安倍晋三首相の3日の東方経済フォーラムでの演説要旨は次の通り。
ウラジオストクをユーラシアと太平洋を結ぶゲートウエー(玄関)にしよう。プーチン大統領に(5月に)ロシア南部ソチで会った時、日本がロシアに協力できる分野を8つに絞り込んで提案した。日ロのもっと緊密な協力が生み出す将来の可能性への強い確信を共有しよう。日ロ経済は競合関係にない。見事に補完する間柄だと確信する。ロシア極東地域をアジア太平洋への輸出拠点とし、未来への投資を進めよう。
プーチン氏に新しい提案をする。年に一度ウラジオストクで会い、8項目の進捗状況を互いに確認しようではないか。
多くの国々が日本の「カイゼン」の手法に習熟するなか、ロシアはまだ日本企業と深く付き合うことで起きる生産思想の革新を経験していない。プーチン氏が目指す製造業大国へ至る道には近道がある。日本企業と組むことだ。
プーチン氏と私にはこの先、大きな課題が待ち受けている。限りない可能性を秘めているはずの重要な隣国同士の日ロが、今日に至るまで平和条約を締結していないのは異常な事態だ。
私たちはそれぞれの歴史に対する立場、おのおのの国民世論、愛国心を背負ってこの場に立っている。しかしこのままでは、あと何十年も同じ議論を続けることになってしまう。それを放置していては、未来の世代により良い可能性を残してやれない。私たちの世代が勇気を持って責任を果たそうではないか。
70年続いた異常な事態に終止符を打ち、次の70年の日ロの新たな時代を共に切り開いていこう。プーチン氏と一緒に力の限り、日ロ関係を前進させる覚悟だ。
(ウラジオストク=島田学)