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【芸能・社会】

黒柳徹子、笑顔で「じゃあね!!」 永六輔さんお別れ会に1100人

2016年8月31日 紙面から

永六輔さんのお別れ会で青山葬儀所にしつらえられた祭壇=東京都港区で(石井裕之撮影)

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 7月に83歳で死去した放送作家でタレント永六輔(えい・ろくすけ=本名・永孝雄)さんのお別れ会が30日、東京・南青山の青山葬儀所で開かれ、発起人代表の黒柳徹子(83)ら親交の深かった著名人ら300人と一般弔問客800人が参列した。式典は次女でフリーアナウンサーの永麻理(55)がプロデュース。「泣かないでください。みんなで笑って帰りましょう」と呼び掛けた通り、楽しいことが大好きだった故人にぴったりな明るい会となった。

◆あなたとは 結婚しません

 午前11時。台風10号の影響による激しい雨がやみ、多くの人から愛された永さんをたたえるかのような明るい日差しに変わる中、60年以上親交があった黒柳が弔辞をささげるため、遺影と向き合って立った。

 パーキンソン病や前立腺がんと闘いながら、TBSラジオの生放送「六輔七転八倒九十分」を今年6月まで続けてきた永さん。黒柳は亡くなる4日前とその翌日、お見舞いに行った際の様子について「大きな声で『永さん』って言うと、『アハハハ』と笑ってまた寝ちゃいました」。

 さらに、夜中に永さんのあごが外れ、整形外科に向かうためにタクシーに乗ったが、言葉がうまく話せずお化けだと思った運転手に降車を命じられたエピソードを紹介。会場を笑いに包んだ後、うわさされた結婚の話を切り出した。

参列した黒柳徹子=東京都港区で(石井裕之撮影)

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 妻の昌子さんの死去後、永さんは「黒柳徹子と結婚します」と冗談を飛ばし、黒柳は「あなたとは結婚しません」と減らず口をたたき合っていた間柄。

 「14年半も一人で暮らしているのを心配していたんですが、何かを作って持って行くとか本当に何事もなくて…。でも、本当にいいお友達以上の…同士とか戦友でもなくて、心の中のお友達」と感謝をにじませた。

 永さんは、黒柳が司会のテレビ朝日系「徹子の部屋」には、番組最多タイとなる39回の出演を果たしている。

 「あと10年は『徹子の部屋』をやろうと思いますが、はっきり言って永さんのいないこの世の中は非常につまらないと思う。このごろ、いろんな方が亡くなりましたけど『最後の一撃』というふうに感じています」と、喪失感をあらためてかみしめていた。

 「永さん、どうせまた近いうちにお会いすると思うから。そのときにまた。じゃあね!!」。予定の倍近くとなる約15分の弔辞の最後は、笑顔で締めくくった。

 この日はほかに、永さんが昨年したためたという詩を、孫で俳優の育乃介(22)が朗読。永さんが作詞した名曲「遠くへ行きたい」を、ピアノ演奏に合わせてジェリー藤尾(76)が歌った。

祭壇前で記者の質問に答える次女の永麻理

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◆ラジオスタジオで死なせてあげよう 次女・麻理が計画明かす

 永さんの次女・麻理はこの日、遺族代表として謝辞を述べ、永さんの体力が衰える中で、長女で映画エッセイストの永千絵さんと2人で「ラジオのスタジオで死なせてあげよう」と計画していたことを明かした。

 願いはかなわなかったが、永さんは入院中も家でもマイクで語るような口調で“一人ラジオ”をしていたとも。「寝ているはずなのに、どう考えてもマイクの前でしゃべってるとしか思えない声が聞こえてくる。誰かにダメ出ししたり、指示を出したり…。亡くなるまでそんな風に生きてました」

 訪問医からは「ご本人は亡くなったことに気が付いてないかも」と言われ、麻理は「これ以上見事な死に方があるだろうかと、姉も私も大変満足してます」と話した。

 麻理はお別れ会について「(父は)アイデアマンで仕切るのが上手。友だちの生前葬もプロデュースしてきた。肝心な時に本人がいない」と、やはり無念そうだった。

メッセージカードをポストに投函する柏木由紀子

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◆「大きな大きな存在」 柏木由紀子

 永さんが作詞した「上を向いて歩こう」を歌い、85年に亡くなった坂本九さんの妻で女優柏木由紀子(68)は「(永さんと夫は)違う世界でまたご一緒させていただいてる」とし、永さんについて「大きな大きな存在」としのんだ。

◆「和」の雰囲気で優しい人柄表現

 祭壇には3枚の写真が飾られた。左側に和服姿の20代、中央にはラジオのマイクの前の50代、右側には70代後半の永さん。式典をプロデュースした次女の麻理は、孟宗竹(もうそうちく)を大胆に使って、アジサイやダリアなどの花々で祭壇を彩り、「和」の雰囲気で故人の優しい人柄を表現した。

 献花の際は、永さんがパーソナリティーを務めたラジオ番組の音声を集めたCD「土曜ワイドラジオTOKYO 永六輔その新世界 特選ベスト」のほか、永さんが作詞した「見上げてごらん夜の星を」「上を向いて歩こう」「おさななじみ」などの歌を流した。

 永さんがリスナーを大事にしていたため、参列者には記帳の代わりに郵便はがき風のカードを配布。設置したポストに投函(とうかん)してもらう「お便りコーナー」を設けるユニークな演出をこらした。

 ◆主な参列者(順不同、敬称略) 吉行和子、ピーコ、さだまさし、近藤正臣、藤田朋子、戸田奈津子、松村邦洋、松本明子、雨宮塔子、草笛光子、森山良子、松島トモ子、西村知美、久米宏、小林亜星、錦野旦、立川志の輔、露木茂、高田文夫

 

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