【AFP=時事】犯罪者を殺害して一掃するとの公約を掲げ、5月の大統領選で地滑り的勝利を果たしたフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領。その公約は、南部の都市ダバオ(Davao)の市長を20年間務めた時代に、非情な治安対策を指揮した経験に裏打ちされたものだった。当時のドゥテルテ氏は、暗殺部隊を使って容疑者1000人以上を殺害したと非難された。
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警察によれば、この1か月で麻薬関連の容疑者402人が射殺された。また人権団体は、さらに数百人が自警団に殺害されたと主張している。加えて何千人もが拘束され、予算不足で過密状態の刑務所に長期間押し込まれている。
■マニラ発「墓場シフト」
明け方まで待つ日もあれば、早い時間帯に遺体が発見されたと連絡が入ることもある。確かなのは、首都マニラ(Manila)警察の夜の「墓場シフト」の時間帯は、その不吉な呼び名にふさわしいということだ。
5月9日の大統領選以降、私は日中のAFPマニラ支局での仕事に加え、マニラの警察管区内で夜を過ごすようになった。
ロドリゴ・ドゥテルテ氏は、何千人もの犯罪者を殺害すると約束して、大統領に当選した。彼の脅迫が実行に移されるならば、そのときに現場に居合わせたいと私は思った。
選挙から数日後、警察は酔っぱらいや大人の付き添いがない子ども、上半身裸の男性たちを検挙し始め、地域レベルで夜間外出禁止令も施行した。これまでになかったことだ。
それから数週間後、遺体の山が築かれ始めた。
私は無線を使って、街で起きていることに関する情報を得ている。寝ているときも電源を入れたままだ。
事件取材では警察とのコネが役立つが、私は自分のルールとして、警官と親しくなることを避けている。多くの警官がメディアに報道されることを喜び、自分が解決した事件の記事を切り抜いてデスクに飾ってあるほどだ。逮捕した窃盗犯の写真を撮影してほしいと、私にテキストメッセージを送ってきた警官もいる。
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