上司がやってはいけない部下への叱り方と、うまい叱り方

      2016/08/14

何度言っても改善しないゆとり社員と怒鳴り散らす上司 [モデル:ひろゆき 紳さん](S)

あなたは上司として、部下に間違った叱り方をしていないでしょうか? 叱り方を誤れば、部下をやる気にさせるどころか、部下のやる気を殺ぎ、ときには信頼を失うことにもなります。

そこで今回は、上司がやってはいけない部下への叱り方とうまい叱り方についてご紹介します。

 

 

目 次

 

1.感情的になって叱る上司の場合

 1-1.やってはいけない叱り方

 1-2.うまい叱り方

2.権威を示す上司の場合

 2-1.やってはいけない叱り方

 2-2.うまい叱り方

3.部下のプライドを傷つける上司の場合

 3-1.やってはいけない叱り方

 3-2.うまい叱り方

4.えこひいきする上司の場合

 4-1.やってはいけない叱り方

 4-2.うまい叱り方

5.部下をだらだら叱る上司の場合

 5-1.やってはいけない叱り方

 5-2.うまい叱り方

6.指示が矛盾している上司の場合

 6-1.やってはいけない叱り方

 6-2.うまい叱り方

7.顔をつぶされて叱る上司の場合

 7-1.やってはいけない叱り方

 7-2.うまい叱り方

まとめ

 

 

 

 

1.感情的になって叱る上司の場合

1-1.やってはいけない叱り方

 

部下が失敗をすると、感情的に怒りまくる上司がいます。

 

はじめのうちはふだん通りに話しているけど、しばらく黙り込んだ後に突然キイて、怒鳴りはじめるのです。

 

このタイプの上司が言う決まり文句は、「そんなことも知らないのか」「おまえの意見など聞きたくない」「できないなら、会社を辞めてしまえ」「契約がとれるまで、おれの前に顔を見せるな」といった言葉です。そして、ついには周囲に八つ当たりし、いつの間にか、部下全員に対して怒りをぶつけはじめるのです。

 

また、このタイプの上司のなかには、突然黙り込んで不機嫌をまきちらす人もいます。部下が声をかけても返事をしない。不機嫌を周囲に示すために、あえてプリプリした態度を見せるのです。そして、何か事があると、声を荒立てます。

 

そんな人も、しばらくプリプリしているうちに、いつまでも怒っているのはよくないと自分でも気づきはじめます。けど、だからといってどうやって収まりをつけてよいのかわからず、仕方なしにいつまでも不機嫌を装い続けたりするのです。

 

 

 

1-2.うまい叱り方

 

怒鳴っても、部下は不愉快になるだけです。

 

叱るときの基本は、相手に間違いであることをわかってもらい、二度としないように思いしらせることが大切です。怒鳴るばかりだと、部下は納得しません。

 

怒鳴るのは、相手がどうしてもわかろうとしないときの最後の手段として考え、できるだけ冷静に相手の欠点をきちんと説明するようにしましょう。

 

また、怒鳴る場合でも、きちんと相手のためを思っていることをアピールするべきです。

 

たとえば、「きみはみんなに期待されているのが、わからないのか」「こんなことをしていたら、将来、うちの会社をしょって立てないぞ」などと怒鳴るわけです。そうすれば、部下は、怒鳴られていながらも悪い気はしないでしょう。

 

もし、感情的になって怒鳴ってしまった場合は、翌日にでも、「きみは、せっかく自分の能力をまだ出していない、それが惜しいんだよ」などのフォローの言葉をかけることです。あるいは、出張先で買ったお菓子などを部下たちのところに持っていくことです。

そんなフォローができれば、ときに怒鳴ることがあったとしても、部下からの評価は下がることはありません。

 

「課長は時々、短期で怒ることがあるけど、基本的には部下思いだよ」とか、「課長も可愛いところがあるわよね。昨日、怒鳴ったもんだから、悪かったと思って、差し入れしたのよ」などと言われること請け合いでしょう。

 

 

 

 

2.権威を示す上司の場合

2-1.やってはいけない叱り方

 

叱っているうちに、自慢になっていく上司がいます。

 

最も多いのは、叱っているうちに、「私が新人社員の頃は、きみたちと違って、休みもなく必死になって働いたもんだ」などと言いはじめ、だんだんと過去の自分の話になっていくパターンです。

 

このタイプの上司は、ときにはクイズのように、叱っている部下に、かつての自分の功績について答えさせようとします。「こんなとき、昔の私はどうしたと思う。考えてみたまえ」などと言い出します。

そして、その答えが違っていると、「きみは甘い。真剣さが足りないからそんなこともわからないんだ」と、再び怒り出します。当たっていると、「それがわかっているんだったら、なぜ、そうしない」と、これまた怒り出します。

 

そうこうして、また自慢話しになったと思って部下が胸をなでおろしていると、突然また叱り出します。自慢と叱責が行ったり来たりするのです。

 

もっと困るのは、権威を示そうとして叱る上司です。

 

別に叱る必要もないのに、しばらく部下を叱っていなかったことに気づいたり、自分が部下からあまり重んじられていないことに気づいたりすると、何か些細なきっかけを見つけ出して、叱りはじめます。

 

とりわけこのタイプの上司は、自分の権威を大切にしています。目上の人から叱られた姿を部下に見られたとき、または、部下のほうが自分よりも重用されたときなど、自分の権威に傷がついたと思って部下を叱ろうとします。

 

このタイプの上司は、叱るという行為は自分の権威を部下に示す絶好のチャンスと考え、「おれはほかの人間よりも偉いのだ」と自分に言い聞かせ、他人に認めてもらうために叱るわけです。

 

 

 

2-2.うまい叱り方

 

部下を叱るときも、「私はこんなにできたのに、なぜ、きみはできないんだ」と言って叱るのはNGです。それは、どうしても自慢につながるからです。また、部下の方は「時代が違うので、昔のことを言われても意味がない」と思っています。

 

どうしても自慢をしたくなったら、「これは私の唯一の自慢なんだが」と断ってから言うほうがよいでしょう。こうすることによって、ある種の「可愛らしさ」を演出することができます。

 

 

 

 

3.部下のプライドを傷つける上司の場合

3-1.やってはいけない叱り方

 

部下のプライドを傷つける叱り方をする上司がいます。「会社の恥だ」「おまえはごみだ」「おまえが会社の足を引っ張っている。みんなに土下座して謝れ」などと他の社員の前で叱ったりします。

 

このタイプの上司は、「部下のためを思って言ってあげている」と思い込んでいます。しかし、ほとんどの場合、はじめはそのつもりでも、叱っているうちにだんだん憎しみが増してくるのです。

 

このような叱り方をすると、部下は心の底から傷つき、やる気を失ってしまいます。やる気にさせるつもりで叱っているはずなのに、逆にやる気を奪っているのです。

 

そのうえ、このような叱り方をすると、叱られている相手だけではなく、周囲の人も不快にさせるのです。

 

これでは、叱るというよりもいじめに近く、上司は部下たちの信頼を失い、嫌われることになります。

 

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3-2.うまい叱り方

 

部下のプライドまでもずたずたにすると、相手はやる気を失ってしまいます。また、信頼関係が築けなくなります。

 

今の若者はプライドが高く、親に叱られたことのない子どもも少なくありません。それなのに上司にひどい叱られ方をすると、ひどく傷ついてしまいます。

 

厳しく叱るにしても、その人の全人格を否定するようなことを言ってはいけません。そして、多少はほめることを交えることが必要です。

 

「きみだったら、このくらいできるはずだ。それなのに、期待外れなことをするな」「前の仕事を見てできると思っていたんだ。私の期待を裏切らないでくれ」などという言い方をすれば、相手のプライドを保つこともでき、良好な関係を保つことができます。

 

また、相手に向かって、「バカ」と直接言ってはいけません。それよりは、「そんなことをしていると、取引先の人にバカと思われるぞ」「同期の人にバカにされるぞ」という言い方がよいでしょう。そうすることで、多少なりとも言葉を和らげることができます。

 

 

 

 

4.えこひいきする上司の場合

4-1.やってはいけない叱り方

 

えこひいきする上司は、同じことをしても誰がやったかによって評価が180度変わります。

失敗をしても、それがお気に入りの部下であれば、別段とがめません。それどころか、むしろ感心して、高い評価を与えることさえあります。気に入らない人であれば、その行為を失敗とみなして激しく叱ります。

 

このタイプの上司は、信頼していない部下に対しては、はじめから能力も意欲も認めていません。その人が失敗したら、「ほら、見たことか」と思います。

 

第一印象や好き嫌いで判断してしまい、それ以上、考えようとはしません。そして、その後、どんなことがあっても、自分の先見観を裏づけるものとしてとらえるのです。

 

「自分の考えは間違いない」「人を見る目に自信がある」と思っている人こそ注意が必要です。

 

 

 

4-2.うまい叱り方

 

えこひいきをする上司は、最も部下に嫌われ、部下の信頼をなくします。誰かをえこひいきすることは、部下の仕事を正当に評価していないということです。部下はそれを敏感に感じ取ります。

 

問題なのは、上司本人がえこひいきしていると思っていないことです。したがって、本人が自分は人の好き嫌いが激しいほうだと気づく必要があります。自覚できれば、多少は態度を修正することができます。

 

ビジネスの世界では、上司は部下に対して、チャンスを与えることを考えるべきです。

数回チャンスを部下に与え、それをものにできなかったら、その領域については能力がないと判断しても仕方ありません。その場合には別の領域の仕事を与えましょう。チャンスを与える前に、部下の能力を決めつけてはいけません。

 

したがって、部下を「できる」「できない」とすぐに判断せず、いくつもの仕事をさせて、客観的に評価するように心がける必要があります。

 

 

 

 

5.部下をだらだら叱る上司の場合

5-1.やってはいけない叱り方

 

長い時間をかけて叱る上司がいます。このタイプの上司は、ねちねちと叱ろうとします。要点をズバリと言いません。遠まわしな皮肉から入ることもあります。

 

繰り返し同じことを言う人もいます。一度終わったかと思うと、またも同じことを言いはじめます。そして、また、ねちねちと叱ります。

 

そして、このタイプの人は、昔のことを蒸し返すことも多く、「あのときも、きみはこんな失敗をした」「あのときは黙っていたけれど、もう少し反省してもらわなければ困る」などと言い出します。これを良い機会とばかりに、相手に対してふだんから思っていた不満をぶつけるのです。

 

このタイプの人たちがだらだら叱るのは、1つには、長い時間をかければ、熱意や真面目さを見せられると思っているためでしょう。

 

けど、それ以上に、収まりがつかないために、ついだらだら叱ってしまう人のほうが多いのです。

 

このタイプの人は、相手が深く反省している様子を見せ、キッパリとした反省の弁を引き出して終わりにしたいと思っているけど、思い描いているような言葉が引き出せず、長引いてしまうわけです。

 

 

 

5-2.うまい叱り方

 

ズバリと欠点を指摘し、それを相手にわからせるのが、最もよい叱り方です。時間がかかるということは、効率が悪く無駄が多いということです。

ですから、たとえば時間で区切って、「5分以上叱らない」と決めておくといいでしょう。はじめに、叱る相手に「時間はとらせない。5分だけ、こちらに来たまえ」などと言っておくとよいでしょう。

 

 

 

 

6.指示が矛盾している上司の場合

6-1.やってはいけない叱り方

 

言うことに一貫性がなく、以前に言ったことと今言っていることが完全に矛盾するという上司がいます。

 

そのような上司の言動には2つの場合があります。

 

第1は、自分で矛盾していることに気づいていなく、上層部からいろいろと言われたり、自分なりに考えるうちに、だんだんと考えが変わってきた場合です。この場合、あまりの忙しさのために、かつて指示したことを忘れていることもあるかもしれません。

いずれにしても、だんだんと考えが変化していったために、自分では以前の意見から正反対に変化したことをきちんと理解していないことが原因です。

 

けど、もっと問題なのはもう1つの場合です。自分の考えで部下に指示をしていたところ、その考えが上層部に受け入れられなかったために、なし崩し的に自分の考えを改めている場合です。

この場合、上司は自分の指示が以前と異なっていることに気づいているはずです。けど、かつての自分の指示は間違っていたことを部下には言いにくい。そのため、それとわからないように、徐々に方向転換をするために、部下を叱るわけです。

 

つまり、その上司は自分の意見を変え、かつての自分の意見を実行した部下を切り捨てているわけです。そして、もしかすると、自分だけいい子になって、責任を部下に押し付けようとしているのかもしれません。

 

 

 

6-2.うまい叱り方

 

忙しいと、以前のことをつい忘れてしまいがちになります。ときには、まったく同じことについて以前と正反対の判断を下すこともあります。

そして、それに自分でも気づかず、部下を叱り飛ばしたりすることがあります。自分の判断、自分の記憶は絶対ではないということは、しっかりと肝に銘じておくのがよいでしょう。

 

部下を叱っているうちに、もしかしたら自分は以前と矛盾していることを言っているようだと気づいたら、ごまかしたりせず、はっきりと「すまんが、忙しくて、前にどのようなことを言ったか、忘れてしまった。資料をそろえてくれ」と求めるのがよいでしょう。

 

そして、部下に以前の指示内容を変えるときは、「以前の私の指示は間違いだった。無駄なことをさせて申し訳ない」と言うべきでしょう。そうしないと、部下の信頼は得られません。

 

朝令暮改はビジネスにつきものであり、自分もそれに耐えて出世したのだと、部下に教えればよいのです。

 

 

 

 

7.顔をつぶされて叱る上司の場合

7-1.やってはいけない叱り方

 

何を叱っているのかわからない上司がいるものです。

 

「つまり、私の何が悪かったのでしょうか」などと部下が説明を求めると、「そんなこともわからないのか」などとよけい怒り出します。

 

ときには、「自分の胸に手を当てて考えてみろ」などと言います。そして、最後までなぜ怒っているのかを言わないこともあります。

 

このタイプの上司は、自分の顔をつぶされたことで怒っていることが多いのですが、その理由を表立って言うことはできない。

つまり、怒っている理由というのは、「お前はおれを無視して行動した」「おれのことをなめている」「自分だけ目立って、おれを立ててくれていない」ということです。

 

 

 

7-2.うまい叱り方

 

部下に対して、「おれの顔をつぶすな」と言いたいとき、一番の正攻法は、自分のこととしてではなく、一般論にして説明することです。

「部下は上司を立てなければならないことがある。自分だけ目立つようなことをしてはいけない」「私も若いころはそうしていたからわかるが、今日のきみの態度には問題がある」「ほかの上司だったら叱られるぞ。今後のために言っておく」といったように言い聞かせることです。

 

そうすれば、部下に自分の行為がよくなかったことを気づかせ、反省させることができます。

 

けど、いつもそのように正攻法を使うのも疲れるでしょう。そんな場合は、はじめの1~2回だけしっかりと説明しておいて、その後、顔をつぶされたときには、同じように不機嫌な態度をとることです。

よほど鈍感な部下ではない限り、自分が顔をつぶしてしまったために上司が怒っていることに気がつくでしょう。それでもわからない部下については、ぴしゃりと叱るしかありません。

 

 

 

以上である。

どうだろうか。

 

そもそも叱るという行為は、部下がルールを無視したり、業務のミスをしたりしたなど、部下のマイナス面を改善するための行為であり、部下のためにも必要な行為といえるでしょう。しかし、叱り方にもコツがあります。

 

そのコツを踏まえず、上司が感情のおもむくままに誤ったやり方で部下を叱るのは避けたいものです。そのコツを実践するためにも、まずは上司自信が自分の感情をコントロールすることが大切といえるでしょう。

 

叱り方しだいで部下が成長することもあれば、やる気を失うこともあります。そのことを肝に銘じてがんばって下さい。

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

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まとめ

 

1.感情的になる上司は、部下を叱るときには怒鳴らないこと。

2.権威を示す上司は、部下を叱るときに自慢をしないこと。

3.部下のプライドを傷つける上司は、部下を叱るときに相手のプライドまで傷つける言い方をしないこと。

4.えこひいきする上司は、部下にチャンスを与え、客観的に部下の能力を判断すること。

5.部下をだらだら叱る上司は、部下を叱るときに時間を制限すること。

6.指示が矛盾している上司は、部下を叱っている最中に以前と指示内容が矛盾していると感じたら、素直に指示が誤っていたことを認めること。

7.顔をつぶされて叱る上司は、部下に一般論で説明しておき、部下が同じ過ちを犯したときには不機嫌な態度をとること。

 

 

 

 

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