Windows 10では2回目の大規模アップデート「Anniversary Update(1607)」が2016年8月2日に配信され、間もなく1カ月が過ぎようとしている。しかし、8月下旬になっても「手元のPCにAnniversary Updateの更新案内が届かない」という声がネットには散見された。なぜこうしたユーザーが少なからず存在するのだろうか。
米Windows Centralが8月24日(米国時間)にAdDuplexの最新データを引用して報じているが、Windows 10におけるバージョン別シェアの集計では、2015年11月に配信された「November Update(1511)」が77.2%で最大勢力を占め、Anniversary Updateの比率はまだ16.2%だ。
この最新データはAdDuplexのサイトでも確認できる。配信開始から3週間時点となる8月22日の集計ではあるものの、Anniversary Updateのシェアは2割にも満たない。アップデート直後に判明することが少なくない不具合回避のために旧バージョンのまま据え置くユーザーが一定層いるのは理解できるが、それでも低すぎる。
Windows Centralでは明確な理由は不明ながらも、こうしたユーザーのほか、「多くの旧世代PCにはいまだAnniversary Updateのアップデート通知が届いていない」という推測を立てている。Windows 10をプリインストールした最新PCには優先してAnniversary Updateが提供されている一方、旧世代のPCは後回しにされる傾向があるという。
その意図としては、Microsoftが製品の安定性を重視し、ドライバやソフトウェアの安定性を確認した後に順次アップデートの提供を開始していることにあるようだ。メーカー製PCであればメーカー側の検証が完了するまではAnniversary Updateの配信を見送り、自作PCであれば旧世代のパーツが含まれている場合にやはり優先配信ターゲットから外れてしまう。
そのため、複数台のPCを所持している場合、Anniversary Updateが降ってくるPCとそうでないPCとが混在する可能性がある。
このことはネット上のユーザーフォーラムでも多数の報告が上がって検証が進んでおり、例えばRedditなどでも同様の症状を抱えるユーザーらの投稿が複数確認できる。また、もし当該ユーザーがNovember Updateにアップデートした直後だった場合、「30日間はAnniversary Updateがダウンロードされないようロックがかかる」という話も紹介されている。
一方で、Anniversary Updateの配信直後からアップデート後に一部でPCがフリーズするようになったという報告もあり、Microsoftがその対応に追われるなど、まだ安定性が十分確保できていないとみられる部分も大きい。
8月23日にはPowerShellの機能を無効化する不具合を直す「KB3176934」が配信されており、こうした理由から安定性が高まるまでの間、しばらくアップデートを控えるというユーザーがそれなりにいても不思議ではない。
日本マイクロソフトにAnniversary Updateの提供状況を確認したところ、「詳細は公開していないものの、状況を見ながら順次展開を進めている」というコメントを得た。
もし、Anniversary Updateで提供される新機能を早めに利用したいというユーザーで、いまだ手元のPCにWindows Update経由での配信がない場合、手動でのアップデート手段が提供されているので、公式ページから作業してほしいという。
自己責任での作業となるが、「どうしてもAnniversary Updateを試したい」というユーザーは、手動でのアップデートにトライしてみてはいかがだろうか。
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