千葉県の幕張メッセのコンサート会場や大阪府の関西空港などで、はしか(麻疹)の患者が相次いで報告されています。はしかは感染力が強く、空気感染もするため、集団感染が起きやすいといわれます。ワクチンで防ぐしかないのですが、一部で接種が十分でない世代もあるといいます。はしかはどんな病気で、日本ではいま、どのような流行の状況にあるのでしょうか。はしかに詳しい岡部信彦・川崎市健康安全研究所長(元国立感染症研究所感染症情報センター長)に聞きました。
【質問】はしかは、どんな病気ですか。
【岡部所長】 はしかは、同じ部屋にいるだけでも飛沫感染や空気感染する、感染力の強いウイルスです。潜伏期間は感染から1週間から10日程度で、高熱、激しいせき、発疹が主な症状です。脳炎、中耳炎、肺炎などの合併症もまれではなく、死に至ることもあります。特別な治療はなく、対症療法が中心です。妊婦が感染すると流産や早産を起こす可能性があります。しかしワクチン接種を受けて免疫がある人は感染することはほぼありません。2回接種していればかなり確実に防げます。母子手帳で接種歴を確認してみるとよいでしょう。
【質問】国立感染症研究所のデータでは、はしかの患者は2014年は462人、2015年は35人。16年は8月24日までに32人ですが、どのような傾向ですか。
【岡部所長】日本はこの数年間で患者は激減し、2015年に国内で長く流行していた土着のウイルスが排除されたとして、世界保健機関(WHO)の西太平洋地域事務局より「排除状態」の認定を受けています。しかし、海外から入ってくるウイルスによる感染が、国内各地で単発で起きています。
▼【動画】はしかから身を守るために(国立感染症研究所)
■「関西空港」が共通点
【質問】関西空港の職員と、幕張メッセのコンサートを訪れた人が、それぞれはしかと診断されています。関連はあるのでしょうか。
【岡部所長】これまでの検査では、7月末に関西空港で仕事をしていた職員で8月に入ってはしかを発症した人のウイルスと、8月の同じ頃に発症しコンサートに行った兵庫県西宮市の男性から検知されたはしかウイルスはともにH1という型で、この男性も7月末に関西空港を利用していました。関西空港が感染の広がりに関連しているとみています。
【質問】今回の流行で気を付けることは。
【岡部所長】今回は空港やコンサート会場が関係している可能性があり、不特定多数の人への感染の広がりが心配されます。はしかワクチンを受けている人はほぼ心配ありませんが、ワクチンを1回も受けていない人は心配です。感染が広がり、患者数が多くなると重症者も発生してしまいます。はしかワクチンを受けていない人はいつどこにいても感染の可能性があります。
▼海外で健康に過ごすために(厚生労働省検疫所)
http://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name62.html
■無理せず早めに受診を
【質問】特に注意が必要なのは、どのような人ですか。
【岡部所長】はしかワクチンの定期接種の対象は1歳と就学前1年間です。この時期に接種をうけていない子はいつどこでかかるかわからないので、早く受ける必要があります。今回の患者の特徴は今のところ20代でワクチンを受けていない若い大人が中心です。国は08年から5年間、中学1年生と高校3年生の年代を対象にワクチンの追加接種を呼びかけました。このときに受け損ねている人は感染のリスクは高いと言えます。今回以外の件でも感染する可能性があるので、自己負担の任意接種にはなりますが、これからでもきちんと受けて欲しいと思います。また、感染を広げないためにも、発疹や熱が出たら無理に仕事や学校、イベントなどに行かず、早く医療機関を受診することが大切です。
【質問】感染してもワクチンは有効ですか。
【岡部所長】感染を受けた直後なら間に合いますが、2、3日経つと間に合わなくなります。しかしその人がうまく感染を受けずに済んだ場合には、その後にうつることが防げます。ワクチンを受けていない人は、なるべく早く受けたほうがメリットは高いです。
▼麻しん(はしか)に関するQ&A(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/qa/kenkou/hashika/index.html
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