民進党の代表選挙が告示された。蓮舫代表代行、前原誠司元外相、玉木雄一郎衆院議員の3人が立候補し、2週間の選挙戦がスタートした。

 新代表の任期は3年。2018年末までに行われる次の衆院選では安倍首相と対決する可能性が高い。

 民進党が今後、政権交代可能な2大政党の一翼を担う政党であるために、どんな立ち位置をとるべきか。きのうの日本記者クラブ主催の討論会で、各候補が考えを語った。

 「批判から提案、批判から創造」(蓮舫氏)

 「自民党の社会モデルを変える」(前原氏)

 「自民党では失われたリベラルで優しい保守の理念をど真ん中に置く」(玉木氏)

 民進党として次世代の日本をどう描き、そのためにどんな政策を展開するのか。

 15日の投開票に向けて、理念と政策をさらに深掘りした論戦を望む。

 各候補はきのう、政権転落後の党の現状について口々に反省を語った。「安倍政権の支持が高い原因は受け皿となる野党がないこと。野党第1党の責任は極めて大きい」(前原氏)

 安倍首相の「1強」が言われるなか、民進党は国民の信頼を失ったままだ。朝日新聞の最新の世論調査でも民進党の支持率はわずか8%。自民党の4分の1以下にとどまっている。

 この間、安倍政権は特定秘密保護法や安全保障関連法といった国論を二分する法律を数の力で押し通した。民進党をはじめ野党は、政権の行き過ぎにブレーキをかけるという野党本来の役割を果たせていない。

 民進党はこの代表選を、いま一度、政権交代の可能性を感じさせる政党へと再生する基盤を築く第一歩にすべきだ。

 そのことは、ただ民進党のためではない。国会審議が緊張感を取り戻し、日本の民主主義が健全に機能するためである。

 それに向けて、民進党がなすべきは、国民が共感できる日本の将来像と、説得力ある政策と方針を示すことだ。

 アベノミクスに反対なら、民進党としての経済政策をどう描くのか。討論会では5兆円の「こども国債」といった提言も出ていたが、持続可能な社会保障と財政をどう構想するのか。安倍政権がめざす憲法改正にどう向き合うのか。参院選での野党共闘や市民との連携を、次の衆院選でどう生かすのか。

 広く国民に開かれた論戦の過程で、理念と政策を鍛える。そんな代表選にしてもらいたい。