隠れ待機児童8293人増…ゼロ目標厳しく
厚生労働省は2日、認可保育所などに申し込んでも利用できない待機児童の数が、今年4月1日時点で2万3553人(前年比386人増)と、2年連続で増加したと発表した。一方、保育所などに入れなくても待機児童に数えない「隠れ待機児童」数は同時期に6万7354人に上り、前年比で8293人も増えた。待機児童数の背後にその3倍近い数の希望者がいることになり、政府が目指す2017年度末までの「待機児童ゼロ」の達成は厳しさを増している。
政府は17年度末までの5年間に保育の受け皿50万人分を追加する計画で、認可保育所など認可保育施設の総定員数は約263万人と昨年より10万3000人分増、自治体が独自で運営する認可外施設などを含めた受け入れ枠は計272万人分となった。子どもを預けて働く女性が増えていることから利用申込者数も昨年より約8万6000人多い256万人となっている。
待機児童の最多は東京都世田谷区の1198人。岡山市(729人)、那覇市(559人)、千葉県市川市(514人)が続いた。昨年、全国2位だった千葉県船橋市は施設整備を進めた結果、昨年比422人減の203人だった。
現在は、認可保育施設に入れなくても、▽保護者が育児休業中▽特定の保育所のみを希望▽保護者が求職活動を休止−−などの場合、待機児童に含めるかどうかは自治体の判断に委ねられている。こうしたケースは「隠れ待機児童」と呼ばれ、該当する子どもは昨年より14%も増えた。
待機児童数が全国2位だった岡山市は、これまで特定の保育所を希望している場合を待機児童から除いていたが、今年から集計に加え、昨年比595人増えた。同市は「遠くしか空いていない場合、利用は現実的ではないと判断した」と説明する。隠れ待機児童が最多は横浜市の3110人、続いて川崎市の2547人だった。それぞれ待機児童数は7人、6人だった。
このように現状の待機児童数は実態との隔たりが大きく、自治体ごとに異なる解釈を統一するため、厚労省は9月中にも新たな検討会を設け、待機児童の定義の見直しの検討を始め、年度内にまとめる予定だ。【細川貴代】