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培養液の種類で出生児の体重に影響

平均158グラムの差 出産率も6%程度の違い

 人の体外受精で使われる培養液の種類によって、生まれてくる子の体重や出産率に差があるとの研究成果を、オランダの研究チームが英科学誌ヒューマン・リプロダクションに発表した。培養液を巡る大規模な比較試験結果は初めてという。

 日本産科婦人科学会によると、2013年に体外受精で生まれた国内の子どもは約4万2500人。その年に生まれた子どもの24人に1人に相当し、実施数・出生数は世界一多い。調査対象となった培養液は国内のクリニックなどでも使用されており、国内の調査を求める声が高まりそうだ。

 調査は10年から約2年間、オランダのカップル836組の協力を得て実施。世界的に利用されている培養液2種類のどちらかで体外受精し、生まれた子ども380人のデータを比較分析した。その結果、出生時の体重に平均158グラムの差があった。出産率も6%程度の違いが出た。

 体外受精は精子と卵子を体外で受精させる不妊治療。培養液は初期の受精卵を数日間育てたり、精子を選別したりと生命発生の重要な時期に使われる。たくさんの種類が市販されているが、多くは企業秘密として成分の詳細は明らかにされていない。

 培養液を巡っては、厚生労働省の研究班が11年、プラスチックを加工しやすくする化学物質が高濃度に含まれているとの調査結果をまとめている。

 生殖補助医療に詳しい石井哲也・北海道大教授(生命倫理)は「生殖補助医療の広がりで体外受精は近年増える一方だが、培養液はブラックボックスとなっており、安全性などを見直す意味で重要な報告だ」と話している。【千葉紀和】

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