もし今日を生き抜くだけのお金と雨風をしのげる場所しかなかったとして、大金が入った財布を目の前にしたら、あなたならどうしますか?
たいていの人は、持ち主に悪いと思いながらも、そのまま盗んでしまうと答えるかもしれません。
しかし、タイに暮らすホームレス男性・ワラロップさんがとった行動は…。
通行人の1人が財布を落とすのをワラロップさんが目撃したのは、地下鉄の駅で横になっていたときのこと。
すぐさま持ち主を追いかけて財布を返そうとした優しいワラロップさんでしたが、結局その人を見失ってしまいました。
財布の中を確認すると、2万バーツ(約6万円)もの大金とクレジットカードが!
そのときのワラロップさんの所持金はわずか9タイバーツ(約26円)。持ち主も去ってしまったため、黙って自分の懐に入れることもできたはず…。
しかし、すぐに彼は、その財布を警察へと届けに向かいました。
警察が持ち主であるニッティさんに連絡を取り、財布は無事に彼の下へ。
ニッティさんは財布を落としていたことにすら気付いておらず、とても驚いたといいます。
当初謝礼として所持金の1割である2000バーツ(約6000円)を渡そうとしたニッティさん。
しかし、ワラロップさんがホームレスであると知り、考えを変えました。
とある工場の経営者だったニッティさんは、正直で優しいワラロップさんに、住む場所を提供するので、ぜひとも自分の所で働いてほしいとオファーしたのです。
今では月11000バーツ(約3万2000円)の給料をもらい、無事ホームレス暮らしから脱出することができたワラロップさん。
ニッティさんのガールフレンド、タリカさんも、ワラロップさんの誠実さを賞賛しました。
財布を落としたニッティさん本人ですら、「もし自分が彼の立場なら、たぶんそのまま返さないだろう」と言うように、その日暮らしの生活の中で、ワラロップさんのような行動をとれる人はそういないのではないのでしょうか。
彼が最終的に仕事や住む場所を得られたのは、ただのラッキーなどではなく、どんな状況でも誠実にいようと努めた彼に対する、神様からの贈り物だったのかもしれませんね。