もう、戻らない
著作権の問題があれば、すぐ削除したいと思います
最悪だ。
最低で、最悪の日だ。
春
私の15歳の誕生日。
人生の節目とも言える中学校の最終学年になり、この日は素敵な日になるはずだった。
ただ、誰も知らなかったのだ。
玄関の前に狂った男がいたことなんて。
それを知らずに扉を開けてしまうことなんて。
私は目の前の光景をどこか遠くで眺めていた。
にやにやと下卑た笑いをして腰を振るこの男。こいつの後ろには父と兄が赤に染まって倒れている。見るだけでわかった。このままでは死んでしまう。
そういえば、母はいったいどうなってしまったのだろうか。母が玄関を開けたとほぼ同時、悲鳴が聞こえたことは記憶に新しい。男のナイフには血がついていたので少なくとも怪我をしているだろう。
ぼんやりも考えるこれは現実逃避だ。
どうなっているのだろう。
どうなってしまったのだろう。
私は今、どうなっているのだろうか。
混乱と、擦り切れた恐怖の中で私の視界は黒く霞んでいった。
◼◼◼◼◼◼◼◼◼
目を覚ますと病院だった。
ひどくだるい。濁流のような記憶に混乱する。ただ、清潔で暖かい場所にいるということがたまらなく嬉しかった。病院でこんなに安心したのは初めてだ。
そこで私は迫り来る睡魔に抗えず、瞼をきつく閉じた。
もう一度起きた時、医者や、警察の人から事情を説明してもらった。どうやら兄と母は生きているようである。
だが、そのことに安心するよりも父の死が、心を打ち砕いた。
父を殺し、兄を傷つけ、母と私を犯した男は、当然のことながら牢屋に入れられ処刑を待つ身になった。
科学が発展したこの国で、きっと辛く苦しい死が与えられるのだろう。
私のこの気持ちを、少しでも分かればいい。
知って、理解して、苦しみを与えられる方法が、この国にはあるのだから。
すごいね。科学は、最高に平等な罰だ。
なにが科学だ。平等だ。
ビルの立ち並ぶ灰色の街に桜が舞った。
父が死に、殺した犯人は死んだ。
もう、あの日々は戻らない
「桜がきれいだね」
父の遺影は無言だった
分かりにくいであろう話の流れ解説。
『私』の誕生日で家族全員リビングに集合
↓
ピンポンがなり、『母』が玄関を開けにいく
↓
『母』の悲鳴、軽い怪我を負う
↓
父と兄が玄関へ向かおうとする
↓
リビングの扉の辺りで男と遭遇、父と兄に怪我
↓
『私』が犯される←物語ここから
↓
騒ぎにより通報
↓
警察到着、病院搬送、狂人逮捕
↓
男は、現行犯で有罪判決、処刑決定
↓
私目覚める
↓
男処刑
↓
葬儀
たぶん、こんな感じ
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。