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熱海 2つの宿泊施設が営業終了へ

◆湯のまち復活 影響懸念

 熱海市にある知名度の高い二つの大規模宿泊施設が八月末で相次いで営業を終える。熱海後楽園ホテルの旧館「みさき館」(和田浜南町)とホテル水葉亭(すいようてい)(伊豆山)。昨年、十四年ぶりに宿泊客が三百万人台を回復した「湯のまち」の誘客に影響を与える可能性があり、観光関係者に衝撃が広がっている。

◆みさき館

8月末で営業を終える熱海後楽園ホテルの旧館「みさき館」(右)、左は新館のタワー館=熱海市和田浜南町で

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 みさき館は一九六五(昭和四十)年開業で、十一階建ての建物に六百五十人を収容できる。古い耐震基準で建てられた大規模宿泊施設に対して耐震診断を義務付ける改正耐震改修促進法の対象物件になり、運営する東京ドーム・リゾートオペレーションズ(東京)が取り壊しによる全面改装を決断。昨年末に八月末閉鎖を発表した。隣接する新館タワー館は営業を続け、みさき館跡地には四年後の東京五輪までに新施設完成を目指す。

◆ホテル水葉亭

 ホテル水葉亭は国道135号に面した斜面に立ち、相模湾を一望できる。五一年に開業し、十一階建てに三百五十人が宿泊できる。地元財界人の社交場としても人気だった。水葉亭の幹部従業員は、本紙の取材に「営業終了は間違いない。今は何も言えない」と話す。宿泊業関係者によると、閉鎖は経営不振ではなく、内部的な理由という。

相模湾に面するホテル水葉亭=熱海市伊豆山で

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 斉藤栄市長も二十六日の定例会見で、水葉亭の閉鎖について直接の報告はないとしながら「従業員の雇用が心配。地域経済のためにも新しい形で経営を再開してほしい」とコメントした。

 両施設は市内宿泊施設三百軒の中でも収容力が上位にあり、合わせた宿泊者数は年間二十万人近い。大口の団体客の受け入れで熱海復活の一翼を担った。

 市内は今年も前年並みの宿泊者数で好況は続くが、二施設の閉鎖の影響を懸念する声は少なくない。「両施設が同時に終了するのは痛手。秋以降は宿泊客の伸びが止まるだろう」。市観光協会の市川幹夫専務理事(61)は厳しい表情を浮かべる。熱海温泉ホテル旅館協同組合の山田秀明専務理事(61)は「他の施設の部屋の稼働率を高め、ニーズに応えていくしかない」と話す。

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 市民からは、観光業全体への影響を心配する声もある。飲食業を営む六十代男性は「二施設とも熱海の顔といえる老舗。対外的な印象で熱海ブームの勢いが止まらないか」と心配した。

(中谷秀樹)

 

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