敗戦にファンは寂しそうに引き揚げる。春先に見せたようなスピード感あふれる野球が見たい…(撮影・安部光翁)【拡大】
不快な汗が肌をベタつかせる。体を蒸すような空気そのまま、虎の攻撃は重かった。スピード感がまるでない。春先でみせたあのワクワク感、ドキドキ感はどこにいったんだろう。泣いても笑っても残り1カ月。金本野球の神髄をみせてくれ!
「バント失敗したり、エンドラン(失敗)とか…。成功したバントもあるけど得点圏にいってから、ずっともう…。2、3年前からの課題というか。チャンスで打てない」
笛吹けど踊らない。いや、踊れない。だからこそ、笛を吹く回数も減ってしまう。そんな悪循環に陥っている気がする。
象徴的なシーンは七回だった。先頭の中谷が中前に弾き返した。2点ビハインド。中谷の足や大和が2安打していたことを考えると、ベンチが仕掛けるのでは? と推察したが、サインは犠打。DeNAの中継ぎ陣が不安定であることを考えた末の決断だった。「これも大和の打力を考えてのことだから」。指揮官に質問すると、こう返ってきた。大和の投前犠打が二塁封殺とならなければ…、一死一塁から坂本に託したヒットエンドランがファウルにならなければ…。野球にタラレバはもちろん禁物だが、采配もすべてが丸く収まっていただろう。
「ピリッとやらないと、ほんと。何となく流されてやって、(何となくの)流れになって普通にやっているようじゃ、絶対に勝てない」