中国 「パリ協定」批准決定 G20前に実行力アピール

中国 「パリ協定」批准決定 G20前に実行力アピール
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世界最大の温室効果ガスの排出国である中国は、地球温暖化対策を進める国際的な枠組み「パリ協定」を批准することを決め、中国でG20サミットが開かれるのに合わせて発表することで、「責任ある大国」として実行力をアピールする狙いがあるものと見られます。
北京では3日午前、全人代=全国人民代表大会の常務委員会が開かれ、そのあと行われた記者会見で、パリ協定を全会一致で承認し、批准を決めたことを発表しました。

パリ協定は、去年フランスで開かれた地球温暖化対策をめぐる国連の会議、COP21で採択された京都議定書に代わる国際的な枠組みで、少なくとも55の国が批准し、それらの国の温室効果ガスの排出量が世界全体の55%以上を占めれば発効することになっています。

中国では4日から2日間、浙江省杭州でG20サミットが開かれ、これに先だって3日夕方からは、習近平国家主席とオバマ大統領による米中首脳会談が行われます。

中国は世界最大の温室効果ガスの排出国で、世界的に注目を浴びやすいこのタイミングで批准を決めたことを発表することで、「責任ある大国」としての実行力をアピールする狙いがあるものと見られます。

批准24の国・地域の総排出量は全体の1%余り

国連本部ではパリ協定の年内の発効を目指していますが、現時点で協定を批准している24の国と地域の温室効果ガスの総排出量は合計で全体の1%余りにとどまり、発効に必要な55%に達するには、国別の温室効果ガスの排出量で世界1位の中国と、2位のアメリカの批准が最大の鍵になるほか、3位のロシア、4位のインド、5位の日本、それにEU=ヨーロッパ連合の動向も注目されています。

パリ協定は、去年フランスで開かれた地球温暖化対策をめぐる国連の会議、COP21で採択された京都議定書に代わる国際的な枠組みで、ことし4月にニューヨークの国連本部で175の国と地域の代表が署名しました。

この協定は、2020年以降すべての国が協調して温室効果ガスの削減に取り組むための初めての枠組みで、少なくとも55か国が批准し、かつ、これらの国々の温室効果ガスの総排出量が全体の55%以上に達すれば、実際に効力を持ちます。

国連気候変動枠組条約の事務局によりますと、現時点で、南太平洋や中央アメリカの国々を中心に24の国と地域がパリ協定を批准していますが、温室効果ガスの総排出量は全体の1%余りにとどまっています。

去年12月までの国連事務局のまとめによりますと、国別の温室効果ガスの排出量では1位が中国、2位がアメリカで、両国の批准が最大の鍵になりますが、両国合わせても37.9%と、55%には届きません。このため国連では、総排出量の12%を占めるEU=ヨーロッパ連合と、国別で世界4位の4.1%を占めるインドが、いつ批准するのかを注視しています。

このうちEUについては、パリ協定の採択で中心的な役割を果たしたフランスのほか、ドイツやイギリスの動向が注目される一方で、旧東ヨーロッパ諸国の中には自国の経済成長への影響を懸念して慎重な立場を崩さない国もあります。

また、高い経済成長を続けるインドは、先月31日、アメリカ政府との閣僚級の協議で協定の批准に向けて迅速に取り組むことで合意しており、国連外交筋は、EU抜きでも、米中両国に続いてインドが批准すれば、年内の発効に向けて大きく前進するとして、インドの出方が焦点だと指摘しています。

このほか、国別の温室効果ガスの排出量で、世界3位の7.5%のロシアや、5位の3.7%を占める日本の動向も注目されています。
国連本部では、今月21日、パリ協定をすでに批准した国や地域の代表などを招いて、年内の発効を世界に訴えるイベントを行うことにしています。