外貨建て資産の為替変動リスクを回避するために利用される為替スワップの取引高が顕著に拡大している。円をドルに交換する円投・ドル転需要が取引拡大の主な要因だ。

  国際決済銀行(BIS)が1日公表した3年ごとの外国為替取引調査によると、為替スワップの為替市場全体に占めるシェアは今年4月時点で47%と、3年前に比べ5ポイント拡大した。1日当たり平均取引高は2.4兆ドルと、2.2兆ドルから増加した。

  日本銀行による2013年4月の異次元金融緩和導入以降、日本の投資家は米国債などを購入する際に、為替リスク回避(ヘッジ)の目的で為替スワップや通貨スワップを積極的に活用している。国内最大の民間金融機関であるゆうちょ銀行の山田博専務は16年3月期の決算説明会で、保有する外国証券に為替ヘッジを付けていると述べた。

  BISの報告によると、為替スワップの91%は米ドルが相対通貨となっているものの、その割合は3年前とほぼ変わらず。一方、円は19%と、前回の15%から大きく伸びた。通貨スワップは市場全体に占める比率は依然として小さいものの、取引高が79%増の960億ドルと急速に増えている。

市場全体は縮小

  外国為替市場の1日当たり平均取引高は、異次元緩和が導入された13年に比べ減少した。4月の取引高は1日当たり平均で5.1兆ドルと、3年前の5.3兆ドルから減少。直物の取引高は15%減の1.7兆ドルと、01年以来初の減少となった。

  通貨別のマーケットシェアでは、円が22%とユーロが31%と、それぞれ1ポイントと2ポイント低下した。豪ドルやスイスフランもシェアを減らしている。一方、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の構成通貨に組み入れられることになっている人民元は、メキシコペソを抜き世界8位に浮上。米ドルは88%のシェアで基軸通貨の座を維持した。

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