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2016-09-01

[]ちょっと羊頭狗肉気味な「ザ・スクープスペシャル 終戦企画」

敗戦後71年目の8月が終わりましたが、テレビの戦争特集は(いくつか良番組はあったものの)やはり加害の側面にきちんと向きあったとはとうてい言えなかったですね。

さて、8月14日に放送された「ザ・スクープスペシャル 終戦企画 大平洋戦争最後のミッション 緑十字機決死の飛行〜誰も知らない“空白の7日間“〜」をいまごろになって観ました。自社コンテンツの価値を過大に喧伝するのはメディアの常とはいえ、タイトルだけで「ああ、河辺虎四郎がウィロビーからウィスキーもらってご機嫌になったミッションね」と予想しつつ観ていたら、ディテールはともかくとして大筋ではやっぱり既知のはなしでした。


それはまあいいとして、番組の最後の最後で緑十字機1号機の復路における不時着の原因について突然陰謀を示唆する説明が出てきたのはちょっとびっくり。断定こそ避けたとはいえ、テレビで放送するには根拠薄弱ではないかと。細かなところで気になるところが幾つかあったことも制作サイドの姿勢に疑問をいだいた理由です。例えば一式陸攻をナレーションで「戦闘機」と呼んでみたり、ナレーションがゼロ戦について語っているところで使われているのが九九艦爆のフッテージだったり。不時着したあと放置され波にさらわれて消えた不時着機の部品が近年になって見つかったことを「奇跡」と形容してみたり(撤去したわけじゃないんだから、そりゃ近所で見つかることもあるでしょうよ)。敗戦記念日にあわせた企画としてはちょっとアラが目立つかな、と。

TeruTeru 2016/09/01 23:33 >緑十字機1号機の復路における不時着の原因について

以前軍事関係の掲示板で話題に出たのを見た際は、
洋上飛行での航法の誤差により燃料切れは普通にありうるとして、
「陰謀」「妨害」といった話を持ち出すまでもないという扱いでした。

民放の軍用機絡みの番組と言えば、
BS-TBSの「風立ちぬの真実 〜零戦の栄光と悲劇」では、
零戦の航続距離要求と速度の扱いがアレでした。
http://www.bs-tbs.co.jp/genre/detail/episode/?mid=kantei

・陸攻護衛の長距離爆撃随伴のため、航続距離が求められたと(空母で洋上作戦するためが真相だろう)
・当時の米軍機に「最高速度」は及ばないが、
「上昇力」の方が空戦には要るし、
P-38は双発なので(日本含め双発戦闘機の成功作は稀であるが)・・と弁護
・初期型の急降下中の空中分解に対し、「急降下速度制限」を有効な対策扱い

極めつけは、機体の各部重量(強度)をどこまで削れるかという話で、
現代機並みにぎりぎりまで削った、
http://www.jal.com/ja/jiten/dict/p110.html
(安全率1.6?で)
卓見だと称したあたり。

零戦の場合、後期量産型の52型で一部部品を厚くして急降下速度上限を緩めていますから、
この番組が褒めた初期対策は、当時ですら、
(それこそ米軍機の急降下対策急務までの)あくまで当座の話でしょう。

陸攻にせよ空母機動部隊(零戦含め)にせよ、
アメリカの戦艦の保有「量」に対し、
日本側が「新」兵器で代用を図った(よって無茶の動機が強い)という、
流れの理解がないのかなと。

流れの理解という点では、新兵器渇望の背景説明が、
ABCD「包囲」網とされていたのもまずい。
これも旧軍の大陸での戦線「拡大」や
ヒトラーの初期優勢(フランス本国降伏)に乗じた仏印「進駐」といった「日本の選択」が、
周辺国に何を思わせたか(欧州大戦飛び火近し)が視野の外だなと。

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