TECH PLANTERは、入り口こそビジネスプランコンテストですが、研究成果の社会実装を目指す研究者を、ビジネスとサイエンスがわかるコミュニケーターが伴走して事業化をすすめるプロジェクトです。研究成果や研究にかけてきた想いをまず私達がじっくり聞いて、わかりやすく伝える方法を開発し、事業計画を一緒にたて、大企業や投資家へ紹介してビジネスや資金調達に繋げていきます。大学事務としてのURAや技術移転機関のTLOでもなく、金融機関の人間でもなく、「科学とビジネスを理解し、わかりやすく伝える」職能を持ったコミュニケーターが伴走するのが、TECH PLANTERの特徴です。

大企業や専門家への橋渡しを手伝います

研究を一所懸命やってこられた先生が、少しでもスムーズに事業化に漕ぎ出せる支援環境を整えたい、と考えてパートナー企業を巻き込んでいます。年間パートナー企業の事業会社とタッグを組むことで、ベンチャーが早期に共同研究契約を結んだり、事業提携やM&Aの可能性を模索できます。また、大学とは勝手の異なる「会社で行う研究開発」や「研究とマーケティングを並行させること」を実感をもって取り組めるでしょう。また、今年の年間パートナー企業は、昨年から数を増やして、より広範なテクノロジー領域をカバーできるようになります。(具体名はもう少しお待ち下さい)。そして研究開発型企業への投資をすると明言しているファンドや、知財や法務など研究者にとっつきにくい経営方面に関わる助言をくれる経営支援パートナー企業もそろっています。

昨年の優勝者の1人は、研究に人生を捧げてきた人

昨年のテックプラングランプリの優勝者は15年以上研究に人生を捧げ、口下手で内向的な性格の人でした。今でも性格は変わっていないかもしれませんが資金調達に成功し、実用化・事業化に向けて大きく前進しました。なお、これほど研究者にメリットを提供しながらリバネスはどうやって儲けているの?とよく質問されますが、パートナー企業からのオープンイノベーション関連研究予算や、スポンサー・広告宣伝費用など様々な名目でお金を頂いています。「新しい事業の可能性を検討する場の、プラットフォーム利用料」です。

まずはwebエントリご登録から

さておき、研究成果を元にベンチャーをつくって成功させるのはとても長い長い道のりですが、ビジネスプランコンテストへの申請を皮切りに準備を始めてみませんか。会社を始めていなくても結構です。メンバーが1人からでも申請できます。しかしながら、事業が始まる前から熱心に話を聞く民間の機関は相当少数です。門前払いされないのが嬉しかった、研究の突っ込んだ話を理解してくれた、というお礼をいただいたこともあります。6月中にエントリいただければ、7月2日のキックオフイベントでプレゼンする枠を用意できますし、書類〆切に向けて十分なディスカッション期間を作れます。最終選考会出場への準備が捗るでしょう。

プロフィール登録からはじまります

そこで、15分程度、プロフィールやおおまかな研究概要を教えていただくだけないでしょうか。それで、ひとまずのエントリ完了です。そこからコミュニケーターがついて2人3脚で事業化についての相談に乗らせていただきます。遠隔の人はSkypeなどで連絡を採りましょう。7月2日のキックオフイベントで皆様とお会いできるのを楽しみにしています

https://techplanter.com/entry/

追伸:それにしても、ビジネスプランコンテストの優勝がどこのチームだろうと……集まってきた研究者の顔ぶれを想像するだけでワクワクしてきませんか?

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