【9月2日 AFP】パキスタン軍は1日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」がパキスタン国内に存在することを初めて認めた。これまでに数百人のIS戦闘員を逮捕し、大規模な攻撃を未然に防いできたという。

 パキスタン軍のアシム・バジワ(Asim Bajwa)報道官によると同軍はこれまでに、ISがパキスタン内の各国大使館やイスラマバード(Islamabad)の空港を標的とした攻撃計画を阻止したことがある。

 一方、先月、クエッタ(Quetta)の市民病院で73人が犠牲になった自爆攻撃についてはISが犯行声明を出しているが、バジワ報道官はISによる攻撃の可能性を否定した。

 パキスタン国内に数百人規模のIS戦闘員の存在を認めた今回の声明は、これまで同国が国内のISの存在を真っ向から否定してきたことと食い違う。パキスタン軍のラヒール・シャリフ(Raheel Sharif)陸軍参謀長は昨年、英ロンドン(London)で会見した際に、ISは「その影さえも」パキスタン領内には入らせないと断言した。

 だが、カラチ(Karachi)やパンジャブ(Punjab)州の警察幹部らは、IS戦闘員の摘発を度々実施したと語っていた。

 パキスタン国内には深く根付いている武装勢力が複数存在することから、ISはパキスタンでの勢力浸透に苦慮していたが、2015年1月にパキスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)が忠誠を誓う対象を国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)からISに変えたことを機に初めてパキスタンでの足がかりを得た。

 バジワ報道官は、ISがパキスタンへの浸透を画策していることを認めた上で、「黒幕」のハーフィズ・ウマル(Hafiz Umar)幹部やアリ・ラフマン(Ali Rehman)司令官ら中心メンバーを含め、これまでにISの作戦部門、戦闘部門合わせて309人のメンバーを逮捕したと語った。

 パキスタンとアフガニスタンを統括していたISの指導者は、8月にアフガニスタンで米軍無人機の攻撃によって死亡している。(c)AFP/Issam AHMED