浅沼愛
2016年9月3日05時01分
和歌山市の土木建設会社で4人が死傷した拳銃発砲事件。逃走した溝畑泰秀容疑者(45)=8月31日に自分の腹を撃ち死亡=は住宅街の木造アパートに、17時間以上、立てこもった。「こんなことで死にたくない」。未明に2階の部屋の窓から雨どいを伝って自力で脱出した住人の男性(73)が、恐怖と緊迫に満ちた当時の様子を話した。
「ガサガサッ」。8月31日午前1時過ぎ。アパート2階の自室で目を覚ました男性は、部屋の前の通路の方で音がするのを聞いた。
「猫かな」。玄関わきの窓から網戸越しに外をのぞいた。通路の鉢植えを手入れする時に腰かけている椅子に、見知らぬ男が座っている。左手に銀色、右手に黒色の拳銃を持っていた。
同29日に4人が撃たれた発砲事件は、アパートの約100メートル東の土木建設会社で起こった。容疑者が逃げているのは、もちろん知っていた。「警察が守ってくれとるんかな」。一瞬そう思ったが、服装の違和感で、すぐに溝畑容疑者だと気づいた。布団に潜り込み、ひたすら息を潜めた。
■容疑者にライトで何度も照らされた
しばらくして階段付近で大きな音がした。階段を照らしていた蛍光灯が割れた音だった。男性の気配に気づいたのか。溝畑容疑者が玄関そばの網戸越しに、横になっている男性を、持っていたライトで何度も何度も照らす。2人の距離はわずか数メートル。「こんなことで死ぬのはいやや。生きたい――」。強く思った。
溝畑容疑者は、通路や向かいの…
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朝日新聞社会部
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