ウルトラマンイカロス
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『ウルトラマンイカロス』は、1975年(昭和51年)4月7日から1976年(昭和51年)3月31日にTBS系で、毎週金曜日19:00 - 19:30に全52話が放送された放送された圓矢プロダクションが製作した特撮テレビ番組の名称、あるいはその劇中に登場する巨大変身ヒーローの呼び名である。ウルトラシリーズ第9作であり、第2期ウルトラシリーズの最終作にあたる。
怪獣と戦う人間のチームCDF(Crisis Destroyer Force=災厄駆逐部隊)や巨大ヒーロー・ウルトラマンイカロスの活躍を描く。
作品としてのウルトラマンイカロス [編集]
内容 [編集]
ウルトラシリーズ初の少年が主人公となった作品。怪獣や宇宙人との戦いが物語の中心となっている。
メインターゲットの視聴者である子供の目線からのウルトラマンであることが本作の特徴であり、また初めて女性が主人公だった前作「ウルトラマンアルテミス」に登場した弟という事で、すでに新番組でありながらウルトラマンのデザインが前作から周知されているということは様々な反響を呼んだ。
新機軸として、ウルトラマンと共に戦う防衛チームの超兵器にジャンボーグの名を冠したロボットと大型空中母艦が加わった事もあげられ、ウルトラマンAで構想段階であった「銀河連邦」の組織が試験的に登場した。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。
母星を失い、たった一人の肉親であった姉も前作の最終回で死亡(行方不明)という当初から重い内容であったが、困難を乗り越え地球の友人と共に戦う姿は当時の視聴者達の人気を呼んだ。
ウルトラシリーズでありながら、当初はウルトラマンレオまでのウルトラ兄弟との世界観の繋がりを明言していなかった。
キャラクターとしてのウルトラマンイカロス [編集]
身長37m 体重3万5千トン 年齢5千才 飛行速度マッハ6
ウルトラマンアルテミスと同じM75星雲出身。バドゾネス人による惑星侵略によってアルテミスとともに地球へと脱出してきた。
地球ではミズシマ・ソラと名乗り、前作では見習いであったCDFに正式に入隊した。
登場人物
ミズシマ・ソラ
13歳。CDFの新隊員で鳥野台中学校の1年生。前作で行方不明となった姉のあとを継ぎCDFに正式入隊する。
ハツシバ
前作に続きCDF隊長を務める。冷静さと豪放さを併せ持つ親分肌で部下の信頼は厚く、また上層部からも信頼されている。
ミノベ・ユウゴ
CDF隊員。射撃の名手で趣味はプラモデル造り(本人曰く『集中力アップのため』)とサッカー。かつてはハヤメの恋人だった。たった一人残されたソラを弟のように思い、人間世界でぶつかる様々な悩みの相談に乗った。
クスノキ・ミホ
CDF隊員。基地でオペレーターを務める。ハヤメの後輩で、必要以上に彼女を慕っていたせいかミノベとは折り合いが悪い場面がしばしば見受けられた。
ウリュウ艦長
CDF空中母艦“マイティ・ヴァンガード”の艦長。CDF内での立場はハツシバとほぼ同格。強い責任感をもち、普段から伊達パイプを手放さない。
ロール・ハインリッヒ
13歳。CDFヨーロッパ支部からやってきた。と呼ばれる。ハインリッヒ博士の娘。
ワルター・ハインリッヒ
47歳。第2話でCDFヨーロッパより転任(正式配属は第3話)。『CDFの頭脳』と呼ばれ、装備のほぼ全てに彼の手が加わっていた。その才能と知り得た情報の重要性故にCDF内でも年齢はおろか性別や名前までも極秘扱いであった。しかしそれを逆手に取られ、第2話では偽者の基地侵入を許してしまう。
セタ・ユウゴ
13歳。ソラの一番の悪友で熱血漢。異性には早くから興味を持っていたせいか、その手の話題に疎いソラを時折赤面させる。
リナ・カワカミ
12歳。ソラのクラスメートでソラを前作では手間のかかる弟のようにあれこれ世話を焼いていたが、ロールの出現でソラに対する気持ちと行動があらぬ方向へ向かってしまう。
ナオキ
12歳。ソラのクラスメートでサッカー少年。
CDF
Crisis Destroyer Force=災厄駆逐部隊。怪獣災害や宇宙からの侵略に対し、各国軍(日本では防衛隊)と協力して解決に当たる。
アジア方面では東京・バンコクに基地が設置されている
装備 [編集]
銃器類・特殊装備 [編集]
CDガン
CDF隊員が携帯する拳銃。基本サイズは通常の拳銃と同サイズだが、カートリッジによって弾種・エネルギー兵器と切り替えが可能で、床尾や延長銃身を取りつけてライフルのように使うこともできる。
航空機 [編集]
イーリスウィング
全長:55m 重量:50t 最高速度:マッハ8 乗員:10名
大型多目的機で、前線では指揮管制を司る移動司令室にもなるほか、イーリスアローに空中給油や地上での補給整備機能ももっている。
イーリスアロー
全長:17m 重量:10t 最高速度:マッハ8 乗員:2名
小型戦闘機。ミサイルとレーザー、ナパームロケットを装備。宇宙空間での戦闘も考慮されており、またマイティ級大型空中母艦の艦載機として改造型の機体が存在する。
マイティ級空中母艦
全長:230m 重量:5500t
大型空中母艦。日本基地配備の艦は“マイティ・ヴァンガード”。地球上の防衛はもとより、宇宙空間において異星を迎撃可能な宇宙戦艦として日本の藪木コンツェルンによって開発された。CDF各エリアに1隻ずつ配備されている。初登場時はテスト段階で小型ミサイル程度しか装備していなかったため、怪獣攻撃に参加できなかった。
ジャンボーグF
身長40m 重量1万t 飛行速度マッハ7
地球を守るために開発された宇宙サイボーグ。3年前に地球に飛来したロボットの研究を続けていたハヤメ(実際はその全てを知っていた)が、そのデータをハインリッヒ博士に送り、完成させた。拡大・縮小機能や他の乗り物からの変形機構は排除されているが、スペック的にはイカロスと互角の力を誇っている。
必殺技・武器
ハンティングレーザー
手から発射される破壊光線。威力は小さいが、繰り返しの使用が可能でエネルギーの消耗も少ない。
ストライク・ウィンドミル
空中で高速回転して虹色の手裏剣状の光となって相手を切断する。
この「ウルトラマンイカロス」は、ウルトラシリーズに関連した書きかけ項目です。
加筆、訂正などをして下さる協力者を求めています
(ポータル ウルトラシリーズ/ウィキプロジェクト ウルトラシリーズ)。
ソラの操縦するイーリスアロー。
突然警報が響き敵機の接近を知らせる、と思った次の瞬間機体のすぐそばをかすめる敵弾。
回避するがぴったりと食らいつかれ、機体を右に振り左に旋回させる。
「ウッ・・・ひ、引き離せないっ!」
小さなパイロットスーツにGがかかり、歯を食いしばって耐える。
きりもみ直前の機体を、必死になって立て直すが悠々と相手は離れない。
「こ、この位でも引き離せないなんて・・・・ア・・アァ・・ッ」
機動性に優れたアローだったが、相手を照準に捉えることすらできないでいる。
「それなら・・それならこれだぁぁぁぁぁぁっ!」
機体を失速ギリギリまで引き起こし急上昇をかけ、そのまま反転。
「こんのおぉぉぉぉぉぉぉっ!」
ようやく相手を照準に捉えたソラは垂直に突っ込む、一歩間違えれば空中衝突だ。
「うぉぉぉぉぉぉぉっ!」
射程に入りバルカンが火を噴く直前、敵機は視界から消えた。
「えっ・・・?」
一瞬、心が空白になった瞬間背後につかれる敵機。
ガガガガガガガガガガッ!
アローに弾が命中し、パパパパッ!と赤いペイント弾が撃ち込まれる。
「訓練終了、アロー撃墜!」
通信機から判定で負けたことを知らされる通信。
「ふぅ・・・」
コクピットの中でため息をつくソラ。
アローが着陸し、機から降りてくるソラ。
「やられたな、ハハッ!」
ハツシバ隊長とミノベが出迎える。
今日は防衛隊との共同訓練。
機体性能では劣るはずのF3エンゼル戦闘機を相手にソラが撃墜されてしまったが、団体戦とハツシバ、ミノベは防衛隊相手に勝利を収めていた。
「まさかあそこまでやられるなんて・・・あっちの人はエースなんですか?」
ハツシバとミノベは顔を見合わせ、そして笑い出す。
「ハハハッ、いやぁ・・あちらさんも期待の若手を出してきたんだとさ。」
自分の所の代表選手がやられたせいか、苦笑いを浮かべるハツシバ隊長。
「しっかしやるもんですね、隊長。ソラがあんなに一方的に弄ばれるなんて」
ソラを撃墜した相手であるF3エンゼル戦闘機のパイロットもちょうどコクピットから降りてきてヘルメットを脱ぐ。
「すごいなぁ、最後のアレは一歩間違えたら僕が撃墜されていたよ」
相手はヘルメットを脇に抱え、右手を差し出すが、それは・・・
「あっ!司・・先輩!」
先日の戦いで大ピンチを救われた相手のまさかの登場で、その手を握るソラ。
不思議そうに二人を覗き込むミノベ。
「あれ、おい二人は知りあい・・なのか?」
「え・・・あ、えっと、うん・・この前知り合ったばかりなんですけどね。」
その辺突っ込まれると困るソラはわざと曖昧な返事を返す。
「とにかく、地球防衛の未来を担う二人の対決か。広報あたりが聞いたら喜んで飛んできそうな内容だな」
談笑しながら基地に帰る一同。
シャワーを浴びたソラがシャワー室から出てくる。
ほぼ同時に併設されているサウナ付き浴場の扉が開き、司が風呂から上がってくる。
「あっ・・・司先輩」
身体を拭きながら、さっぱりとした表情を浮かべる司。CDF基地は地底怪獣からの襲撃を受けた際、怪獣が温泉を掘り当ててしまい怪獣温泉として今に至る。
「ははっ、ソラ君はシャワーだけかい?あれだけの戦いをしたあとだから、風呂には入ってた方がいいと思うよ。僕は温泉が好きだからということもあるけど、それを
差し引いても風呂は筋肉をほぐし、疲労回復が段違いだ」
はたから聞くと先ほどの訓練の事のようだが、二人の会話は当然先日の戦いのそれを意味していた。
あの戦いで瀕死の重傷を負わされたソラは、目の前の少年と唇を重ねることでエネルギーをわけてもらい、それで敵を撃退することができたのだ。
「あ・・はい、あの時はありがとうございました。」
あの時のことを思い出し、わずかに頬を赤らめながら目の前の少年の姿を見る。
パイロットスーツの時には気がつかないが、恐らく着やせするタイプなのだろう引き締まった身体と、それでもいかつさをまったく感じさせない理想的な体つき。
「いいってことさ、僕はパトロールに出かけることが多いから、こっちの守りは君にかかるところが大きいしね。」
この時点で天野司は防衛軍・中の鳥島基地に所属、主に宇宙空間警備を担っていた。
「今日はこの後どこかへ行くんですか?」
「今日はひさしぶりに日本本土に戻って来れた。隊長がこの後はオフでいいって言ってたんで、町へ外出するつもりなんだ。」
外出、といっても基地のまわりをブラブラするだけだけどね、笑って続ける。
「だったらボクにつき合って下さい、この町を案内しますから」
「うれしいね、この前はやることがないんで一日ロードワークだったし。」
そう言いながら服を着る二人。
「えっと・・・次は、っと・・先輩、あっち行きましょう」
本屋や服屋、デパートとあちこちまわる二人。
買い物の紙袋片手にガイドブックを見ている司。
「そろそろご飯にしましょうか?」
司に食事を促すソラ、キュウゥゥ、と小さくお腹が鳴る
「うん、そうだね。ここらでいいお店知ってたら嬉しいんだけどな。」
司にそう言われてソラもどんな店がいいか、と思案を巡らせる。
そんな時、通りの向こうからソラのクラスの女子数人が歩いてきた。
「あっ、ミズシマ君!」
「わっ、ほんとだ」
駆けよってくるクラスメート。
「あれ、この人は?」
「お兄さん・・じゃないよね」
「こんにちはー」
かしましく黄色い声は司にも及ぶ。
「ねぇねぇ、ミズシマ君・・この人はミズシマ君とどんな関係?」
ふだんは“ソラ”呼ばわりの女子が自分たちより年上の美形の少年を前に、おしとやかさの皮を何十にも被って聞いてくる。
「あぁ・・それは」
ソラが自分の先輩だ・・・というより早く、あまり空気を読めない司がやらかす・・・
「ボク達かい?つきあってるんだけど・・・」
司にしてみれば先ほど買い物につき合ってほしい、といわれたからその通り答えただけなのだが・・・
「・・・・・・」
「・・・」
「・・・・・」
「・・・・・・」
一瞬の沈黙の後
「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」」」」
“そういうこと”には抜群の反応を示す少女達は一斉に、興味5割驚き4割淫靡さ1割の声を上げる。
意味を素早く悟ったソラが
「ちっ、ちがうんだ・・つき合ってるってのは、その・・」
司が“へっ?”という表情を浮かべ
「違ったっけ?ソラ君からつき合って欲しいって言われたんだけど・・」
さらにヒートアップする女子一同。
「ちがっ、違うんだ!あのっ、そのっ・・・」
結果、当初の目的である食事とあらぬ噂の火消しには成功したものの、裁判の場となったハンバーガー屋にてなぜかその場にいた全員分のハンバーガー&ドリンク代を
払わせられることになったソラ。
しかも、後日談ではあるが“ソラは男もあり”という噂が千里どころか万里を走り、上級生からこっそり告白されかかった。またリナにはゲラゲラ笑われ、カオリには
本気で心配されたが、これは別の話である。。
発火点である司は、それでもなんでこんなにソラが困っているのか分からないなぁ、といった風情でそれでも聞かれたことに答えていた。
そしてドリンクどころか全員がソフトクリームまで奢ったせいで、ソラの財布はスッカラカンになってしまう。
「はぁ・・・」
今日一日、それも初めて入った店なのにサービスカードのポイントがたまってしまい、小さなハンバーガーのキーホルダーをくるくる回してため息をつくソラ。
「んっ?どうしたんだいソラ君・・そのちっちゃいハンバーガー」
「これはハンバーガーはハンバーガーでもプラスチックのキーホルダーですよ」
回す手を止めてもう一つため息をつく。
「プラスチック・・・というのか、それは一体どういう食べ物なんだい?」
「だーかーらー、食べ物から離れて下さい。プラスチックはFRPの材料なんですから」
「あぁ、それなら分かった。繊維強化プラの事だね?最初からそう言ってくれればいいのに」
「・・・普通はFRPの方が知ってる人少ないですよ。」
二人の会話に入ってくる少女達。
「ねぇねぇ天野さん、FRPってなんですか?」
「すっごーい、司さんって物知りなんですねぇ!もしかして」
「プラスチックの他に分からないことがあったら私が教えますよ」
完全に蚊帳の外のソラ。
これで多少なりとも彼の悪友に近い感性がソラにあれば、彼の悪友は
“それみたことか、俺の気持ちが少しは分かったろう!”と勝ち誇るだろうが、あいにくソラにそんな感性はなかった。
このあたり、ソラと司は似たような部分があるのかも知れない。
「さてと、もう暗くなったし帰るとしようか。」
夕方6時を過ぎ、通りからは少年少女の姿が消え始める時間帯だ。
その辺の常識はさすがに持ち合わせているソラと司。
「えーっ」
「こ、こんどはいつこっちに来るんですか」
愚痴る少女達をなだめすかし、帰途につかせる。
「はぁ・・今日は疲れましたねぇ」
かしまし娘達が去った後、ため息混じりのソラ。
「うん、僕もだよ。あんなに空中戦で追いつめられたのは初めてだったね。」
二人になった後、司と話すが若干話がかみ合わない。
「ま、まぁそうですね、でも・・・今度は絶対負けませんよ、同じ機体で相手して下さいね」
アローとF3ではアローの方に圧倒的に分がある、再戦を期するソラとしては機体性能で勝ったとは言われたくなかったのだ。
「望むところだよ、全力で追っかけてくるのは分かってるからね。」
ふと、司は空を見上げ
「闇か・・・僕たちにとってはここからが緊張をしいられる時間帯だ・・」
「・・・・・」
無言で頷くソラ。
その時、先ほど少女達が立ち去った方角から凄まじい地響きと悲鳴が
「「!!」」
そのころCDF極東基地。
「緊急連絡!緊急連絡!FT12地区上空に怪飛行物体接近!映像、入ります!!」
突如現れた怪飛行物体が上空をフラフラ飛んでいたかと思うと、そのまま下に向かって光を照射。
光の中に電送されてきたかのように怪獣の姿が浮かび上がる。
「CDF、出動!ソラにも非情呼集を!!」
ハツシバが命令を下すと、ミホがすかさず
「隊長、ミズシマ隊員ですがちょうどFT13地区のようです。急行してもらって現地集結でよろしいのではないでしょうか?」
画面上の地図には、各隊員の所在位置が光点で示してあった。
「うむ、クスノキ君はこのまま通信を維持!私とミノベはアローで発進する!ジュディ、君はM・V号でジャンボーグを空輸してもらえ」
「はい」
「了解です!」
「わかりました!!」
ゲートが開き電磁カタパルトがせり上がってくる・・・そして勇躍発進するイーリスアロー。
またM・V号がその巨体を唸らせ、先に飛び立つ2機を追わんと空中へとその巨躯を浮かび上がらせた。
怪飛行物体の運んできた円盤怪獣バラスドン。
身体のあちこちに円盤状の物体をつけた怪獣は、そのまま町を破壊し始める。
「たいへんだ・・あっ、隊長!」
通信機からハツシバの声。
「ソラか?TF12地区で怪獣と謎の飛行物体だ、直ちに地上ルートより急行せよ!」
「はい!急行します!!」
司と顔を見合わせ、うなずき合って駆けだしていく二人。
「ソラ君、ここは僕に任せてくれ。君はさっきの子達を含めて避難誘導に!」
「え・・でも・・」
「僕はこの辺の土地勘がない。さぁ、早く!」
「は、はいっ!」
駆けだしていくソラを見送ると、ジュピターに変身する司。
夜の町にウルトラマンジュピターがそびえ立ち、バラスドンの前に立ちふさがる。
『さぁ、ここから先には行かせないぞ。僕が相手だっ!』
バラスドンは体に取りついている円盤を一斉に発進させた。
『むっ、来るのか!』
円盤を体当たりさせてくるのか、と思ったジュピターだが円盤は空中に浮かんだまま、一斉に光線を発射してきた。
シュパァァァァァッ!
『くっ!』
辛うじてかわすが、狙いのはずれた光線は
ズガァァァァンッ!
ビルや建物に命中し、逃げまどう人々の上に容赦なく瓦礫が降り注ぐ。
『くぅっ!』
おいそれと避けるわけに行かなくなったジュピター。
『クッ!ならばこれだ・・・バァァァニングナッコォォォォゥ!!』
拳にエネルギーを集中させ、飛来した光線をバーニングナックルで中和させて消し飛ばす。
『ハァッ・・ハァッ・・ハァッ・・・』
本来必殺技であるバーニングナックルを防御に使うことで町の被害は食い止められたが、エネルギーの消耗もまた激しい。
ピコン!ピコン!ピコン!
カラータイマーが点滅を始めてしまうが、肝心の円盤にも怪獣にもダメージは少しも与えていない。
????・・・謎の空間
「だいぶ息があがってきたようだね・・・あはは・・」
その小柄で甲高い声とは裏腹に、言葉の端々に暗い澱みにような響きがこもる。
「光線技が使えない、いや使わないにい・・ジュピターなんぞやっつけてしまえ!」
彼の脇の透明なカプセルを見上げ
「そしてこの中にしまっておこう・・・アレは僕のモノにするんだ、僕だけのモノなんだ・・あはははははははははは・・・」
闇に爛々と光る目にも狂気が宿っている・・
「さぁ、トドメを刺してしまうんだ、バラスドン!でも・・・わかってるよね、顔には傷をつけないんだよ・・あははは・・でないと、でないとお前を壊しちゃうよ・
・うわっ!!」
突然謎の空間が揺れる
イーリスアロー2機が怪飛行物体に対して攻撃を開始する。
「ミノベッ!反対方向から回り込んで退路をふさげ!俺は正面からやる」
見事な連携でレーザーとミサイルを発射しつつ、高射特科部隊の対空レーザー車“ジーラ”の待ちかまえる空域まで追いつめる。
「よしっ!」
ミノベがコクピットでガッツをするとほぼ同時にジーラの鎌首のような光線砲塔が持ち上がり、狙いを定めて七色の光線を放つ。
怪飛行物体はしかし、その表面を焦がしただけで悠々と飛行を続けた。
「あはははは・・そんな玩具でこの超物体Zが破壊できるもんか!よし、やってしまえ!!」
歪んだ笑顔を浮かべながら謎の少年はバラスドンに命令を下す。
『ハァ・・ハァ・・ハァ・・』
だいぶん拳に宿る炎が弱まり、それでも町への着弾をパンチとキックで防いでいるジュピター
その時、1機の円盤から放たれた光線はジュピターではなくまだ人の残っているビルに命中。
「きゃぁぁぁぁぁ」
「うわー」
「おかーさーん!」
助けを求める人々の声に、ビルに駆けより崩れそうになるのを必死で押さえるジュピター。
阻む物のなくなった少年ウルトラ戦士に、円盤からの総攻撃が。
シュパァァァァァァァッ!
『うぁぁぁぁぁぁっ!あうっ、うぐうっ!!』
体のあちこちに光線が命中しても、なおビルの崩れを押さえるジュピター。
「ははっ、いい格好だよ・・・僕を受け入れないから、僕のモノにならないから・・おしおきだよっ、あははははははは・・・」
超物体Zの中で高笑いする少年。
「さぁ!やってしまうんだ・・・ジュピターの弱点は・・ここだ、僕を助けようとしてケガをした、この右脇腹だっ!」
身動きのできないジュピターの右脇腹に光線が集中する。
『あぁぁっ、くっ・・うぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
灼けつくような痛みに悶絶するが、それでも手を離そうとしない。
「だめだ、これ以上は・・・」
避難誘導に当たっていたソラが、近くの警察官に
「あのビルに人がいたように見えました!直ちに救助に向かいますっ!!」
そして警官が止めるのも聞かず、崩れ始めたビルに飛び込むソラ。
降り注ぐ瓦礫の中で、腰のイカロスパークを腕にセットする。
「イカロォォォォォォォスッ!」
光と共に地面を突き破って登場するイカロス。
同時に、空中からさながらユニコーンから優雅に降りた女騎士のように登場するジャンボーグF。
『ヘアッ!(ここからは)』
『私達が相手よっ』
ジュピターを庇うように怪獣に向かうイカロスとジャンボーグF。
『(まずはあの円盤を何とかしないといけないわ)』
イカロスにテレパシーで語りかけるジュディ
『ハッ!(それはボクに任せてっ!)』
イカロスブレスレットを光のブーメラン、ウルトラスパークに変えて投げつける。
シュパッ!シュパッ!シュパッ!!
次々と撃墜される円盤。
『やるわね、なら今度は私の番ね!エメラルド・レーザー!!』
額の人工クリスタルから発射される光線がバラスドンの角に命中、右角を破壊したとたん次々と円盤がコントロールを失いフラフラと墜落する。
『はぁ、はぁ・・ありがとう!イカロス、そしてジャンボーグF』
地面に片膝をついて呼吸を整えていたジュピターが立ち上がる。
ジャンボーグがスッと必殺技の構えを取る
『相当手強い相手ね、一気に行きましょ!』
頷く二人の少年ウルトラマン。
ジュピターとイカロス、そしてジャンボーグFが空中に飛び上がる。
それぞれバラスドンの右上と左上から強烈な急降下キックをお見舞いするイカロスとジュピター。
『イカロス』
『ジュピター』
『『キィィィィィィック!!』』
二人のキックはXの字に怪獣をぶち抜き、そこへ
『ストライク・ウィンドミル!!』
空中で高速回転をかけるジャンボーグFがそのまま光の刃となってバラスドンを真っ二つに。
ドォォォォォンッ
大爆発を起こすバラスドン。
それを見とどけ飛び去る3人の巨大少年少女(1人はロボットだが)
????謎の空間
「もう少しで・・もう少しでジュピターを僕のモノにできたのに・・くそっ!くそっ!くそぉぉぉぉぉっ!」
モニターに向かう影。
「アイツは一体・・・アイツは一体何者なんだ・・・?」
モニターに映るジャンボーグF
「こいつじゃない!こんなエメラルド星人のサルまね玩具なんかどうでもいいんだ!」
続いて映るウルトラマンイカロス。
「そう!こいつだよ、こいつっ!」
イカロスの戦闘シーンが次々と映し出され、やがてジュピターとの邂逅シーンに。
そして瀕死のイカロスがジュピターと唇を重ね(ダメージを回復する治癒技)“ジュピターリザレクション”のところで絶句する影。
「なっ・・・・ゆ、ゆるせない」
手に持った機械がボロボロと砕ける。
「殺してやる壊してやるコロしてやるコワシてやルコロシてやルコワシてやる・・許さない許さないゆるさないユルさなイ・・・・」
狂気をはらんだ目の光と言葉、その手がふと動きを止めた・・・
「クックック・・・楽しみにしてるんだね、ウルトラマン・・イカロス。生まれてきたことを後悔させてやるよ・・アはははハはhははは」
画面に映し出されているのは、ソラのクラスでの光景。
ソラに四の字固めをかけるリナとそれを必死で止めるカオリの姿が・・・。
「アハハハハッ・・ヒヒッ、はははハはははははははははははははは」
狂気の笑い声はいつまでもつづいていた・・・
=終わり=
あとがき
ウルトラマンイカロス第13話、お送りいたしました。
ふと気がつくと淫靡なシーンが入っておらず、ちょいリョナくらいで終わってしまった今回。
もし(拙作においてはおられぬと思うのですが)淫靡シーンご期待頂いていた方がおられましたら、誠に申し訳ありませんでした。
さて、K様のウルトラマンジュピターですが、私としては拙作にゲスト出演頂く場合はロックマンXにおけるゼロのようなイメージで綴っております。
頼れる先輩、って役どころですので、あまり淫靡なピンチにはならぬかと(現在の所は)思っております。
今回でちょうど1クール13話が終わりですので区切りをつけるにはちょうどいいかな、とか思っていたのですが・・・
謎の少年が出てきてしまい、コレを回収するのに少し時間がかかりそうですので、まだ当分ソラ君には悶えよがって、じゃなかったもがき苦しんでもらうことになりそ
うです。
それでは今後ともよろしくお願い申し上げます。
ソラの通う鳥野台中学校が再開された。
再開のニュースを聞きつけた時、在校生の多くが「うへぇ~」とため息を吐くばかりであったが、それでも再びみんなに会える!という期待感は少年少女達の心を躍らせるには充分だった。
「おっす」
「みんな、おっはよー」
「お、無事だったか、我が友よ!なんてな」
皆、思い思いに再会を喜び合う。
「おっ、ソラ」
「ソラ君、元気だった?」
ソラが教室にはいると、同級生達からさっそく挨拶される。
「うん、おかげさまでね!」
皆、彼の姉が戦死を遂げた事を知っており、それゆえ彼に気を遣っているのだが…それをソラは痛いほど分かっていた。
クラスメートの中でこそ、先のバドゾネス総攻撃で犠牲になった子はいなかったものの、両親や親戚、知人を亡くしたものは多かった。また、他のクラス、あるいは他の学年には決して埋まる事のない席がある教室が少なからず存在するのだ。
中学校が再開されてすぐの行事は球技大会であった。
沈んだ生徒の心を癒す手助けになれば、と教職員や地域の人々が企画したのだ。もっとも当初は運動会が企画されていたのだが、あまりにお祭り騒ぎは…ということもあって球技大会に落ち着いたのだ。
ソラはサッカー種目に出場し、小柄ながらいい働きをしていた。
「ソラー!そっち行ったぞ!!」
悪友がボールの行方を追いつつソラに知らせる。
彼の名前はセタ・ユウゴ。快活で腕っぷしが強く、そして女子にもてない少年だった。
ユウゴ曰く「いつもソラと一緒につるんでるせいで俺はもてないだけだ!」と言っている。
まぁ、一見すれば少女のような顔立ちのソラと一緒にいれば、女子の目は“かわいい”ソラの方に向くといえばその通りだ。
しかし、そんな打算なぞ無用とばかりにユウゴはソラの一番の友人でいる。
「オッケー、ユウ君!任せてっ」
大柄な他クラスの選手の間を縫うようにボールを受け取ると、そのままドリブルで相手の選手をかわしながらゴールへと向かう。
「それっ、ユウ君!」
自分でミドルシュートが打てる距離に差しかかったところで、ソラは自分の相方に絶妙なパスを送った。
「オーライっ…て、くそっ!!」
この二人の連携は既に相手チームの知るところで、パスをカットされ相手にボールを奪われる。
「セタぁっ、なにやってんのよ!」
「せっかくソラ君が頑張ったんだから決めなさいよね!!」
バレーボール競技に出ていた女子が応援に駆けつけており、彼女らの叱咤が容赦なくユウゴの元に降り注ぐ。
「ちぇっ、俺ばっかり」
口ではそう言いながら、くさる事もなくボールを奪回しようとするユウゴ。
「くっ、このヤロっ!」
ボールの争奪戦のさなか、肝心のボールがもみ合いの外にこぼれる。
それを見逃さず、ソラが再びドリブルを仕掛け相手のペナルティエリア内に侵入した。
「うわっ!」
審判のサッカー部員に見えないようにしたヒジ打ちを脇腹に喰らってバランスを崩す。
そのまま地面に倒れ込むかと思われたが、右手を地面についてそれを軸に身体を回転させてシュートを叩き込む。
「チッ!」
ボールがゴールネットに吸い込まれた瞬間、審判の笛と同時にソラの上に倒れ込む相手チームの複数の選手。
小柄で運動部にも入っていない(しかも相手チームなのに自分のクラスの女子の声援までもらっている)ソラが小狡い小手先の技を使ってゴールを決めた、そういう生意気な奴には思い知らさなくては…そう言った思惑の複数の選手が、意図的にソラの上に倒れ込んだのだ
「うぁぁぁぁっ!!」
右手一本で身体を支えていたソラに、数人の体重がのしかかる。
ゴキッ!
ソラは自分の右腕から嫌な音を聞き、そして次の瞬間激痛が襲ってきた。
「あぁぁぁっ、グッ…うぅぅぅ……」
半袖短パン、白の体操着が泥にまみれ、苦痛に顔をゆがませて腕を押さえるソラ。
おもわぬ大事に、わざと倒れ込んだ生徒達は互いに顔を見合わせる。
「アンタ達何やってんのよ!」
ソラやユウゴと同じクラスのカワカミ・リナが駆けよってくる。
母が看護婦をしているという彼女は、すぐに手近な所にあったリレー用のバトンを手に取ると、それを添え木に応急手当をはじめた。
「ソラもソラだよ、あんなの相手に無茶したってしょうがないじゃない」
「う…うん、ありがと」
「まったく目が離せないわよ、アンタには」
ソラの目の前でしゃがみ込むリナに説教されるソラ。しかし、ソラもその時別の意味で目が離せなくなっていた。
「え…あ、うん…きをつける…よ。ゴメンね」
リナは体操服のまましゃがみこんでおり、ソラの腕には僅かにふくらみ始めたリナの乳房が体操着越しにあたり、目の前30センチのところにえんじ色のブルマーとそこから伸びている太股が目に入っているのだ。
「ホントに気をつけて…ね」
リナは心配そうな表情をかすかに顔に浮かべながら手当を終え、顔を真っ赤にしているソラに気づいた。
「ソラ…どうしたの…って…!!」
ソラの視線を追い、そこでようやく彼女は自分がソラに完全に密着しており、まだ誰にも触らせた事のない胸に触れられ(触れさせ)、さらには股間部と自分の(太すぎる、と密かにコンプレックスを持っている)太股を凝視されている事に気づいた。
「このスケベェェェェェっ!エッチ、変態!!」
今まで手当てしていた事も忘れ、恥ずかしさを隠すようにガシガシと蹴りを入れる。
「いてっ、あっ、ゴメン!」
「こらっカワカミ、やめんか!けが人が出たって来てみれば…保健委員のお前が?」
「あ、いえ…これは…」
端から見れば怪我の手当をしていたリナが、ソラに突然蹴りかかったように見えたのだ。
「先生、違うんです。リナ…いやカワカミさんがボクの手当をしてくれていて…」
ソラは困ったように顔を伏せながら教師に説明する。
「ほんの行き違いなんで、カワカミさんには感謝してます。」
まだ顔を真っ赤にしているリナだったが、ぶんぶんと頭を縦に振る。
「まぁ、それならいいが…カワカミ、校医のマツザカ先生は今他のけが人にくっついて病院に付き添っていった。お前がミズシマを保健室まで連れて行ってやってくれ」
「はい、先生。ミ、ミズシマ、行くわよ」
リナは顔をいくぶん伏せたままソラを促す。黙ってついていくソラ。
「これで大丈夫、冷やすだけじゃなく一応湿布もしておいたけど…」
折れていない事をリナが調べて(CDF隊員としてこのくらいの事をソラは知っていたが)手当をするのをソラはじっと見ていた。
「アンタ結構敵が多いからね、気をつけなよ」
正体がばれているのか?と、ギクリとするソラだったがとぼけて
「て、敵?」
「あんた結構人気があるんだし、そ、その…かっこいいって…あ!みんな…みんながだからね…言ってる…みたいだしさぁ」
「え?そうなの?」
「はぁ…もういいわ、」
軽くため息をつくと、使用した薬品と保健委員の名前を簿冊に記入する。
「あとは応援でもしてるのね、試合には出ちゃダメだかんね」
「うん」
ソラは保健室のドアを開けると、ふと振り返った。
「あ、リナ…」
「なっ、なに…」
にっこりと微笑むと太陽のような笑顔を彼女に向ける。
「ありがとね!」
その笑顔を向けられ、リナの顔がみるみる朱に染まる。
「バ…バカ、は、はやく行きなさいよ!こっちは忙しいんだから」
ドアが閉まると、リナは俯いて無意識のうちにソラを手当てした手にもう片方の手をそっとあてていた。
「ふぅ…」
右腕に包帯を巻いて校庭に出てきたソラ。
「あ、いたいた」
クラスメートの姿を見つけて駆けよろうとした時
グラグラ…ガタガタ…ゴゴゴゴゴゴ…
地震のような揺れが学校を襲う。
「あっ!あれは…」
数キロ先の埋め立て工事現場が特に激しく揺れていた。
ビシッ、バキッ、ガガガガガッ
シャギャァァァオゥ!!
地割れと共に公害怪獣ゲブレウスが出現する。
CDF基地
「G32地区よりゲブレウス出現!」
ミホが他のオペレーターからデータを受け取りハツシバに報告する。
「産業廃棄物を餌にしている奴か…このまま太陽にでも放り込んでやりたいですね」
すでにミノベはヘルメットを掴んで今にも飛び出さんばかりだ。
「よし、出動!」
イーリスウイングが地下からせり上がり、超大型電磁カタパルトにセットされる。
「3…2…1…発進!!」
シュォォォォッ、という小さな音と共に全長55mの巨体が空中に飛び立つ。
「航空防衛隊と情報をリンク、本機が指揮を執る」
ハツシバの言葉通り、航空防衛隊のF1エンゼルやF2などの新鋭戦闘機群が翼を連ねて隊列を整える。
「大変だ、はやく避難するんだ!」
「担任の先生はクラスをまとめてくださーい」
鳥野台中学校も蜂の巣を突いたような騒ぎだ。
校舎の陰に隠れて通信機を使うソラ。
「隊長、隊長!」
『ソラか?』
「はい、ボクは無事です。」
『お前はこのまま避難する生徒を守れ、先生にはきちんと話してある』
ソラの身分(CDF隊員であること)を知っているのは担任ほか一部の教師だけである。
「はい、わかりました…あれ?」
ふと視界の隅の方に、リナが怪獣が迫り来る校舎の方へ向かうのが見えた気がした。
『どうした?』
「すみません隊長。同級生が一人、校舎の中に戻っていきました」
『よし、ミズシマ隊員…直ちにその生徒を救出、その後我々の戦い方を見学しつつ適宜地上より応戦せよ!』
「了解しました」
通信を切るとリナを追って校舎に駆けこむ。
イーリスウイングとF1エンゼル、AH2ホートレス戦闘ヘリなどがかわるがわる攻撃を仕掛ける。
ゲブレウスはその長い爪を振り回し、町を破壊しつつ暴れ狂った。
「工業廃水の飲み過ぎか…もう頭にきてやがるな」
ホートレスが1機、攻撃を避け損ねて地上へ墜落する。
なんとか海側へ誘い出そうとCDFと防衛隊の奮闘は続いていた。
「カワカミさん、ここにいたの?早く逃げないと!」
教室で飼っていたハムスターのカゴを抱えて降りてくるリナ。
彼女は地響きにいささか腰が引けておりソラの姿をみてホッとしたが、それを悟られまいと大声を出す。
「あ、アンタこそケガしてるじゃない!早く逃げなさいよ」
ソラが言い返す。
「確かにハムスターは大事だけど…うわあっ!」
ゲブレウスの投げつけた岩隗が校舎に当たり、リナの目の前で階段が崩れ出した。
「きゃあぁぁぁぁっ!」
「あぶないっ!!」
リナとカゴを片手で抱え、崩れ落ちる階段から突き飛ばすソラ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ…」
「ソラぁぁぁっ!」
瓦礫の中に吸い込まれていくソラ
「クッ…イカロォォォッォスッ!」
真っ逆さまに落ちていく中で、イカロスパークを腕にはめる
『タァァァァッ!』
ゲブレウスの前に立ちはだかるウルトラマンイカロス。
シャギュォォォォッ!
長い爪でイカロスに挑みかかるゲブレウス。
イカロスは先ほど負った傷のために、右腕をかばいながら対峙する。
『テヤアァァッ!(短期決戦で行かなきゃ)』
左腕からのパンチとキックを浴びせる。
『ハァ、ハァ…テヤァァッ…ウッ…クッッッ…(とどめだっ、イクシウム…うっ…痛っ…)』
畳みかけるようにイクシウム光線を撃とうとするが、しかし右腕が上がらない。その時を待っていたかのようにゲブレウスが反撃に出た。
ギャァァァァッッ!
尻尾を鞭のようにしならせてイカロスの首に叩きつける。
『アウッ!』
のけ反ったところで、その尻尾が首に巻きついた。
『ウッ…ウゥ…ッ(くっ…くるしい…)』
メリメリとイカロスの首のあたりから音がする。
『クッ…ウゥ…ァ…』
必死に振りほどこうとした時、尻尾の末端がイカロスの顔に向けられる。
シュボォォォォォォォッ!
『ウァァァァァァッ!』
それまでにため込んでいた赤く毒々しいスモッグが少年ウルトラマンの顔に向けて吹きつけられる。
『ア…ァァ……(こ、これは…)』
振りほどこうとしていた手に力が入らなくなったのか、ダラリと下にさがる。
そのままメリメリと首が締めつけられる。
『ウ…グッ…ハァウッ……(く、くるしい…力が入らない…目が…見えない…)』
黄色く光っていたイカロスの目が真っ赤になっている。
無抵抗となったイカロスから尻尾が離れ、支える力を失ったイカロスはそのままうつ伏せに倒れ込んだ。
ギャォォォォッ!
勝ち誇ったゲブレウスの尻尾から今度は鋭いトゲが生えてくる。
ザクッ!
『アァウッ!』
イカロスのお尻に突き刺さると
「あっ、あれはなんだ!」
「なんて色なの…」
「イカロスー逃げてーっ!」
ドクン、ドクン
イカロスの体内に注射液のように注ぎ込まれる毒液。
『アァ…ウァ……ァァ……(あぁ…ボクの…中に……入ってくる……)』
僅かに動く手が空をつかむようにさまよう。
ギュルルルルルッ…
嬉しそうにうなり声を上げ、宙をさまようイカロスの右手を踏みつける。
『アァァァァァァッ!』
激痛に背を反り返らせるウルトラマンイカロス。
その反応が面白いのか、2度3度と踏みにじる。
『アウッ、ウァァァァッ!アグッ…アゥンッッ!』
毒液がイカロスに全て注ぎ込まれ、トゲが抜かれる。
『ア…ゥゥ……ゥ…(からだが…いう事を…聞かな…い)』
迫ってくるゲブレウスの姿がぼやけて見え、激痛のためブレスレットを投げる事もできない。
ドクン、ドクンッ、ドクンッ!
『ヘッ…ゥ…ァ……(あ…あつ…い)』
相手の抵抗力を奪い、卵を産みつけるか食用にするために注入された毒液。
その毒液がウルトラマンイカロスを苦しめる、頑張れウルトラマンイカロス!
『ア…アァァ……』
ドォォンッ!
グッタリとなった身体を持ち上げられ、地面に叩きつけられる。
「あぁ…イカロスがやられる」
「くそぉっ、がんばれーっ!」
ソラの同級生達が心配そうにイカロスの戦いをみつめる。
『ウッ…クッ……テャァァァッ!』
ゲブレウスの両手をはねのけ、フラフラする身体を引き起こすイカロス。
『ハァ、ハァ……ヘッ…グゥッ!!』
イカロスブレスレットを取ろうとするが、右手のきかないイカロスは激痛のため地面に落としてしまう。
ギャォォゥッ!
ブレスレットに手を必死の思いで伸ばすが、その傷ついた腕をまたもや踏みにじられる。
『アァァッ、ウァァァァッ!』
激痛にのたうち回るイカロス。
やがて毒液が体中に巡ってきたのか、イカロスの意識がぼやけ始めた。
『ア……クッ……ゥゥ……(だめだ…気が遠くなっていく…ボクはこのまま……)』
霞む意識の中で、先ほどのサッカーの試合のことが浮かんでくる。
『………ッ!(………そうだっ!)』
これで最後といわんばかりに足を高く上げてイカロスの頭を踏みつぶそうとしたゲブレウス。
その大きな動きの隙をついて身体をずらし
『タァァァァァッッ!』
左手を地面について身体を回転させ、ブレスレットを蹴り上げる。
「よっしゃっ!いいぞぉぉぉっ!」
「やったぁぁぁっ!」
歓声を上げる同級生達。
「……あれ…って…」
そんな中でリナはイカロスの放った技が、(いつもこっそり、しかしその一挙手一投足を見ている)ソラのそれと酷似、というより完全に一致している事に気づいた
シュパァァァァァァッ!
蹴り上げられて空中に舞ったイカロスブレスレットが光を放つ。
ザシュッ!ザシュッ!!
光の刃となったブレスレットがゲブレウスの身体を切り刻んだ。
ドォォォォンッ!
大爆発する怪獣、それを見届けたウルトラマンイカロスはフラフラと立ち上がりながら飛び去っていった。
校舎の瓦礫の中に小さな光の球が舞い降り、それがソラの形になって消える。
「う……うぅ……」
ボロ切れのようになってうずくまるソラ。
「はやく…解毒しなきゃ……」
体内に打ち込まれた毒液を分解するため、超能力を発動するソラ。
ソラの身体が赤く光り、一瞬苦悶の表情を浮かべた後、元に戻る。
「あ、あそこだ!」
「おーい、ソラァァァァッ!!」
同級生や教師がソラを見つけ、体育の教師が瓦礫の中を慎重にやってくる。
やがて友人の肩を借りながら瓦礫の中から救い出され、みんなに手を振るソラ。
多くの歓声の輪から少し離れてリナは複雑そうにソラを眺めていたが
「…あんな弱虫がウルトラマンなわけ…ないわよね」
そうつぶやいて手を振りながら仲間の輪の中に入っていく。
みんなに生還を喜ばれながらも、ソラがもみくちゃにされるのは救急車の到着まで続いた。
=続=