失業給付、90日間延長 被災の12市町村で
厚労省が方針固める
厚生労働省は、4月の熊本地震で被災した熊本県内12市町村の失業者らに対し、雇用保険の給付期間を90日間延長する方針を固めた。早ければ、今月上旬から適用する。地震災害による延長措置は東日本大震災に続いて2例目。
厚労省によると、熊本県内は地震によって事業所の廃止が相次ぎ、雇用保険の受給者が急増。4月が6269人(前年同期比19%減)だったのに対し、5月は9345人(同14%増)、6月は1万1341人(同32%増)、7月は1万1779人(同35%増)となった。人数には、事業所の廃止に伴う失業者だけでなく、地震特例で実施している休業中の事業所の労働者への給付なども含まれている。
受給期間は年齢や勤務年数などで異なり、現行では最大で150日から360日の間。期間が短い失業者らは今月中旬から下旬にかけて受給できなくなる可能性がある。
給付期間の延長は県内一律でなく、4月以降に、被保険者の中で保険を受給している人の割合が高い地域を選定して対象にする方針。同期間の受給率が、全国平均(0・3%)の約2〜3倍のハローワーク阿蘇管内(阿蘇市や南阿蘇村など6市町村)と、ハローワーク上益城(ましき)管内(益城町や西原村など6町村)の2地域が選定される見通しだ。
厚労省雇用保険課は「特に阿蘇地域は全国で最も高い受給率となっており深刻な状況。早期に対応する必要がある」としている。【蓬田正志】