難解な詩の世界 漫画に 蒲原有明を人気作家が描き下ろし 小郡で企画展 [福岡県]
小郡市大板井の野田宇太郎文学資料館で企画展「蒲原有明(かんばらありあけ)-近代詩の先駆者-」が開かれている。若い人も興味を持つようにと、近代詩をテーマにした人気漫画の作者に描き下ろしを依頼。難解な詩の世界を分かりやすく紹介している。
蒲原有明(1876~1952)は明治後期に活躍し、北原白秋らに大きな影響を与えたとされる詩人。晩年は33歳下の野田宇太郎と親交が深かった。2人の交換書簡4点を同館が新たに入手したことから、蒲原の書簡や原稿など約160点の展示を企画した。
ただ蒲原は難解な作風で知名度も低く、「どうやって興味を持ってもらうかが課題だった」と学芸担当専門員の渡辺恵さん(32)。着目したのが萩原朔太郎など近代詩歌俳句からイメージしたキャラクターが登場する人気漫画「月に吠(ほ)えらんねえ」(清家雪子さん、講談社)。蒲原も登場するため「ダメもとで」(渡辺さん)出版社に依頼すると、清家さんの快諾を得た。
寄稿作品は全6枚で、同漫画の主人公らが「有明先生」を訪ねる物語。発表後も作品を書き直したという蒲原の実話を基に、創作の苦悩を描いている。渡辺さんは「漫画や展示を通し、蒲原の魅力を知ってほしい」と話した。
企画展は11月29日まで。入館無料。9月10日と10月8日に展示解説、11月19日には講演会がある。
=2016/09/01付 西日本新聞朝刊=