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【社会】2億円使途は不明のまま 東京五輪招致「違法性ない」JOC報告二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの招致を巡る金銭授受疑惑で、日本オリンピック委員会(JOC)の外部識者による調査チームは一日、日本の招致委員会がシンガポールのコンサルタント会社に二億円余を支払った契約に違法性はないものの、手続きの透明性には問題があるとの報告書を公表した。JOCは「疑念は払拭(ふっしょく)できた」として調査を終えるが、支払先への聞き取りはできず、疑惑の全容に迫ることはできなかった。 (中沢誠、大平樹) ■接触不能 「タン氏から先の流れが今のところ何も分かっていない」。調査チーム座長の早川吉尚・立教大教授は記者会見でこう述べた。タン氏とは、招致委が二億円余を送金したコンサル会社「ブラックタイディングス(BT)」代表のイアン・タン氏だ。チームは招致委理事長だった竹田恒和氏ら三十四人に聴取。一方、タン氏らへの聞き取りは「試みたが接触できなかった」。 調査報告書では、BT社への支払いは東京への投票を国際オリンピック委員会(IOC)委員に働き掛けるロビー活動や、成功報酬として必要だったと認定。フランスの検察当局は、この一部がBT社から国際陸上連盟会長でIOC委員(いずれも当時)のラミン・ディアク氏側に渡ったとみて捜査中だ。 ラミン氏の息子パパマッサタ氏はパリで高級腕時計など千六百万円相当の買い物をし、代金の一部はBT社から振り込まれたと海外などで報道された。調査報告書では二億円余の使い道が不明なまま、「日本側の関係者には贈賄の認識がない」と結論付けた。 ■状況証拠 調査チームは「BT社の活動実態はあった」とした。根拠の一つは、BT社が招致委に提出した三十七ページの報告書。「IOC委員の投票行動が書いてあった。さまざまな活動をしていたと予測される」と早川座長。いわば状況証拠の積み重ねだ。調査報告書には「相応のロビー活動を行っていたことが推認される」と記された。 BT社への支払いは二回に分けられた。招致委の事務局長らは成功報酬的な二回目の支払いがあることを事前に竹田氏に説明せず、調査報告書では手続きの透明性に「一定の問題がある」と指摘した。 ■捜査待ち 調査チームはシンガポールを訪ね、フランスの弁護士を通じて検察当局の動きを探ったが、情報はつかめなかった。早川座長は「強制捜査権のない中、これ以上の解明は難しい。フランス当局がどこまで捜査を進めるのか、全貌が解明されるのを願っている」と答えた。 第三者委員会制度に詳しい郷原信郎弁護士は「コンサルタントらに接触できなかったにもかかわらず、招致委に違法性の認識がなかったから問題ないと言い切っている。招致委側の弁解を聞いただけの調査だ」と話した。 ◆報告書で明らかにならなかった点 ▼招致委からブラックタイディングス(BT)社に支払われた2億円余は何に使われたのか ▼BT社のどんなコンサル活動が東京の招致成功に結び付いたのか ▼BT社代表のイアン・タン氏とIOC委員だったラミン・ディアク氏らとの関係 (東京新聞) PR情報
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