交渉で相手に「イエス」と言わせるコツ

      2016/08/14

数百万円の有料リンクを販売し、勝利の美酒に酔う悪徳マーケティング業者 [モデル:Max_Ezaki](S)

交渉では相手の合意を得るために、条件の提示や商品のメリットを的確に伝えるなど、さまざまなスキルが必要です。しかし、相手に「イエス」を言わせるための工夫も必要になってきます。

そこで今回は、交渉で相手に「イエス」と言わせるためのコツについてご紹介します。

 

 

目 次

 

1.人は、非言語的な情報に影響されやすい

2.「イエス」と言ってもらいたかったら、縦じまの服で勝負

3.話すときには、相手の五感に伝える

4.手や体を使って、相手を話に引き込ませる

5.ボディーランゲージで相手に伝えるコツ

6.アンカリングで印象を操作する

7.視覚を固定させて、相手の自由な思想を奪う

8.握手で要求を通す

まとめ

 

 

 

 

1.人は、非言語的な情報に影響されやすい

 

もし、妻に「あなたなんて嫌い!」と言われた夫は、本当に嫌いなのか、駆け引きで言っているのか、それとも何か怒らせてしまったのかと理由を考え、「嫌い」を本気にしない可能性があります。

言語的なメッセージには解釈の余地があるのです。

 

しかし、妻が自分の洗濯物を割りばしでつまんでいたら、それは見たままの意味であり、解釈の余地はありません。嫌われていることがダイレクトに伝わります。

 

つまり、人は言語的な情報よりも、非言語的な情報に影響されやすいのです。

 

 

 

 

2.「イエス」と言ってもらいたかったら、縦じまの服で勝負

 

目から入ってくる非言語的な情報は、私たちが思っている以上に影響を受けます。たとえば、目の前にいる人が横じまの服を着ているだけで、人は首を横に振りやすくなります。そして縦じまの服を着ているだけで、首を縦に振りやすくなるのです。

 

ですから、交渉ごとなどで相手にイエスと言ってもらいたい日には縦じまの服が有効です。これだけでイエスと言わせることはできないかもしれませんが、他のテクニックと組み合わせることで、イエスと言ってもらえる可能性は高くなります。

 

 

 

 

3.話すときには、相手の五感に伝える

 

聞く側は言葉の意味だけではなく、五感から受けるすべての情報を使って話を理解しようとします。

 

相手の服装、髪型、情報、身振り、手振りなどの視覚情報や、声の大きさ、トーン、スピード、抑揚などの視覚情報も、言語的なメッセージと同じように利用されます。

 

また、視覚や聴覚ほどではありませんが、嗅覚や味覚、触覚から受ける情報にも影響されることがあります。

 

どんなに素晴らしい話をされても、その人から変な臭いがしているだけで、話に集中することはできません。出されたお茶菓子が口に合わなかったり、握手した手に力が入っていなかったりするだけで、それらは話の内容には関係ないはずですが、やはり何かしらの影響を受けます。

 

「相手に伝わる話し方」とは、非言語メッセージが話の内容と矛盾せず、むしろ修飾しているような話です。楽しい話を、楽しい表情と口調で話されると、こちらも楽しい気分になります。逆に、楽しい話を、悲しい表情と口調で話されても、ちっとも楽しい気分にはなりません。

 

言語で表現しきれなかった情報を、いかに非言語で表現できるかが、話の上手な人と下手な人との分かれ道です。

 

 

 

 

4.手や体を使って、相手を話に引き込ませる

 

話の内容を非言語で修飾する方法のひとつに、ボディーランゲージがあります。

 

ボディーランゲージの上手な人の話を聞いていると、情報が次々に浮かんできます。

 

「この前、50センチの魚を釣ったよ」と言葉だけで表現されるよりも、両手を肩幅に広げて、「この前、これくらいの魚を釣ったよ」と表現されたほうが、魚の大きさを楽にイメージできます。

 

位置関係や形など、言葉で表現することが難しい内容は、特にボディーランゲージが有効です。

 

言葉は、内容が伝わればよいというものではありません。なるべく頭を使わなくても理解できるように話せば、それだけ相手の集中力は持続しますので、話の世界に引き込むことができます。

そして話に意識が固定されている間、相手は理性のチェックが弱まることで、あなたに影響されやすくなるのです。

 

ですから、言葉で表現することが難しい内容だけでなく、言葉だけで十分に伝わるような内容も、手や体を使って表現してください。

 

 

 

 

5.ボディーランゲージで相手に伝えるコツ

 

ボディーランゲージをしようとしても、はじめはどうすればよいか戸惑うことでしょう。そんなときは、そのとき行われた行動を再現してみることです。

 

たとえば、「パット横を向いたら」と話すときには、実際に横を向いてください。「ドアをノックする音が聞こえた」と話すときには、ドアを叩く真似をしてください。車を運転していたときの話ならば空想のハンドルを握り、野球の話ならばバットを構えるポーズをしてください。

それだけで、臨場感はぐっと高まります。

 

 

 

 

6.アンカリングで印象を操作する

 

人は話を聞いているときも、無意識のうちにその人のパターンを学習し、話の内容を自動的に理解しようとします。

 

落語家は、一人で何人も演じますので、役ごとに体の向きをかえて、今はどちらの人が話しているのかを表現します。聞く側はそれを学習することで、誰のセリフなのかを考える必要がなくなり、理性に負担をかけずに話の世界に入っていくことができるのです。

 

この学習を使用すると、ボディーランゲージを行うだけで、相手に気づかせることなく印象を操作できます。

 

たとえば、プラスの話をするときには右脚に重心をのせて話し、マイナスの話をするときには左側に重心をのせて話すと、話しによって顔の位置が、右や左に若干ずれることになります。それを繰り返すと、相手の無意識は「顔の位置」と「プラス/マイナスの感情」を、心の中で結び付けてしまいます。

 

このようなパターン化を、「アンカリング」と呼びます。

 

感情がアンカリングされると、条件が刺激されるだけで感情が呼び起されます。右脚に重心をのせて話せば、相手は条件反射的にその話にプラスの感情を抱くようになりますし、左脚に重心をのせて話せば、マイナスの感情を抱くようになるのです。

 

この方法を使えば、お客様にプレゼンをする際、暗示的に自社製品にはプラスの印象を、他社製品にはマイナスの印象を刷り込むことができます。

 

アンカリングを十分にしたあと、自社製品の話は右脚に重心のせて話し、他社製品の話は左側に重心をのせて話せばよいのです。

言葉で自社製品をほめる必要もなければ、他社製品をけなす必要もありません。重心を変えるだけで、お客様の心には自動的に感情が湧いてきます。

 

また、手の動きにアンカリングをしてもかまいません。プラスの話をするときには右手だけでボディーランゲージをし、マイナスの話をするときには左手だけを使うようにするといった方法もあります。

 

 

 

 

7.視覚を固定させて、相手の自由な思想を奪う

 

私たちの意識は、日常生活の中で頻繁に何かに固定されています。そしてこの「何かに意識が固定されている状態」では、理性のチェックが弱まることで、周りの影響を受けやすくなります。

この状態を意図的に作ることができれば、相手の心は操りやすくなるのです。

 

人は考えるときに視線を動かします。より刺激の少ないところに視線を動かすことで、思考に集中するためです。逆に、視線を固定することができれば、相手の自由な思考を奪うことができます。

 

たとえば、付き合いはじめたばかりの恋人と、デート中にさりげなく手をつなぎたいのであれば、話しながら歩いているときよりも、一緒に映画を見ているときの方が適しています。

 

薄暗い場所で光っている一点を見つめさせる方法は、催眠でも使われているほどの強力なテクニックです。瞳孔が開き、目が疲れることで、視覚の固定による効果がさらに高まるのです。

 

このテクニックは、人に影響を与えようとする様々な場面で応用されています。コンサートや講演会などで、客席を暗くするのは、ステージ上でスポットライトを浴びている人の影響力を高めるためです。多くの宗教が、儀式の際にローソクを灯すのも、決して偶然ではありません。

 

光を見つめている間に語られる言葉は、通常よりも遥かに影響力が増しています。

 

 

 

 

8.握手で要求を通す

 

意識の固定は視覚だけではなく、五感すべてに対して行うことができます。

 

私たちは普段、むやみに他人の体には触れませんし、触れられることにも抵抗があります。ですから、ボディタッチによる触覚の固定は簡単ではありません。しかし上手くいけば、絶大な効果が得られます。

 

親しい間柄でもない限り、相手に触れてよい理由などあまりありませんので、触覚の固定は簡単にはいきません。

 

しかし、数少ないチャンスですが、誰に対しても可能性のある方法として握手が挙げられます。

 

握手をしている間、相手はあなたに影響されやすくなります。相手にイエスを言わせたければ、握手の最中は絶好のタイミングです。そしてその握手は、こちらから不意に求めた握手であれば、より効果的です。

 

握手をするとき、こちらから手を差し出すのは勇気が必要です。握手ができそうなタイミングもそれほど多くありません。

 

しかし、今まであなたは握手を求められて、それを拒否した経験はありますか? もしくは、握手を求めて、それを拒否された経験はありますか? おそらく一度もないか、あったとしても特別な状況だったのではないでしょうか。

目の前に差し出された手は、なかなか拒否できるものではありません。安心してこちらから握手を求めてください。

 

こちらから握手を求めたということは、こちらの立場が上であることを相手に暗示します。相手が目上の人であるなど、何か特別な理由がない限り、こちらから握手を求めるだけで、関係性をある程度決めてしまうことができるのです。

そしてこちらの立場が上になれば、相手は無意識的に従いやすくなります。

 

せっかくですから握手をしている最中は、相手の目を見つめましょう。握手の距離で目を見つめられると、相手は目をそらすことができませんので、視覚も固定することができます。

 

視覚の固定、触覚の固定、不意の握手による混乱、あなたの立場が上であるという暗示、これらすべてが一度に起こると、相手の理性はほとんど身動きが取れなくなります。そして握手をしている間、相手は「ノー」を言えなくなるのです。

 

 

 

以上である。

どうだろうか。

 

交渉とは、ある種の駆け引きともいえる要素も含んでいます。

もし、相手がなかなか合意してくれないのであれば、この記事であげた、相手に「イエス」と言わせるためのコツも参考にしてみてください。

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

まとめ

 

1.人は、言語的な情報よりも、非言語的な情報に影響されやすい。

2.相手に「イエス」と言ってもらうには、縦じまの服が有効。

3.相手に伝わる話し方とは、言語だけではなく、五感にも伝えることである。

4.言葉だけではなく、手や体を使って表現すれば、相手を話の世界に引き込むことができる。

5.ボディーランゲージで相手に伝えるコツは、行動を再現してみること。

6.アンカリングをうまく活用すれば、相手の印象を操作できる。

7.相手の視線を固定することができれば、自由な思想を奪うことができる。

8.握手は相手に「イエス」を言わせる絶好のタイミングである。

 

 

 

 

 - ビジネススキル, 交渉