キーボードを買っただけの話なんですけど…
去年、10年ほど使ったキーボードがついに具合が悪くなってきたので買いかえた、という話を書いたのですが、
約10年使ったキーボード。新しいキーボード。 - あれこれやそれこれ
そのキーボードの代わりにMicrosoftのキーボードを買ったのです。でも1ヶ月もしない間に行方不明に(いや、どこかに片付けたはずなんだけど)要するに、フィーリングが合わないんです、フィーリングが。この記事にも書いたんですけど、
僕がブログを書くときの大事な要素である「脳みそ-指-キーボード-文字」という一連の動作が気持ち悪い。
脳は動いてて指も動いてるのにキーボードの反応が悪い。触り心地が良くない、思った時に思ったように動かない、そして文字がうまく浮いてこない。 ストレスが溜まる。それが結局気持ち悪くて、AとSがちょっと鈍いけどMicrosoft Natural Multimedia Keyboardに戻ってたんです。
しかし。AとSがキュルキュル音がしたりうまく押せないのにはさすがに私も諦めざるをえません。涙をのんでお別れすることにしました。10年間、ほぼ毎日文字を奏でてくれたキーボード。火葬には出来ないのでびわ湖にでも沈めよう(いやそれは怒られる)燃えないごみに出すことにします。
さて、次のキーボードをどうしよう、と悩んでいたわけです。
新しいキーボードの条件
安物買いの銭失い、という言葉があるように「安かろう悪かろう」はやっぱり良くないし、できれば10年くらい使えるようなキーボードを選びたい。また、今のMicrosoft Natural Multimedia Keyboardは音が大きい。
ガチャガチャガチャガチャ、ベコンベコン(スペースキーを叩く音)バーン(エンターキーを叩く音)夜遅くにこれを使うのは結構はばかられる。
ということで新しいキーボードについての条件を決定するべく、1人で運動と瞑想と野菜350グラムを摂取したところ、このような意見がまとまりました。
- 静音性
- タッチが軽い事
- 高寿命
- 有線、無線はこだわらない
- 多少クセがあるキーボードでも長期で使うのでOK
- テンキーはいらない
- できれば小さいほうがいい
- 平べったいものよりコリッと立体的なほうがいい
- 金額?そんなもんどうでもいい(言ってみたかっただけ)
そして検索することあれやこれや、二つのメーカーに絞られました。それが「東プレ」と「PFU」でございます。
ではここで簡単に東プレとPFUの製品について・・・簡単にですよ?
東プレ=Realforceシリーズ
東プレという会社の興りはプレスメーカーとして東京の江東区に作られた東京プレス株式会社です。1960年台の行動成長期にプレスから冷凍冷蔵機器、ついで電子機器へと分野を広げていきました。その中で独自の方法「静電容量無接点方式」による入力機器(キーボード)が高い評価を受け、金融機関やデータセンターなどの一流の現場で使われるようになった、という流れ。
キーボード(REALFORCE) | 電子機器関連製品 | 製品情報 | 東プレ株式会社
「静電容量無接点方式」???
この記事にわかりやすくまとめられています。
【TGS2015】ハイエンドキーボードの先にあるもの~東プレブース「静電容量無接点方式とは?」|APPREVIEW
実はこの方式、「無接点」という名称からも明らかなように、厳密にはスイッチ機構ではありません。
この方式は各キーに備わった、円錐バネで弾性支持されたシリンダー状の軸部品を押し下げることで、そのシリンダー状部品の底についた誘電体の接近・離脱によって各キーの部分に用意されたコンデンサ回路の電荷容量(静電容量)を変化させ、それを電気回路で検出することでオンオフを判定する仕組みです。
簡単に言うと金属の先端と先端がふれあうことで通電し「オン!」となるような仕組みではなく、キーを指が押し下げたことを電気が検出し「あ、オンしたわ」となる感じ(すいませんあってますよね?)
金属の接点などがあれば摩耗して故障したり、一番下まで押し下げないと「オン・オフ」が判別できなかったものが「ちょっと押し下げただけで入力を判断してくれる」という仕組みなんですね。その分高寿命で長時間使っても指が疲労しにくい。ただしお値段がちょっと高い。
そしてびっくりするのが種類の多さ。すごく簡単に分けると「テンキーがあるかないか」「タイプするキーの重さ」「キーの多さ(英語か日本語か)」です。面白いのがタイプするキーの重さで、軽いのから30g、45g、55g、そして変荷重(へんかじゅう)っていうのもあるんですよ。
変荷重っていうのは、たとえば小指のような力の入れにくいところは軽くタイプできる30g。真ん中の力の入れやすい所はしっかり押せるから55gというようにタイプする重みがわざと変化させてあるっていうんですね。確かに人差し指とかは力が入れやすいですけど、小指ってギュッと力入れにくいですからね、軽くタッチして入力を判別してくれると楽かもしれません。
で、東プレでいろいろ見ている中で僕が一番気に入ったのはコレ。
REALFORCE91UBK-S っていうやつです。
メーカーのページに載ってるスペックはこのような感じ
さて、さっきの僕の要望と見比べてみます。
- 静音性 ○(静音タイプとうたってますから)
- タッチが軽い事 △(変荷重タイプなので)
- 高寿命 ◎(静電容量無接点方式なので)
- 有線、無線はこだわらない ○(USBで接続)
- 多少クセがあるキーボードでも長期で使うのでOK ○(Amazonでも高評価)
- テンキーはいらない ○(テンキーなしが選べるので)
- できれば小さいほうがいい 366×168.5×38(㎜)
- 平べったいものよりコリッと立体的なほうがいい ○(コリッとしてる笑)
- 金額 Amazon、楽天とも2万円ちょうどぐらい
ほぼ期待通り。ただ残念なのが「テンキーなしで変荷重なし、静音」というのが見つからないこと。僕には変荷重って気持ち悪いんです。例えばピアノを弾くときって同じ勢いで叩くじゃないですか。それが小指はやわらかく、人差し指が固い鍵盤とかだったらやっぱり気になるなぁって。
では次はPFU。
PFU=HHK
次はPFU。PFUは石川県のコンピューター関連メーカー。PFUという社名が「Panasonic、FUJITSU、内田洋行」から来ているというのが英語のくせに斬新(笑)NHKの「日本放送協会」には負けるけど。いろいろな紆余曲折があって今は富士通の完全子会社、古河グループにいるのだそうな(ウィキペディアより)
古河グループ??古河グループと聞くとピンとこなくて「富士通の方が有名じゃね?」となりそうでしたが、調べてみると納得。
- 古河機械金属
- 古河電気工業
- 富士電機
- 富士通
- 横浜ゴム
- ADEKA
- 日本軽金属
- 日本ゼオン
- 朝日生命保険
- みずほ銀行
そうそうたるお名前が揃っていらっしゃる。さすが古河財閥。
さて、そのPFUが作っているものといえば、イメージスキャナでは世界トップシェアなのだそうです。不勉強ですみません。あとはなんだか難しい名前の仕事を一杯されておられるようで(笑)詳しくはこちらへ・・・
さて、そのPFUの作っているものの1つにHHKというものがあります。
HHKというのは Happy Hacking Keyboardの略だそうで、HPにはこうあります。
アメリカ西部のカウボーイたちは、馬が死ぬと馬はそこに残していくが、どんなに砂漠を歩こうとも、鞍は自分で担いで往く。
馬は消耗品であり、鞍は自分の体に馴染んだインタフェースだからだ。
いまやパソコンは消耗品であり、キーボードは大切な、生涯使えるインタフェースであることを忘れてはいけない。
【東京大学 名誉教授 和田英一】
このHHKというのはPFUと和田英一という教授の共同研究で作られたキーボードだそうです。
Happy Hacking Keyboard | 和田先生関連ページ | PFU
でもこのHHK、先ほどの東プレの静電容量無接点方式を使っていると思ったら、HHKは東プレからOEM供給されてるんですね。じゃあ東プレでも良いような気が…とも思ったのですが、この和田教授とやらの研究結果をPFUが活かしてキーボードを作るにあたって、最適だったのが東プレの静電容量無接点方式だった、ということのようです。
東京大学の和田英一名誉教授の著した1995年度WIDEプロジェクト研究報告書にある個人用小型キーボードを株式会社PFUが具現化したものである。和田によれば、
- キーボードは基本的入力デバイスで生涯使えるものなので、猫の目のように配列が変わらないこと。
- 必要最小限のキーにより、持ち運びの可能な小ささを実現すること。
- UNIXプログラマ向きのキー配列
を重視して作られたとのことである。
和田名誉教授によると「Happy Hacking Keyboard」の代わりに「キー坊」も名称の候補であったという。
よかった、キー坊という名前になっていなくて本当に良かった。
そろそろウチのブログを愛読している人ならピンと来ているでしょう。「サキはこういうストーリーが好きである、だからおそらくHHKを買うに違いない」と。
そうだよ正解だよ!こういう話好きなんだよ!!同じ東プレの技術だって分かっててもPFUのHHKのほうが良さそうに思っちゃうんだよ!!
ということですいません、気に入ったのはコレです。
一応さっきの要望リストも並べてみましょうか。
- 静音性 ○(通常品からの静音対策品なので)
- タッチが軽い事 ○(45gなので)
- 高寿命 ◎(静電容量無接点方式なので)
- 有線、無線はこだわらない ○(USBで接続)
- 多少クセがあるキーボードでも長期で使うのでOK ○
- テンキーはいらない ○(テンキーなし)
- できれば小さいほうがいい 294×110×40(㎜)※ほぼA4半分のサイズ
- 平べったいものよりコリッと立体的なほうがいい ○(コリッとしてるらしい)
- 金額 PFUの各オンラインショップで共通、29700円。
ん、んん。そうか、そういうことな。キーボードの配列も日本に対応してるしこれなら違和感なく使えそう。ちょっと欲しかったカーソルキーもあったし。今時のキーボードの流行りは「Bluetooth、ワイヤレス、タブレットにも接続可」とのことですが、あえてそれらに逆行しても良いんじゃないかなと思っています。
ということで
まあどこで買っても値段が一緒だったので、在庫を持ってるAmazonで。ポイントがちょっと残ってたので若干安く買えました。月曜日が楽しみだなぁ。
ちょっと使ってみたらまたレビュー書いてみます!
※決してこの記事は「東プレがダメ」と言ってる訳ではありません。使ったこともありませんので。ただ、僕の調べた結果でHHKと縁があったなぁという感覚でご理解ください。次はもしかしたら東プレのキーボードを買うかもしれませんし。