2015年11月21日

恐怖の警察、「でっち上げ」捜索

恐怖の警察、
「でっち上げ」捜索の被害者が暴露!
公安はあえて危険な存在をつくる」
2015.11.20 Business Journal
構成=吉田典史/ジャーナリスト

「労働運動の闘士」と呼ばれ、55年以上最前線で闘い続けてきた「東京管理職ユニオン」のアドバイザー・設楽清嗣氏は、かつて警視庁から強制捜査をされた。
2001年のことだ。

設楽氏たちが、管理職ユニオンの組合員が不当な行為を受けたとして、ある会社に団体交渉に出向き抗議した。
会社側は「建造物侵入」「暴行」「傷害」などと警察に訴え、家宅捜索が行われたのだ。

 設楽氏は当時をこう振り返る。
「私の家や組合のオフィスを探したところで、犯罪になるような証拠が出るわけがない。
あれは普通の抗議活動であり、訴えは捜索をするためのでっち上げでしかない。
あのような捜索は、警察権力の筋書きの中に早くからあったものだと思う。

 公安警察は、ターゲットが常にいなければならない。そうでないと彼らの存在意義がないし、予算もつかない
市民の治安を守るために、危険な存在をあえてつくりあげるのだ。

 1960〜80年代までは、警察は中核、革マル、革労協などの新左翼をターゲットにしていた。ところが、90年代に入ると新左翼は完全に弱体化した。
公安警察は、新たなる敵が欲しくて仕方がなかった。
 その敵のひとつが、東京管理職ユニオンの私だったのだろう。
家宅捜索を受ける8年前の93年にユニオンを結成し、さまざまな会社と激しい団体交渉をしてきた。
そのプロセスで、警察が目をつけてきたのだと思う」

公安にマークされていた?

 設楽氏は60年の日米安保反対闘争の頃、慶應義塾大学に在学しながら運動にかかわっていた。大学中退後、労働組合や市民運動に身を投じてきた。
公安警察の存在を強く意識したのは80年代の半ばから後半にかけてで、国鉄の解体をめぐる紛糾の頃だったという。

 国鉄労働組合(国労)は労働運動のシンボル的な存在で、当時は依然として国会議員や政府に強い影響を与えていた。
国鉄が解体されようとしているとき、設楽氏は国労の組合員と共に政府・与党である自民党と闘っていた。
 設楽氏は、その頃から公安警察に目をつけられていた可能性が高いと語る。


「国労の組合大会に警察の機動隊が介入してきたとき、私は『機動隊を阻止しろ!』などと声を出し、国労や支援労組の組合員に呼びかけていた。
警察は、『設楽が中心になって運動をしている』と見ていたはずだ。

 一方で、その闘争の後、中核派系と関係がある千葉動労(国鉄千葉動力車労働組合)から、講演討論会の講師に呼ばれた。
おそらく私が警察権力と激しく闘う姿を観察し、声をかけてきたのだろう。
千葉動労で講演をすると、公安警察はますます私のことを警戒しているようだった。

 90年代に入り、私が東京管理職ユニオンをつくり激しく活動をしていたから、公安警察が捜索をするタイミングを見計らっていたのだろう」
 警察は結局、設楽氏を逮捕することはできなかった。
警察の思惑が設楽氏の指摘する通りなのかどうかはわからない。

 東京管理職ユニオンはその後組合員を増やし、勢力を拡大した。
家宅捜索から14年がたった今、設楽氏の影響を受けた組合員たちが全国各地にユニオンをつくり、各地で闘争を行っている。


ユニオンが労働界を変える

設楽氏は、70〜80年代に活躍した労働組合のリーダーである2人の名を挙げた。
全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)や東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)の委員長などを務めた故松崎明氏や日産自動車の労働組合委員長だった故塩路一郎氏である。

「この2人は労働者の心や思いをつかみ、職場権力を握りしめた。
そして経営側と厳しく対抗しつつ自らの権力を行使し、経営者と妥協して組織の力を保持する傾向があった。
職場権力を握り、組合員の支持をバックに闘う姿勢には断固たるものがあり、恐ろしいほどに強かった。
今の時代、こんな労組のリーダーはいない」

 そして、こんなことも明かした。
「労働組合・連合のあるベテラン幹部は、大企業の企業内労組のリーダーたちには職場権力を握り、経営側と交渉する発想も意欲もないと嘆いていた。
そのひとつが大手の電機メーカーの企業内労組が加盟する電機連合だという」

 さらには、日本最大の労組・連合のタブーを語る。
企業内労組のある幹部は、会社の人事部と結託し、不都合な組合のリーダーを上部の産業別労組である電機連合に追い出してしまう。
電機連合には、それぞれの企業内労組から追い出しを受けたリーダーが集まる、と話していた。  電機連合には、企業内から排除されたリーダーが集まり、その中でさらに電機連合にとって不都合なリーダーが現れると、今度は、その上部団体のナショナル・センターに追い出す。
つまり、ナショナル・センターは“吹きだまり”が集うところだ。

連合推薦ということで民主党公認の国会議員がいるが、あれもそれぞれの産業別労組で追い出しを受けたような人たちなのである。
 結局、連合は上のほうに行くほどに、企業別労組、産業別労組から排除されたリーダーたちが担うことになる。
ただし、ナショナル・センター本部に来る10人のうち、2人ぐらいはキラ星のごとく光る人材である。
こうした人材が連合を引っ張っていると連合の役員は語っていた

 設楽氏によると、連合と対立する全国労働組合総連合(日本共産党系)、全国労働組合連絡協議会(社会民主党系)もまた、連合の体制と大きくは変わらないようだ。
設楽氏は闘争のキャリアが55年を超えるだけに、全労連や全労協の役員とも深いつながりがある。

「全労連は“闘う労組”に見えなくもないが、連合のダメな組織体制をもっと小さくしたものでしかない。
悲しいことに、日本の企業別労組の弱さを克服できていない。
ただし、全労連に加盟する日本医療労働組合連合会(医労連)や全労働省労働組合(全労働)などは、政策をつくる能力、横断的な闘争力において優れており、組合員の意識も高い。


 全労協は、もはや論外。
連合や全労連と比較にならない。

私はかつて全労協副議長だったから内情はよくわかる。
我々ユニオンの多くは、連合に加盟している。
連合の中から連合のあり方を変えていく。
つまり、体制内改革を志す。
全労連や全労協のように、外から騒ぐだけでは意味がないからね」
 設楽氏は、こう熱く語った。まだ闘志は燃えているようだ。
(構成=吉田典史/ジャーナリスト)
posted by 小だぬき at 17:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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