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素粒子捉え原子炉透視 中電と名大が実証実験

ミュー粒子検出器(左下)の前で原子核乾板を手に説明する森島邦博特任助教=31日、御前崎市の浜岡原子力発電所で(山田英二撮影)

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 中部電力と名古屋大は三十一日、浜岡原発2号機(御前崎市)で、宇宙線が大気にぶつかって生じる素粒子「ミュー粒子」を捉え、エックス線撮影のように原子炉の格納容器内を調べる実証実験を公開した。重大事故発生時の状況把握に役立つほか、今もよく様子が分かっていない東京電力福島第一原発の格納容器底部を調べる手段として期待される。

 研究の中心は名古屋大の中村光広教授、森島邦博特任助教らのグループ。ミュー粒子はウランなど密度が高い物質ほど透過性が落ちる。大学が独自開発した「原子核乾板」という検出器で粒子を捉え、進んできた方向や数を調べることで、原子炉内の様子が分かるという。

 研究グループは昨年五月から、2号機で断続的に数週間程度の実験を行ってきた。観測する粒子の数を増やすため、八月下旬、半年間にわたる実験を開始した。

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 三十一日は、2号機の原子炉建屋地下二階の格納容器の下部付近に置かれた検出器の様子が報道陣に公開された。腰までの高さの黒い収納容器が三つあり、厚さ〇・三ミリの原子核乾板十二枚で粒子を観測しているという。

 福島第一原発では東電などが既にミュー粒子を使った調査を行っているが、電源が必要なことなどから検出器を地上にしか設置できず、格納容器の底部の様子は不明。名古屋大の検出器は電気を使わないうえ、防水性が高いのが特長で、中村教授は「うまくいけば、原子炉格納容器底部の状況を地下から見ることができるかもしれない」と語っていた。

(坪井千隼)

 

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