テッキーたちはヒラリーを支持する──寄付額から見る米大統領選

米連邦選挙委員会が発表した大統領選の寄付額に関するデータによれば、テック企業とエンターテインメント企業の従業員はヒラリー・クリントンを支持、不動産業者や金融業者の従業員はドナルド・トランプを支持する傾向が強い。「東西海岸」対「中南部」の対立も明確だ。

IMAGES BY WIRED US/FEDERAL ELECTION COMISSION
TEXT BY JOANNA PEARLSTEIN
TRANSLATION BY KAORI YONEI, HIROKO GOHARA/GALILEO

WIRED (US)

Hillary Clinton

ヒラリー・クリントンのネバダ遊説にて。8月25日撮影。PHOTO: AP/AFLO

グーグルは特に顕著だが、シリコンヴァレー全体がヒラリー・クリントンを支持しているように見える。米連邦選挙委員会が発表した最新しいデータは、テック企業の従業員がクリントン陣営に多額の寄付をしていることを示している。

グーグルの従業員は7月、クリントン陣営に17万4,000ドルを寄付した。過去3カ月の寄付額は28万2,000ドル超だ。連邦選挙委員会のルールでは、個人が1度の選挙で寄付できる金額は候補者ごとに2,700ドルまでと定められている。つまり、グーグルの従業員のうち少なくとも65人が、7月にクリントン陣営への寄付を行った計算になる。クリントン陣営は7月だけで3,120万ドル、ドナルド・トランプ陣営は1,960万ドルの寄付を集めている。

  • 01-techcompanies

    1/4テック企業従業員による大統領候補への寄付額。青がクリントン、赤がトランプ。

  • 02-clinton

    2/4従業員がクリントン陣営に最も多く寄付した企業・機関。

  • 03-trump

    3/4従業員がトランプ陣営に最も多く寄付した企業。不動産会社のデラニー・ディヴェロップメント、モルガン・スタンレー、デロイト、アメリカン航空など。

  • 04-retirees-2

    4/4米大統領候補への寄付額(雇用形態別)。トランプ陣営はクリントン陣営に比べて「引退した人」や「主婦」の多さが目立つ。

  • 01-techcompanies

テック企業従業員による大統領候補への寄付額。青がクリントン、赤がトランプ。

  • 02-clinton

従業員がクリントン陣営に最も多く寄付した企業・機関。

  • 03-trump

従業員がトランプ陣営に最も多く寄付した企業。不動産会社のデラニー・ディヴェロップメント、モルガン・スタンレー、デロイト、アメリカン航空など。

  • 04-retirees-2

米大統領候補への寄付額(雇用形態別)。トランプ陣営はクリントン陣営に比べて「引退した人」や「主婦」の多さが目立つ。

クリントン陣営は7月、マイクロソフト、アップル、フェイスブック、IBM、アマゾンからも多額の寄付を受けた。従業員による寄付額のトップ10を構成するのは、グーグルを含む6つのテック企業のほか、米国政府、ハーヴァード大学、スタンフォード大学、医療関連企業Centeneだ。

さらにクリントン陣営は、エンターテインメント業界からも強い支持を得ている。ジェニファー・ローレンス、トム・クルーズ、ウィル・スミスといったトップスターの代理人を務めるクリエイティヴ・アーティスツ・エージェンシー(CAA)の従業員は5月、クリントン陣営にとって最大の資金源だった。CAAの従業員は過去3カ月で10万ドル以上を寄付している。

『WIRED』US版が作成した、両陣営への寄付が米国のどこから行われているかを示すマップ。東西海岸はクリントンを支持し、中南部はトランプを支持していることがわかる。

一方、従業員がトランプ陣営に最も多く寄付した企業は、不動産会社のデラニー・ディヴェロップメント、モルガン・スタンレー、デロイト、アメリカン航空のほか、カリフォルニア州ビスタにある業務用潜水器具メーカーやカリフォルニア州ギルロイのニンニク栽培業者などだ。

マイクロソフトの従業員は、テック企業では最も多い4,400ドルをトランプ陣営に寄付している(ただし、クリントン陣営への寄付額はその10倍に上る)。

グーグルの従業員は、トランプ陣営に合わせて250ドルしか寄付していない。リバタリアン党の候補者ゲーリー・ジョンソンに2,725ドル、緑の党のジル・スタインに3,546ドルを寄付しているにもかかわらずだ。

なお、『WIRED』などを発行するコンデナストの従業員(米国)は7月、クリントン陣営に2,331ドルを寄付した。トランプ陣営に寄付した従業員はいない。

INFORMATION

現在、連載中! ザ・大統領戦「Super Election」

米大統領選は、新たなテクノロジーが社会を変えていく現場だ。全米を舞台に立ち現れるさまざまな事象を、デザインシンカー・池田純一が読み解く。2016年11月、雌雄が決するその瞬間までのドキュメント。