ソウル家裁のキム・ソンウ裁判官は31日、ロッテグループ創業者の辛格浩(シン・ギョクホ、日本名:重光武雄)氏(93)に正常な事務処理能力が不足しているとして、「限定後見」開始の決定を下した。後見人には社団法人「ソン」が選ばれた。同法人は法律事務所「ウォン」が公益活動のために設立したもので、元ソウル高裁トップのイ・テウン氏(68)が代表を務める。家裁の決定が最終的に確定すれば、事実上、格浩氏の法的な意思決定をイ氏が代わりに行うことになる。ただ、格浩氏側は決定を不服として抗告する意向を示しており、まだ上級裁判所の判断が残っている。
格浩氏の妹、シン・ジョンスク氏は昨年12月、辛氏の判断能力に問題があるとして、成年後見の開始を申し立てた。ソウル家裁は8カ月にわたり格浩氏の診察記録などを検討した末、後見開始の判断を下したが、申し立てのあった成年後見ではなく限定後見とした。限定後見人は裁判所が定める範囲内で格浩氏に代わって事務を処理する。
決定により、格浩氏の次男の辛東彬(シン・ドンビン、日本名:重光昭夫)ロッテグループ会長は兄とのグループ経営権争いで一段と有利な立場に立つことになった。格浩氏の長男の辛東主(シン・ドンジュ、日本名:重光宏之)SDJコーポレーション会長はこれまで「格浩氏の判断力に問題はなく、正常な判断により自分を韓日ロッテの後継者に指名した」と訴えてきたが、今回の決定でその主張が根拠を失うことになった。
東彬氏は特に、ロッテグループの支配構造の頂点にあるロッテホールディングス(HD、東京)の筆頭株主、光潤社(東京)の株主総会と取締役会の決定取り消しを求める訴訟など、日本で進められている訴訟で有利になる。東彬氏は、昨年10月に格浩氏により行われたという東主氏の光潤社の最大持ち分確保と代表取締役選任は無効だとして、今年1月に提訴した。