ハリル必勝宣言　黒星発進なら通過率「０％」

　２０１８年ワールドカップ（Ｗ杯）ロシア大会アジア最終予選グループＢのサッカー日本代表は１日、初戦となるＵＡＥ戦（埼玉）を迎える。１９９８年フランスＷ杯アジア最終予選以降、黒星発進の国のＷ杯出場確率は０％。バヒド・ハリルホジッチ監督（６４）は、前日会見でリオデジャネイロ五輪のメダリスト３５人からの激励が書き込まれた国旗を披露し、「モチベーションは上がっている。勝つためにすべてトライする」と必勝宣言した。

　ハリル監督が練習開始前に日の丸を広げた。体操の内村航平、柔道男子９０キロ級のベイカー茉秋、柔道女子７０キロ級の田知本遥ら金メダリストが「執念」などと書き込んだ。中継するテレビ局からプレゼントされた“必勝アイテム”で選手のモチベーションを上げようとした。

　だが…。事件は起こった。上下逆さま。指揮官は選手に「何だか分かるか」と問い掛けたが、文字が逆さまで読めない。サプライズ演出は失敗に終わったが、熱意は伝わった。ＦＷ小林は「うれしかった。自分たちもやれるって感じになれた」と気合を入れた。ハリル監督が「大事な一歩」という最終予選の初戦へ向けて士気を高めた。

　文字通り「絶対に負けられない戦い」になる。９８年フランスＷ杯アジア最終予選以降、初戦で敗れた全チームがＷ杯切符を獲得できていない。「すべて把握しています」と指揮官。自身は過去にコートジボワール、アルジェリアを率いてＷ杯出場権を獲得したが、いずれも白星スタートを飾った。勝負師として重要性は体に刻み込まれている。

　ハリル監督は「美しいプレゼントでモチベーション上がっています」とほおを緩め、国旗を見つめた。左下には内村がけん引した体操男子団体メンバーから「スーパーゴール期待しています！」とも。そして、指揮官は言った。「相手は（勝利を）プレゼントしてはくれない。取りに行く」。この日、選手へのサプライズ演出は失敗に終わったが、試合ではスーパーゴールと勝利という“美しい着地”を決める。　（占部哲也）