公的マネーが“見えない大株主” これが実質国有化企業だ
株価は大きく下がらない――。兜町が妙な自信に満ちている。
「公的マネーの『買い』は9月以降も続きます。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人=政府の全額出資)が公表した2016年度第1四半期の運用実績を基に試算すると、日本株の買い余力は5.1兆円あります。さらに、日銀のETF(上場投資信託)購入は年内に1兆9272億円残っています。クジラと呼ばれる巨大機関投資家の買い余力は合計で約7兆円。株価下支えの“材料”です」(株式アナリストの櫻井英明氏)
一方、日銀がETF購入額を年間3.3兆円から6兆円に増やしたことで、海外投資家を中心に「日本は公的マネーによる株価下支えがまかり通る歪んだ市場」との批判が一段と高まった。
日銀は信託銀行を通じて株式を間接保有しているため、企業が公表する株主欄に登場しない。いわば見えない大株主だが、ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、日銀のデータなどから16年7月末時点の保有比率を試算した。