■ロッテグループ(韓国の財閥大手) 創業者の辛格浩(シン・ギョクホ、重光武雄)氏に正常な事務処理能力が不足しているとして、ソウル家裁が31日、後見開始の判断を下した。後見人は第三者機関の社団法人が選ばれた。
武雄氏に立てられるのは「限定後見人」。精神的な制約から事務処理ができないと判断された場合に立てられ、本人の自由な意思で財産の処分などができない。限定後見は日本の成年後見人制度では判断能力が著しく劣る「後見」よりは軽度と判断される「保佐」に近い概念とみられる。
韓国ロッテグループは同日のソウル家裁の決定によって「(武雄氏が)適切な医学的な加療や法の保護を受けることになり、健康と名誉が守られることになる」と歓迎するコメントを発表。「後見が円滑に実現されるように必要なすべての支援を進める」とした。
日本の法制度では後見人や保佐人が立てられた人物は取締役になれない。外国法下で同様と判断された場合も対象だ。武雄氏は日本のロッテホールディングス(HD)取締役を務めており、後見人が立てられた場合、同社の対応が焦点となる。また武雄氏が自身の代表権を外したロッテHD取締役会の決定が無効だとして東京地裁に確認を求めた訴訟などにも影響が及ぶ可能性がある。
ロッテグループは経営権を巡って武雄氏の長男、辛東主(シン・ドンジュ、重光宏之)氏と次男の辛東彬(シン・ドンビン、重光昭夫)氏が争っている。宏之氏は武雄氏から後継者に指名されたと主張しており、ソウル家裁の決定は宏之氏にとって不利な材料だ。決定を不服とする宏之氏側が控訴する可能性もある。(ソウル=加藤宏一)