せめてもの救いは、かつて長官を務めた経験のある新組織委員長が5月に就任し、組織内の公務員の綱紀を正し、財政問題については政府との円滑な意思疎通を図ると述べたことだ。平昌冬季五輪は江原道だけのイベントではない。全国民を一つにした2002年のサッカーW杯韓日大会のように、韓国全体の祭典としてつくり上げてこそ成功するのだ。政府が推進する原州-江陵間の鉄道複線化が完了し、第2嶺東高速道路が完成すれば、山と海を四季それぞれに楽しめる観光リゾート地・江原道が、まるで首都圏のように近くなる。五輪が残す最高の遺産は、もうすでに手に握っているようなものだ。国民が将来的にずっと誇りを抱けるよう、大会を無事成功させることに国のパワーを集中させればよい。
ブラジルで開催されたリオ五輪の閉会式では、次期大会の開催地である日本の安倍晋三首相が自国のゲームのキャラクター「スーパーマリオ」に扮(ふん)して登場するというサプライズを行った。12年のロンドン五輪の閉会式では、英国のエリザベス女王が映画『007』シリーズの主人公、ジェームズ・ボンドにエスコートされてヘリコプターに乗り、会場の上空からパラシュートで飛び降りるという演出があった。
平昌五輪の開会宣言は、退任を半月後に控えた朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が行う。新たに就任する次期大統領も出席するだろう。開会・閉会式の演出チームは、権力交代の時期と重なる平昌五輪で、この珍しい場面にどのようなメッセージを込めて世界に発信するのか、考えに考え、頭を悩ませるべきだ。