54/242
50話 Aランクのダンとカラスの目覚め
では、50話になります。よろしくお願いします。
クラウドを出発しておっさんの住んでた山側の反対側についた辺りで夜になったので野営の準備に追われている時に俺は声をかけられる。
「Bランクのトールだな?俺はAランクパーティ「今夜の一杯の為に」のリーダーのダングレストだ。ダンって呼んでくれ」
そう紹介され、ダングレスト、ダンを下から上と観察する。使い古されたように見えるがしっかり整備された皮鎧に長剣を腰に下げた身軽な格好だが歴戦の戦士という風格を感じさせる。ぼさぼさの髪に無精髭が似合う、美中年だ。
難癖付けに来たなら面倒だが、最初からケンカ腰ではあれなんで普通にそうですと認めて様子を見る。
「まずは謝らせてくれ。あの場で本当なら俺が纏めて緊急依頼を勧める立場にあったんだが、躊躇してる間にお前にさせるハメになった。すまなかった。言い訳させて貰うと、俺達のパーティもそろそろ引退を考え始めてた矢先でつい守りに入ってしまったんだ。Aランクと言ってはいるが既に俺達の実力はAランクを名乗れないほど衰えている。更に恥を上塗りする覚悟で、この後の指揮なども任せていいか?」
Aランクというプライドもあるだろうに10代半ばのガキに恥を掻き捨てて、頭を下げるダン。
逆に少し疑った自分がちょっと恥ずかしくなる。
「頭を上げてください。こんな小僧にそこまでする事ないです。それに俺はダンさんにも力を借りたいと思ってます。俺達は戦う力だけはそれなりにあると自負してますが、経験というものが圧倒的に足りてません。そういう歯抜けになりがちな行動を諫めてくれる年長者のベテランがいてくれると思うと心強い限りですよ」
豆鉄砲を受けた鳩のような顔をしたダンさんが突然笑い出す。
「こんなおっさんを持ち上げてくれるのか!面白いなお前は、そんな事言われたら、ジジイになった時の自慢話でお前を支えたってさせてもらうかな?だから、お前はこれも乗り越えて、もっと大きな事をしでかす男になってくれ。俺の自慢話に更に箔が付く」
俺の肩をバンバンと叩いて楽しそうに笑う。
「分かった、俺が出来る事はやってやるよ。とりあえず、今、見張りの当番だな。俺が他の奴らに振ってきてやるよ」
「ちょ、俺も見張りやるよ」
はぁぁ~と大袈裟に溜息を吐いて見せるダン。
「総大将はしっかり休んでおくんだよ。こういう時は」
「でも、俺だけそんな楽をするって」
食い下がろうとする俺にダンは被せるように言ってくる。
「お前が体張るのはこんなところじゃないだろ!本番は明日だぞ?先陣切るというお前の仕事があるんだぜ?」
言いだしっぺがそれをして成功させないで士気が上がるかよ、と俺を叩く。
「後の事はおっさんに任せて、寝とけよ」
手をひらひら振りながらダンは俺から離れて行った。
俺は剣で戦ったら勝てるだろうけど、口で戦ったら完全敗北させられそうな男だとダンを見つめて溜息を1つ吐いたら、ルナ達を捜しに行って、見張りは任せていい事になったと告げ早めの就寝する事にした。
早朝、俺達は出発して、村を一望できる場所に着いた。そこから見える景色にうんざりした。
「あれはちょっと凄いな」
「ちょっとってお前は凄いな肝が据わってる総大将で俺達は心強いからいいがね?」
例えるならオタクの祭典の会場の開場間際の入り口前って感じだ。街道を並ぶようにしているモンスターを見て、嘆息が零れる。
「なあ、ダンさん、あれに対する策ない?」
「お前、分かってて言ってるだろ?時間がたらふくあるならない事もないが今回は正面突破以外ねぇーだろうな」
だよね、と追従する俺。
「徹、私だったらあそこに先陣切れるよ?」
美紅も私もいけますっと俺に言ってくる。
俺は2人を見つめて首を振る。
「先陣は言いだしっぺの俺が切る!2人には他の冒険者のフォローをお願いしたい。俺の口車に乗ってきた奴らだ、悪い奴らじゃない。できるだけでいい、死なないように立ち廻ってくれないか?」
少し心配そうな顔で俺を見つめるが、2人は了承してくれた。
「お前って本当に色んな意味ですげーな?」
ダンさんの言っている意味が理解できない呟きを聞き流し、俺達は村に近づくべく山を降りて行った。
山を降りて、モンスターを視認できる距離に来て、疑問に思う事が出てきた。
「おい、トール。これはもしかしたらモンスターパニックじゃないかもしれないぞ?」
ダンさんがそう言ってくる。丁度俺もそれを疑い出したところだったので頷く。
モンスターは先程からも俺達の近くを通ったモノもいたが俺達に目もくれず村へと走っていった。
「ダンさん、ここから見えるだけでいいから魔法に強いモンスターはどれぐらいいるか分かるか?」
「あ、なんだ?こんな時に」
そう言いつつもダンさんはモンスターの種類を確認していく。
「ここから見えるだけになるが特に魔法に強いモンスターはいないな」
俺の中でピースが繋がっていく。余り良い想像じゃない。
「ダンさん、これはモンスターパニックじゃない!エルフの軍にたまたま魔法耐性高いモンスターが揃ったなんて偶然なんかない。ここのダンジョンに魔法耐性の強い奴らが一杯いるなら、俺達の目の前にもそれなりにいないとおかしい。誰かの意図で起こっているモンスターパニックもどきだよ」
眼を剥くダンさん。
「つまりどういう事だ。トール」
「あの村に奪いたいのか壊したい、物なのか者があるんだろう。しかし、そこまで大がかりにやるようなモノがあるのか?」
ルナが結界がある方向を見て、俺に呼び掛ける。
「徹、結界が壊れ始めてるの。後、5,6時間しかもたないの」
時間の猶予もないか、迷ってる時間もないらしい。
しかし、これを切り開く事はできるのか!俺がもっと強かったら・・・
-やっと強さを求めてくれたな、主よー
「誰だ!」
俺は辺りを見渡すが、ルナ達は何も言ってない、むしろ俺の行動がおかしそうに見てる。
しかも、この声は俺は覚えがありまくる。
-主よ、声に出さずとも思うだけで我と会話は可能だー
(フレイの声で俺に語りかけるお前は誰だ!)
そう、この声はフレイドーラ、フレイの声であった。
-まず、我は主がカラスと呼んでいる剣に宿りしモノだ。フレイドーラの力が込められている。ベースがフレイドーラな為、我の声などが同じになってしまっている-
フレイがすぐ知る事だって言ってのはこれのことかと気付く。
(なんで今まで話しかけなかった)
-フレイドーラによる、能力解除のキーワードがあった為だ。主が強さを求めた時、力になるように封印されていたー
まったくフレイもそういうのは始めから使えるようにしてくれてたらいいもののと軽く我儘めいた気持ちになる。
(カラスでいいのか?名前は?)
-主が呼びやすいようにするといいー
(では、カラス、お前の力を使ったら、あのモンスターの群れを突破できるか?)
カラスから鼻にかかるような笑いのようなイメージが伝わる。
-容易い事だ。主よー
俺は不思議そうを通り過ぎて心配そうに見てるルナ達に俺は言う。
「今から俺が先陣を切る。ルナ達は頼んだ事をやってくれ」
後ろを振り向き、腹から声を出して叫ぶ。
「俺が道を切り開く。俺の後ろを着いてこい!!」
もう引き下がれないなっと他の冒険者に見えない位置で苦笑する。
(いくぞ、カラス)
-いつでもいいぞ、主よー
カラスとアオツキを抜き、俺は村へと続く街道にいるモンスター目掛けて走りだした。
モンスターの群れに飛び込んだ俺は、カラスにやれと念じて振り抜く。
するとモンスターに襲いかかる衝撃波でモーゼの十戒を連想させるかのように道が生まれる。
やった自分でドン引きである。
-これは今の主では連発はできん、呆けてないで斬り込まないと無駄になるぞ?-
我を取り戻した俺は切り開かれた道を駆け上がる。襲いかかってくるモンスターを切り捨てながら走ると村の入り口が見えた辺りで真っ黒のオーガいるのに気付く。
「オーガって黒かったか?」
呟く俺にカラスが答える。
ーあれは変種だ、主。レッサードラゴンも餌ぐらいにしか見てないような奴だ、油断だけはするなー
アイツを倒したら、村までに障害らしい障害はない。時間をかけず倒して駆け抜ける。
カラスとアオツキで同時に両手を切り裂き、腕が使えない状態にしてカラスの一刀で首を撥ねる。
オーガを倒した俺は、後ろに向かって叫ぶ。
「村まで駆け抜けろ!気合い入れていけ!!」
そして、俺達、冒険者の1人も欠けずにエルフの村へと到着する事に成功した。
俺は村の真ん中で集まっているエルフを見つけ、状況確認するために近づいて行った。
感想などよろしくお願いします。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。