国連安保理 北朝鮮のミサイル発射に非難の声明

国連安保理 北朝鮮のミサイル発射に非難の声明
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北朝鮮によるSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルの発射を受けて、対応を協議していた国連の安全保障理事会は、26日、北朝鮮による一連のミサイル発射を厳しく非難するとともに、北朝鮮に対して、安保理決議を確実に順守するよう求める報道機関向けの声明を発表しました。
国連の安保理は、北朝鮮が今月24日、SLBM=潜水艦発射弾道ミサイル1発を発射し、およそ500キロ飛んで日本海に落下したことを受けて、緊急の会合を開いて対応を協議してきました。
その結果、安保理は26日夜、今回のSLBMと合わせて、北朝鮮による先月からの一連のミサイル発射を厳しく非難する報道機関向けの声明を全会一致で採択し、発表しました。

声明では、これらのミサイル発射が北朝鮮による核兵器の運搬能力を向上させ、地域の緊張を高めているとしたうえで、北朝鮮に対し、核実験を含むこれ以上の行動をとらず、安保理決議を確実に順守するよう求めました。
さらに、安保理のメンバー国に対しても、北朝鮮への制裁をめぐる安保理決議の完全な履行と速やかな報告を促しています。

北朝鮮が今月3日に発射した中距離弾道ミサイルへの対応では、安保理が緊急会合を開いたものの、中国などが慎重な姿勢を崩さず、声明の取りまとめは見送られましたが、今回は、危機感を募らせるアメリカなどが中国に強く働きかけたことに加え、中国としても、地域の緊張がこれ以上高まる事態を避けたい思惑があったとみられます。

韓国「安保理の強いメッセージに意義」

声明の発表について、韓国外務省のチョ・ジュンヒョク(趙俊赫)報道官は、27日午後、コメントを出しました。
この中で、チョ報道官は、「韓国政府は北の挑発について、今週行われた中国との外相会談などの場で断固とした対応をとるよう努力を傾けてきた」としたうえで、「安保理が強いメッセージを打ち出したことに意義があり、今後も国際社会との協力を進めていく」と述べました。

姿勢転じた中国の思惑は

中国が今回、慎重な姿勢から一転して、非難声明の採択に応じた背景には、北朝鮮の核・ミサイル開発が一段と進み、緊張がさらに高まることへの危機感に加えて、浙江省の杭州で開かれるG20サミットを来週に控え、国際協調を重視せざるをえない事情がありました。
挑発を繰り返す北朝鮮に対し、安保理常任理事国の中国の慎重な対応が原因で、またしても厳しい姿勢を示せない結果になれば、習近平国家主席が議長を務め、中国の存在感をアピールするはずのG20サミットで、批判が強まりかねないからです。

北朝鮮の最大の貿易相手国である中国が制裁決議を着実に履行するのか。国際社会は引き続き、注視しています。