中村守和曰く、巖流と宮本武蔵との仕合について、昔日に老翁から聞いた物語によれば、
その期日に及んだ時、貴賎とも見物の巖流と宮本武蔵との仕合についてために多くの人が船島に渡海した。
巖流も船場に至って乗船した。巖流は渡守に「今日渡海する人がとても多いのはどうしたことだ?」
と言った。渡守は「あなたは知らないのですか? 今日は巖流という兵法使いが、宮本武蔵と船島で
仕合するのです。だから見物しようと未明から渡海する人が引きも切らずなのです」と、答えた。
これに巖流は、「私がその巖流だ」と言った。
渡守は驚き、巖流に囁いて「あなたが巖流ならば、この船を他所につけるべきです。早く他州へ
お去りなさい。あなたの術が神の如くといえども、宮本の党はたいへん多いのです。絶対に命を
保つことはできません」と、言った。
これに巖流は、「お前の言う通りで、今日の仕合で私は生き延びることを望んではいない。とはいえ、
堅く仕合を約束したのに、たとえ死ぬとしても、約束を破るのは勇士のする事ではない。私はきっと
船島で死ぬであろう。お前は我が魂を祭って水をそそげ。賤夫とはいえ、その志には感じたぞ」と言い、
懐中から鼻紙袋を取り出して、渡守に与えた。渡守は涙を流して、その豪勇を感じた。
やがて船島に到着した。巖流は舟から飛び降りて武蔵を待った。武蔵もまたここにやって来て、
ついに刺撃に及んだ。巖流は精力を励まし、電光の如く、稲妻の如く術を振るったが、不幸にして
船島に命を留めたということである。
――『本朝武芸小伝』
コメント
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最後の「船島に命を留めた」が表現として意外。
命を留めたと言うので、生き残れたのかと一瞬思ってしまう。
文脈からすれば死んだのだろうと判断できるから、
「船島で死んで土となって、その土が船島に留まった」
みたいな意味の流れなのだろうか。
( 2015年11月19日 13:19 )
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むさし「小次郎敗れたり、舟島に命がとどまっておるぞ」
こじろ「な、なにィ!」
( 2015年11月19日 13:39 )
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なんで巌流なのに、「佐々木小次郎」って名前になったんだろう。映画の影響かな。
まーくんの「独眼竜」は、映画の影響らしいし。
( 2015年11月19日 13:39 )
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頼山陽じゃなくて?>※3
( 2015年11月19日 14:55 )
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巌流=巌型=のちの流派ガンカタの元である
( 2015年11月19日 17:28 )
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今更ながらに、島の名前まで巌流島の方が有名な事に気づく。
ある意味命を島に留めているな‥。
( 2015年11月19日 17:59 )
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※3
巌流さん豊前佐々木氏の出だって説が有るからじゃないか?
( 2015年11月19日 19:52 )
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>宮本の党はたいへん多いのです。絶対に命を保つことはできません
決闘後にまだ息があったのを武蔵の弟子たちに撲殺されたっていう、『沼田家記』の記述の傍証になりそう
( 2015年11月19日 20:38 )
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巌流さん確かおじいちゃんでしたよね
なにかとひっでえ話にとしか思えなくなってる
( 2015年11月20日 01:47 )
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いや、俺の記憶が間違いなければ、佐々木小次郎の当時の年齢を記した史料は全く無かったハズ。
それゆえに「実は爺さんだった可能性もあるだろ?」程度の話が一人歩きして広まっただけだと思われる。
( 2015年11月20日 20:15 )
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一応、富田勢源か鐘捲自斎のお弟子ということになっているので、
そこからの逆算で老齢か武蔵より年上ということではなってるんじゃないかな。
( 2015年11月21日 08:49 )
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※5
リベリオン?
( 2015年11月23日 00:58 )
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※3です。
「二天記」という熊本藩士が書いた書物によると、佐々木小次郎は越前の生まれ(豊前国の有力豪族の佐々木氏生まれ説あり)ました。富田勢源の弟子として、幼少から鍛練し、18歳の時に勢源の弟を打ち負かし、富田の元を去り、最初は毛利氏に仕え、その後、諸国で剣術の修行して、「巌流」という流派を立ち上げて、あの「燕返し」を編み出して、小倉藩の剣術師範になったそうです。巌流島の時は18歳と「二天記」では書かれてるみたいですが、60歳、70歳と曖昧です。「前髪立ての美青年」は吉川英治さんの小説「宮本武蔵」に描かれたものだそうです。
富田勢源の門下鐘巻自斎の弟子だと50歳という噂もありますが、「バカボンド」では、この説を採用してます。因みに「バカボンド」では聾唖の剣豪として描かれてるらしいんですけど、読んだことがある人はいますか?私は「18歳の前髪立ての美青年」の方がいいなと思いますが、「物干し竿」といわれてる長太刀を振るうってことは、巌流さんってマッチョなんじゃ・・。「マッチョな前髪立ての美青年」って、ちょっと。
( 2015年11月23日 01:31 )
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