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第四回科学相性学「酒の科学と料理の相性」  2005年12月14日

会場:白鶴酒造
講師:白鶴酒造株式会社
   研究開発室 課長  伴 光博 氏
講義内容:酔いの科学/飲酒の科学/酒造原料の科学/醸造微生物の科学/醸造の科学/酒と料理の相性/


「時をこえ 親しみの心をおくる」をスローガンにかかげる白鶴酒造を訪問して先ず驚くのは、きれいに整備された広い芝生の庭だ。敷地内には大正初期に建てられて昭和五十七年まで酒造りをしていた木造の重ね蔵と、昭和二十七年に日本で初めて建てられた鉄筋コンクリートの酒造蔵が対照的に並んでいる。木造蔵のほうは平成七年の阪神淡路大地震で倒壊したが、現在は見事に再建されて年間十万人が訪れる人気の資料館となっている。今回はその資料館が会場だ。

※ 重ね蔵:灘の基本的な蔵構造で、東西に長く二つの蔵が北と南に重なるように建てられている。北側の仕込蔵兼貯蔵庫は冬の仕込期に六甲颪を受けて酒造りに好適な低温となり、夏は南からの直射日光を遮り貯蔵庫として低温保持が計られる設計になっている。

今回の講師は主に新製品開発の仕事をされているという伴課長だ。酒を飲むとなぜ酔うのか?に始まり、酒と料理の相性の話まで約1時間。自社の社員で検証した涙ぐましい実験の数々を、ユーモアを交えながら披露された。以下はその講義の一部を抜粋したものだ。

酔いの科学

・アルコールの分解(代謝)

日本人の百人中55人はALDH2が活性型(NN型)であるが、40人が部分不活性型(ND型)、5人が不活性(DD型)である。ND型とDD型の人はこのため酒を飲むとアセトアルデヒドがたまりやすく、顔が赤くなる。
白鶴酒造の実験によれば・・・・・
「日本酒は二日酔いしやすい」は科学的な根拠がない!

これは社内の有志5名に人体実験をして証明し、2005年日本醸造学会で発表したもの。
その実験とは、前日から絶食し、翌朝に清酒を約300cc、または同一アルコールを含む甲類焼酎を飲んで、30分置きに呼気を採取。別の日に試料を交替して同じ実験をした結果、焼酎と日本酒とで、呼気と血液中のアルコール濃度・アセトアルデヒド濃度に差はなかったというもの。
(5人の平均;NN型)

日本酒醸造の工程
水の科学

良い水の条件
・ 雑菌がいない
・ ミネラル(カルシウム・カリウムなど)が多い⇒酵母の発育に良い
・ 鉄分が少ない⇒鉄は着色の原因になる
六甲の伏流水「神戸ウオーター」は、酒造りにも最適。
神戸ウオーターは赤道を越えても腐らないのは雑菌がいないからという。

米の科学
良い米の条件
・ 粒が大きい高度精白ができる
・ 割れにくい高度精白ができる
・タンパク質や脂質が少ないこれらは酒の雑味になる
・ 心白部がある麹菌の菌糸が入りやすい
これらの特性を有した山田錦は、最高品質で「酒米の王者」と呼ばれる。1994年、白鶴は、山田錦の両親(山田穂と短稈渡船)を70年ぶりに掛け合わせて、白鶴錦を造った。

醸造の科学
・ 発酵の化学反応式 

酒と料理の相性
・白鶴の「酒と料理の相性」の考え方

白鶴では酒質特性(甘辛・濃淡・香りなど)と料理特性(甘味・塩辛味・酸味・苦味・旨味など)の相性関係を飲食テストなどからルール化し、3つの基本型を編み出した。
・バランス… 日本酒と料理の味の強さをあわせること
・ハーモニー… 日本酒と料理の両方がお互いに作用しあい調和した味を生み出すこと
・ウオッシュ… 料理の後味や嫌味を日本酒で洗い流す効果のこと
※ 詳しくは白鶴のHP「フォーラム・酒談義 〜お酒と料理の相性〜」でご覧下さい。

                    <以上、講義の一部を抜粋>

さて講義が終わり、ロ利酒テストも終わった後で前回同様、20代の女性に講義内容について訪ねてみると、難しい化学式はあったものの説得力のある実験の話がとても印象に残ったという。ロ利酒で出された酒の好みは、蔵生原酒と純米酒と鶴姫派に分かれた。また、どんな時に日本酒が欲しくなるかを訪ねると、割烹料理店で和食(刺身やオデンなど)を食べる時だそうで、普段居酒屋ではいろんな食べ物を一辺に頼み、飲む酒はビール、カクテル、チューハイとのこと(まあ、仕方ないか)。

インタビューを終え外に出ると凍えるように寒い。これは熱燗で一杯やらなくちゃ〜と、新人君及びインタビューに応じてくれた女性に声をかけると、即座にOKの返事。一路、サケハウス駒に向かったのでありました。

 

さて気になる新人君のテスト結果ですが・・・・・・
● 沢の鶴でのロ利酒テストは・・・100点
●ヒデさんの筆記試験は・・・・・・ 58点
でした。すごい!進歩してきてますね!
 
さてさて、講義も終わって、1週間後。
「今回も張り切ってテストしてもらいましょうか。」

気になる問題はこちら→ テスト問題を見る

           前回のテストの解答

 

++

白鶴酒造の概要を話された生産管理部の中井部長
講師の伴課長
化学記号を見るのは何年振り?
講義の後は白鶴の歴史を映像で
会場風景

作り物とは思えません

瓶詰め最初のラベル
今回のロ利酒商品
・ 蔵生原酒
・ 純米大吟醸「翔雲」
・ 淡麗純米
・ 吟醸「鶴姫」
対するブラインド酒
昔の酒造り用具を解説する伴講師
ウ〜ン、Bかな
この色は原酒だな
同じ量づつカップに入れて口に含むのですゾ(ヒデさんからの陰の声)
「ライスビューティー」という化粧品の展示
 
       
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