意外と知らない通夜やお葬式でのマナー、業界の裏事情を綴った今、注目のサイト「考える葬儀屋さんのブログ」。「ライブドアブログ OF THE YEAR 2015」にも選ばれた同サイトの管理人・考える葬儀屋さんに聞いた、恥をかかない今のうちに知っておきたいお葬式の常識とは――。
葬儀屋さんブロガーの「考える葬儀屋さん」と申します。
みなさんは「家族葬」という言葉を聞いたことがありますか? 雑誌や新聞で葬儀特集が組まれると必ず出てくる流行語です。
では、家族葬ってどういうお葬式のことなんでしょうか?
実は私にも“分からない”のです。
一番多い誤解が音楽葬や仏教葬のように家族葬という形式のお葬式があるという考え方。でも、家族葬の流れは普通のお葬式とまったく同じです。
社葬といえば「会社が費用を負担する葬儀」というように定義がありますが、家族葬の場合、定義というものがありません。強いて言えば、「家族を中心とした小規模なお葬式」という意味になるでしょうか。
この家族葬という言葉、1990年代に関西の葬儀屋さんが使い出したという説が有力です。しかし、その当時から家族葬がどういった葬儀を指すのかということがはっきりしないまま、言葉だけが一人歩きをはじめて、全国に広まってしまったのです。
なぜ実体がないにもかかわらず、家族葬という言葉が広まってしまったのでしょうか?
それは「家族葬」という言葉から、「費用が少なくて済む安い葬儀」という印象を消費者が持ってくれれば、「自分たちに仕事の依頼が舞い込む」というように葬儀屋さんが考えて、積極的に宣伝したからです。
しかし、葬儀屋さんにとって、その葬儀が家族葬かそうでないかというのは、実はどうでもよい問題なのです。お葬式の司会や案内状の文言に家族葬という表現が使われることはありません。
つまり、お葬式の席で公式に家族葬という言葉が使われる機会はないのです。強いて言えば、参列してほしくない人に対して体よく断るときの理由として「家族葬なので」という言い方をするくらいでしょうか。
実際に葬儀屋さんが実務上、気にするのは、参列者のために用意するお返し物と料理はどれくらい必要かということだけなのです。多すぎても少なすぎても都合が悪いですからね。そのため参列者の人数は気にしますが、葬儀をどのような名前で呼ぶか、ということは大した問題ではないのです。
葬儀には誰を呼ぶべき!?
なかには、家族葬にすれば葬儀費用が少なくて済むと考えている方もいるようですが、家族葬にするしないは遺族の出費にはほとんど無関係です。
仮に家族葬ということにしてお返し物と料理の数を減らしても、その分参列者が持参する香典も減ってしまうので、大して葬儀費用の節約にはつながりません。
ちなみに同じ誤解を与えている言葉で最近は「一日葬」なるものがあります。
これは本来、お通夜・お葬式と2日間行うべき手順をお通夜を省いて、1日にしてしまった葬儀のことです。これもお通夜の料理代が浮くだけで大して葬儀費用の節約にはつながりません。
遺族の方が家族葬で最も気を付けなければいけないことは、「家族葬」という名前に引っぱられて遠い親族や近所の人の参列を断ってしまうことです。
「家族葬」だから家族のみでやらなきゃ、と誤解してしまうのです。家族葬というのは葬儀屋さんが商売のために考えた言葉に過ぎません。
お葬式には呼びたい人を我慢せずに呼ぶようにしてください。
週刊SPA! 8月17日
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