【ソウル=小倉健太郎】サムスン電子は2日、8月19日に発売したスマートフォン(スマホ)の最新製品「ギャラクシーノート7」で、販売済みのほぼ全量にあたる250万台を米国や韓国など10カ国・地域で回収すると発表した。日本では発売していない。消費者から充電時に出火したなどといった連絡を受けて調査したところ、一部の電池に異常が判明した。10カ国・地域では当面販売も中止するため、業績への影響は避けられない。
世界中で急速に普及しているスマホで、大手メーカーが品質の問題で大規模な回収に踏み切るのは初めてとみられる。サムスン電子のスマホ事業を担当する高東真(コ・ドンジン)無線事業部長は2日、ソウル市内で記者会見し「品質についてもう一度考え直す契機にしたい」と述べて謝罪した。
ノート7に使う電池は2社から供給を受けており、このうち1社の製品の製造工程に問題があったという。サムスン電子は供給メーカーを明らかにしていない。
関係者によると、ノート7には韓国のサムスンSDIとTDK子会社の香港アンプレックステクノロジーが電池を供給しており、「サムスンSDIの電池が原因とみられる」という。
回収する250万台のうち消費者が購入済みなのは100万台超で、残りは流通在庫などと説明している。1日発売の中国向け製品は、安全対策済みで販売を続ける。
消費者から回収する場合は要望次第で新たなノート7や他機種に交換する。返金にも応じる。ただ、代替機の生産に使う資材調達の問題などから交換は韓国の場合で9月19日からとなる。消費者の不安解消のため、サービスセンターに端末を持ち込めば電池に異常がないかどうかを確認できる態勢を3日から整える。